「安定志向」は百害あって一利なし

190809

「安定志向」は百害あって一利なし

2019/8/2日経新聞に『「安定志向」の大いなる弊害』のコラムが掲載されている。内容が私の考えをよく表していることから改めてご紹介することにする。

『先日の参院選で総体として国民はどんな選択をしたと言えるのだろうか。まず投票率。総務省の発表によると、今回の投票率は、48.80%だった。国政選挙で史上最低だった1995年の参院選(44.52%)以来、24年ぶりの50%割れという。これをどうみるか。本紙は7月22日付社説で「大きな変化を望まなかった参院選」と表現した。投票率は低くても投票結果から民意を総体として読みとるとこうなるのだろう。一方、棄権した人々はどうか。1つの層は、変化を望んでいない(これまで通りでよい)から、わざわざ投票所まで出かけて行く気にならない。もう1つは、現状でよいとは思わないが、他に適当な選択肢もないから棄権する。

しかし、これで日本の将来は安定するのだろうか。問題は長期安定政権それ自体に危険因子がひそんでいることである。政権が長期に安定しているということは、既得権益層の力のバランスがうまくとれていることを意味する。こうなると構造改革は望めない。

日本経済の最大課題は、先進国では最低水準に落ち込んでいる経済全体の生産性の引き上げと、持続可能性が危ぶまれる財政および社会保障体系の抜本改革である。この点については専門家の間でコンセンサスがある。

この2つの課題を解決しなければ、日本経済は現状すら維持できず、長期停滞に陥る可能性が大きいと言わざるを得ない。「とりあえず今はそれなりに満足」という空気の中からは「既得権益をぶっ壊す」との気概は生まれにくいし、長期を見据えた構造改革の議論も出てこない。「安定志向」は現局面では、百害あって一利なし、なのだ。』

このコラムでは『生産性引き上げには医療・介護などを含めたサービス分野や農林など第1次産業の競争環境の整備が欠かせない。労働市場改革を含めて公的規制の思い切った削減が不可欠なのだ。一方、財政・社会保障改革は利害の世代間調整が避けられない。』と指摘しているが、生産性を上げる本質は「付加価値を高める」しかない。働き方改革の「仕事時間の削減」では生産性など上がるはずもないのは明らかだろう。そして、「付加価値を高める」には「世の中にない新しいものを作り出す」ことから始まるのである。すでに世の中にある現状のサービスやモノの改良程度では付加価値の上昇はしれている。では、新しいものを生み出す力はどこから出てくるか。それは冒頭のコラムにあるように、「既得権益をぶっ壊す」ことから始まる。今回の参議院選挙で令和新選組やN国が議席を獲得したのは「既得権益をぶっ壊す」ことに共感した人々が世の中に存在する同時に、このまま現状維持の世の中では浮かばれない人々がちっぽけな「安定」を放棄したからに他ならない。そのような浮かばれない人々が現在のちっぽけな「安定」を放棄することによって大きな被害を被ることを覚悟しているかどうかは分からないが・・。今すぐにでも個人は独自性を再度高める努力をすることは勿論だが、国は規制緩和によって、長期政権下で増大している既得権益層の力を小さくすることである。それができなければ、「既得権益バブル」が益々増大していき、最後には日本を自滅させる大きなマグマに発展することだろう。現在はすでにその目前が迫っているようにも感じるが、その自滅する国の影響を受けないためにも個人は『「安定志向」は百害あって一利なし』を肝に命じて、今から行動することである。今、その行動ができる人々や企業こそが激変する未来のリーダーになり得るのだろう。