『弱気派台頭の片りん 日経レバ、信用売り規制』

『弱気派台頭の片りん 日経レバ、信用売り規制』

2020/7/17日経新聞に『弱気派台頭の片りん 日経レバ、信用売り規制』が掲載されている。

『日経平均株価の2倍の値動きを目指して運用する「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」(日経レバ)が16日から新規の信用売りができなくなる「売り禁」となった。相場が高値圏にあるとみた個人投資家による信用売りが膨張したことへの対応だ。個人の強い売り意欲が表れた格好で、今後、相場の波乱要因となる可能性がある。

ETFで信用売りをするには、そのETFを借りる必要がある。日経レバの貸株残は15日時点で約180万口と、2016年10月以来の高水準に膨らんでいた。一方、ETFの総口数は、その時々の需給や株価指数の動向で変動する。日経レバの場合、3月下旬に3460万口まで増えた後、15日時点では1064万口と3分の1に落ち込んでいた。貸し出す元の口数減と、信用売りのための貸株需要増が重なったことで貸株の需給が急激に逼迫し、日証金は売り禁が必要と判断した。

もっとも、売り禁で個人の意欲がそがれたわけではなさそうだ。日経平均と逆方向に2倍動く弱気型の「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」(日経Dインバ)の足元の発行済み口数は4億4484万口と過去最高を記録した。コロナショック前の水準に近い2万3000円を目前に、「次は下落」との見方になお傾いている。

ところが、株価が急落する気配はいまのところ小さい。むしろ、日経平均がするすると上昇した場合、日経レバの売方は買い戻しを、日経Dインバの買方は損切りの売りを迫られ、株高に拍車をかける可能性がある。』

2020/06/08『『下げ狙いのETF 人気』の弱気論が台頭?』のT-Modelコラムにおいて、

『投資家は2月~3月のような相場急落調整を再度、期待しているようだが、急落前と異なるのは「裁定売り残」である。2月の相場急落調整前の「裁定売り残」は昨年9月2日週2.06兆円から12月30日週7131億円まで買い戻し終了後だったのに対し、現在は5月18日週2.57兆円の過去最大の「裁定売り残」近辺で推移しているということだ。つまり、これからは買い戻しを警戒しなければいけない局面で、急落を期待していることになる。

何故、このような投資行動をするのかは疑問だったが、世間に溢れる「現在の株価はバブルだ」「いずれ2番底が来る」との弱気論に惑わされた投資家が大半だったのだろう。T2をよく聴かれ、ご理解されている投資家はこんな危険な投資行動はされていないと思うのだが・・。』と指摘。このT-Modelコラムから約1か月が経過しているが、「裁定売り残」は7月6日週1.8兆円と高水準で残ったままである。そしてもう一つ、冒頭の記事で気になるポイントを指摘しておこう。『日経レバの貸株残は15日時点で約180万口と、2016年10月以来の高水準』との指摘である。2016年10月は英ブレクジット国民投票後で、日経平均が16年9月末16449円と低迷していた時期。だが、同年10月以降3か月連続で株価は上昇し、12月高値19592円まで約2割弱上昇した。今回も同様なことが再現される可能性が高まっており、現在の含み損がさらに拡大するどころか追証が発生する可能性がある。これまで著書やセミナーでは何度もリーマンショック後の米国の量的緩和以降、実体経済をベースに株価を予測するこれまでの「古い教科書」は通用しなくなっていることを証明し続けてきた。今回の弱気派の台頭はそれに気づいていない市場関係者がまだ大半を占めていることを物語る現象の一つと言えるだろう。