『米、10月にも資金枯渇~迫る債務上限の復活』


『米、10月にも資金枯渇~迫る債務上限の復活』

2021/06/24ロイターでは『米財務長官、債務上限の引き上げ訴え 「8月中にデフォルトも」』が報道されている。

『イエレン米財務長官は23日、連邦政府の債務上限を早急に引き上げるか上限適用を停止するよう議会に要請した。また、このままでは8月中にも米国が債務不履行(デフォルト)に陥る深刻なリスクがあると警告した。上院歳出小委員会での証言で「国債のデフォルトは考えられないことで、債務上限を引き上げなければ、経済に壊滅的な影響を及ぼすことになる」と指摘。金融市場の不確実性を回避するため、現行の上限適用停止措置が7月末に失効するまでに、財務省の借入継続を認める新たな債務上限法案を議会で可決すべきと訴えた。財務省は過去に債務上限の問題に直面した際、連邦職員退職年金基金への拠出を停止するといった緊急の資金繰り措置を動員して財源を賄い、デフォルトを回避した。』

この記事から約1ヶ月後の2021年7月25日日経新聞でも『米、10月にも資金枯渇~迫る債務上限の復活』を報道している。

『米連邦政府の債務上限の復活が8月に迫り、米議会予算局(CBO)は議会が対策を講じなければ10月にも資金が枯渇すると警告した。野党共和党は債務問題で民主党と協力しない可能性を公言する。同じ問題が難航し、米国債の格下げから金融市場に混乱が広がった10年前の悪夢が再来するリスクがくすぶる。

国債発行による政府債務は法律で上限が定められている。現在は2019年から上限の適用を一時停止しており、7月末にその期限を迎える。共和党の上院トップ、マコネル院内総務は「上限引き上げを支持する共和党員はいない」と対決姿勢を一気に強めた。このままだと8月から政府は借金を増やせない。政府閉鎖や国債の債務不履行(デフォルト)を避けるには議会が上限を引き上げるか、適用を停止する必要がある。無策なら財務省が公的年金基金への拠出を抑えるなどの緊急措置で資金をやりくりするしかない。

いつまでしのげるか。CBOは21日、「10月か11月に通常の支払いができなくなる」との試算を示した。イエレン財務長官は23日、新型コロナウイルスへの対応が続き「緊急措置をいつまで続けられるか具体的な見積もりを出せない」と指摘。10月1日だけを例にとっても手元資金は約1500億ドル(約16兆5000億円)減ると訴えた。適用を一時停止した19年夏時点の債務上限は約22兆ドルだった。次の上限は復活時の債務残高に合わせて設定される。その額は28兆ドル台に膨らんでいる。』

過去、何度も米連邦政府の債務上限問題が起きているが、最終的には何とかなってきた。だから、今回も何とかなるだろうと市場はあまり問題視していないようにも思える。多分、それは政治マターの部分も大きいから何とかなるとで考えているのかもしれない。

そのような中、2021年7月22日ブルームバーグで『米国株は15%以上下落も、秋に「非常に荒い」展開に-マイナード氏』といった不気味な予測を報道している。

『米株式相場は10月末までに15%以上の大幅下落となる可能性があり、市場にとって困難な時期になる。グッゲンハイム・インベストメンツのスコット・マイナード会長兼最高投資責任者(CIO)がこう予測した。マイナード氏は21日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで米国株式相場について「9月と10月は非常に荒い展開になりそうだ」と述べ、「15%かそれより若干大きい下落になるかもしれない。だが、ワールドシリーズの第1戦にロサンゼルス・ドジャースが出場した後に、買うことができると思う」と述べた。米金融当局による資産購入テーパリング(段階的縮小)が予想より速いペースで進むことや新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染拡大も株式相場に大きなリスク要因だと付け加えた。

マイナード氏はまた、仮想通貨が今後数カ月は依然として厳しい状況になると予想。ビットコインは一段と下げて「1万5000ドル付近」に下落するとの見方を示し、「このようなものの多くはただのがらくただ」と指摘。「まだ空気が抜け切れていないと思う。ビットコインの標準的な弱気相場は80%の戻しであり、不確実性や新しい仮想通貨との競争などを踏まえれば、一段と下げる余地はあると思う」と語った。』

『10月末までに15%以上の大幅下落』の直接の原因を債務上限問題とは指摘していないが、あまりにもタイミングが良すぎはしないだろうか。NYダウでいえば15%下落は約29750ドルで、3万ドルを割ることを意味する。過去、60年間で大きなショックを示唆してきたT-Modelオリジナル指標の一つである「消費者物価-長期金利」は21年6月3.9%と過去60年で3番目に大きな乖離幅となっていることからこの予測が起こる可能性は十分にあり得るだろうか。ただ、もう一つの予測である『ビットコインは一段と下げて「1万5000ドル付近」』との予測に対し、7月20日安値29310ドルから直近26日高値39639ドルまで急反発。目先は予測が外れて信頼を失ってはいるが・・。2021/06/21『JPモルガン、5000 億ドルの現金保有の謎?』のT-Modelコラムでご紹介したように、総資産の約15%をキャッシュにして「高金利環境下で投資する機会を待っている」とのダイモンCEOの発言をご紹介したが、もしこの『10月末までに15%以上の大幅下落』の情報を共有しているとすれば頷けるアクション。この予測が現実化するかどうかは別だが、あまりにマーケットは『債務上限問題』を楽観視しているように見えることからこのようなときの今回の『債務上限問題』は注意しておいた方が良いのではないだろうか。