『すでに金融引き締め局面?』


『すでに金融引き締め局面?』

2021年6月24日日経夕刊に『すでに金融引き締め局面?』が掲載されている。

『マネーの流れを左右する最大のテーマはやはりインフレだ。「FRBと市場の双方にとって、サプライズとなるインフレのバーが下がった」。マルコ・コラノビッチ氏率いるJPモルガンのストラテジーチームは21日付のリポートで、こう指摘した。「インフレは一時的」とするパウエルFRB議長の見立てを市場はいったん受け入れた。それでも、実際のインフレが落ち着かなければ再びシナリオを修正せざるを得ない。コラノビッチ氏はインフレがFRBや市場の想定を上回るとみている。先週に大きく巻き戻された「リフレトレード」にチャンスありとして、景気敏感株やコモディティー買いを推奨する。マーケットの視界でテーパリング(資産購入の減額)や利上げは着実に大きくなっている。リフレトレードが再開するとしても、問題はいつまで続くかだ。

この点で、金融引き締めフェーズはすでに始まっているとみるのが、モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏だ。経済のなかで流通するマネーの総量であるマネーストック(M2)は新型コロナウイルス下の緩和措置で19年末から3割も増えた。一方、前年比の伸び率をみるとピークだった2月の27%から直近は10%台前半に縮んでいる。テーパリングが始まればM2の伸び鈍化に拍車がかかり、相場の下げ圧力になる可能性がある。ウィルソン氏はリポートで、日米欧に中国を合わせたM2の伸び率が下がっている点にも注目する。「(同様の変化があり)リスク資産の価格修正が起きた14年や18年をほうふつとさせる」と先行きに慎重な姿勢を示す。

マネーはまだジャブジャブにあふれている。伸び鈍化は周知の事実だが、市場はそれほど重視してこなかった。先週のFOMCがサプライズを増幅した一因になったといえる。仮に21年が18年などの再現になった場合、真っ先に下げるのはどこか。ウィルソン氏は韓国、中国、そして日本株を挙げている。』

2020/11/30『『3万ドル、通過点か天井か』』のT-Modelコラムにおいて、

『『NYダウとマネーサプライ』の約60年間の長期的な関係からでも明らかなように、「株高の底流には市場に流れ込むマネーがある」ことは間違いない。過去を振り返ると、2000年のITバブル崩壊やリーマンショックのいずれの場合も、マネーの量よりも株価が行き過ぎているときに起きている。19年12月のときもマネーの量よりも株価が行き過ぎて起きたコロナショックだったことが理解できるが、現在は、マネーの大量供給で史上最高値の株価を支えることも理解しやすい。

T-Model『大台替えの法則』でNYダウの1000ドル単位の大台替えを振り返ると、11月2日27000ドル大台替え11月4日28000ドル大台替えに2日間、11月9日29000ドル大台替えに5日間、11月24日30000万ドル大台替えに15日間と推移しており、全て11月中だが2日間、5日間、15日間と時間切れの中で起きた大台替えである。通常であれば、次の31000ドル大台替えはある程度の時間を要する可能性が高いことになり、短期的には、変化点を迎えそう。その変化点が、『ITバブル崩壊』のような「暴落」のスタートとなるのか、それとも「急落調整」となのか。年明けは混迷する米大統領選挙の行方と同時に注目すべきポイントである。』

現在、「マネーの量よりも株価が行き過ぎている」段階に入っており、いつ「○○ショック」が起きてもおかしくはない。また、『大台替えの法則』では、今年に入り、1月に31000ドル大台替えを実現したものの同月に30000ドル大台を割れ、2月には32000ドル大台を超えたが同月に31000ドル大台割れ、5月に35000ドル大台を超えるも同月に34000ドル大台割れと急落調整が起きている。このような不自然な株価の動きは「マネーの量よりも株価が行き過ぎている」段階に入っている証拠でもあり、年後半も乱高下しやすい相場であることを示唆する。

この記事で紹介している『経済のなかで流通するマネーの総量であるマネーストック(M2)は新型コロナウイルス下の緩和措置で19年末から3割も増えた。一方、前年比の伸び率をみるとピークだった2月の27%から直近は10%台前半に縮んでいる。テーパリングが始まればM2の伸び鈍化に拍車がかかり、相場の下げ圧力になる可能性がある。ウィルソン氏はリポートで、日米欧に中国を合わせたM2の伸び率が下がっている点にも注目する。「(同様の変化があり)リスク資産の価格修正が起きた14年や18年をほうふつとさせる」と先行きに慎重な姿勢を示す。』と指摘しているが、マネーストック(M2)の伸び率と株価を検証してもあまり明確な関係は見いだせない。むしろ、同伸び率と連動性が高いのは米長期金利ではないだろうか。マネーの量の勢いが落ちれば国債を買う力が弱まり、金利が上昇しやすくなることは容易に想像できる。今年3月に米長期金利が1.744%まで急上昇したのもM2の伸びの急低下と考えると理解しやすい。テーパリングが始まればM2の伸び鈍化に拍車がかかるが、その時期に米長期金利はどこまで上昇するのか。当局が3月1.744%を超えずにコントロールできるのか最大の注目点である。