「リベンジ消費」で2ヶ月連続で改善した「2021年10月景気ウォッチャー調査」


「リベンジ消費」で2ヶ月連続で改善した「2021年10月景気ウォッチャー調査」

内閣府は21年11月9日、「2021年10月景気ウォッチャー調査」を発表。同指標は株価の1~2ヶ月先行指標で政府統計では最も有効。

2021年10月「街角景気」の「現状判断DI」は前月比+12.9%Pの56.2%(原数値)と2ヶ月連続で改善。水準は景気の別れ目となる50%を12ヶ月振りに上回り、14年3月57.9%以来、約8年振りの高水準。前年比ベースでも+2.6%と3ヶ月振りに改善した。感染者の減少傾向継続に加え、緊急事態宣言をはじめとする経済活動への制限の緩和により景況感が大幅に改善。レストラン関係者からは「宣言が解除され酒を出せるようになったため週末は今までの2~3倍以上の客が来店している」などコロナ禍でたまった消費意欲が爆発する「リベンジ消費」が景気を押し上げている。尚、メディアでは、2016年10月分から発表を開始した「季節調整値」を使用しているが、現状判断DIは前月比+13.4%Pの55.5%と2ヶ月連続改善と、原数値と方向感が同じで違和感はない。

T-Modelにおいて「景気判断」に最も重要なのは移動平均との乖離幅で、21年1月-13.0%→2月-1.9%→3月+6.8%→4月-1.0%→5月-2.4%→6月+5.1%→7月+4.5%→8月-7.8%→9月+2.2%→10月+12.3%と推移。ここ3ヶ月、プラスとマイナスを交互に繰り返していたが、20年10月以来の2ケタの乖離幅で景況感が大幅に改善していることを示している。内閣府は基調判断を8月に「持ち直しに弱さが見られる」と4ヶ月振りに下方修正、9月には1ヶ月で上方修正した「持ち直しの動きが見られる」を据え置いた。

2─3カ月先を見る「先行き判断DI」は前月比+1.6%Pの58.3%と、2ヶ月連続の改善。景気の別れ目の50%を2ヶ月連続で上回ると同時に、統計開始以来、過去最高を記録した。前年比ベースは+9.9%Pと9ヶ月連続でプラス圏で推移している。9月調査期間が9月25日~30日だったことから感染者数の減少や緊急事態宣言の解除決定を受け、今後への期待の高まりから9月に大きく上昇したことから今月の上昇幅は限定的となった。「新型コロナウイルスの新規感染者数の減少やGo To Travelキャンペーン等の観光施策により旅行者数が増加し、景気は良くなる」、「年末に向けて、前年のように新型コロナウイルスの新規感染者数が急増しなければ、来客数の増加は続くと予想される。企業の決算をみる限り、業績の回復が進んでおり、冬のボーナス支給額も増加が予想されるため、クリスマスや歳末商戦に期待したい」など期待の一方、「一般商品の値上げや原油価格の高騰で、家計の収支が悪化しそう」、「原油価格急騰と円安の影響で、ガソリン、電気料金、食品等、国内物価が上昇し、インフレが話題に上がっている。日銀の異常な金融緩和も出口が見えてくるのだろうか」などインフレ懸念も散見され始めている。尚、「季節調整値」は前月比+0.9%Pの57.5%と2ヶ月連続で改善。景気の別れ目の50%を2ヶ月連続で上回り、原数値と方向感が同じで違和感はない。

一方、関東地区の先行きDI(家計関連)は前月比+1.5%P の57.8%と2ヶ月連続で改善。景気の別れ目の50%を2ヶ月連続で上回り、13年3月58.1%以来の高水準。前年比ベースでも+11.4%Pと5ヶ月振りに2ケタの伸び率で改善している。全国先行きDI(家計関連)58.5%であることから、全国ベースを2ヶ月連続で下回った。「関東-全国の差(移動平均ベース)」は、21年1月-0.9%→2月-1.4%→3月-1.4%→4月-1.0%→5月-1.0%→6月-1.3%→7月-1.0%→8月-0.2%→9月-0.2%→10月-0.4%と推移。新型コロナウイルスの感染拡大で、昨年3月に1930年代の「世界大恐慌」レベルに実体経済が悪化した後、FRBを初め、日米欧の中央銀行による巨額の資金供給で世界的金融危機を一旦回避。「ただ、今年からマイナス幅が急拡大して新たな危機が始まっていることを示唆している。」と指摘してきたが、米国や中国でその危機が表面化し始めている。尚、過去、同指標は07年のサブ・プライムローン問題、08年のリーマン・ショック、11年欧州債務危機、15~16年の「チャイナ・ショック」など世界的な金融危機の局面で大きく悪化、それは関東地区が地方に比べ世界の金融危機に左右されやすい経済構造になっているためである。

また、T-Modelオリジナルの同指標は10ヶ月先の日本の株式市場を占う上でも重要な指標。同指標は昨年4月をボトム後、11月まで急上昇していることで今回の新型コロナのマーケットへの影響が昨年春頃には一巡、年末に向けて急速に株価が戻ることを示唆し、実際、相場はその通りの展開となった。以前、『逆に、懸念されるのは、ここまで的確にマーケットを予告してきた同指標が昨年11月をピークに、今6月に向けて危険な時間帯を示唆していたにも関わらず、これまでのところ目立った危機が起きていないことだろう。T-Modelオリジナルの同指標の的確さからすると、何事もないことに安心するよりも逆に、何事もないように先送りされているだけで、より大きな危機に発展している可能性を考慮すべきだろう。』と指摘してきたが、中国の恒大問題や米国の債務上限問題とインフレ長期化による「スタグフレーション」懸念などが一気に表面化し始めている。

米労働省が11月10日に発表した注目の10月米消費者物価指数は前年比6.2%上昇と約30年ぶりの高い伸び率となった。食品や燃料価格の上昇が物価を押し上げたかたちで、T-Modelオリジナル指標『消費者物価-10年債利回り(移動平均)』は10月4.6%と、74年12月4.9%以来、47年振りに過去2番目の大きさとなっている。30年振りの消費者物価に対して不自然に低迷する米長期金利が同指標が大きくなった原因だが、それは当局による必死の市場操作を物語る。過去、このように両指標に乖離が起きると「○○ショック」が全て起きており、いつそのようなショックが起きてもおかしくない状況。同時に、同指標の大きさはその後のショックが大きくなる傾向であることも忘れないことである。