オリンピック効果もみられた「2021年7月景気ウォッチャー調査」


オリンピック効果もみられた「2021年7月景気ウォッチャー調査」

内閣府は21年8月10日、「2021年7月景気ウォッチャー調査」を発表。同指標は株価の1~2ヶ月先行指標で政府統計では最も有効。

2021年7月「街角景気」の「現状判断DI」は前月比+2.3%Pの47.7%(原数値)と2ヶ月連続の改善。水準は景気の別れ目となる50%を9ヶ月連続で下回っている。前年比ベースでは+6.4%と6ヶ月連続回復となっている。依然新型コロナウイルスの影響が大きいものの、オリンピック4連休が好天に恵まれ、気温の上昇とともにドリンクなどの売上や来客数も増えた他、コンビニでは東京オリンピック効果で在宅でテレビ鑑賞するためのまとめ買いも増えているなど、4連休は緊急事態宣言下の東京などを除いた地域の小売りや飲食関連事業者にとっては追い風になったとみられる。尚、メディアでは、2016年10月分から発表を開始した「季節調整値」を使用しているが、現状判断DIは前月比+0.8%Pの48.8%と3ヶ月振り改善と、原数値と方向感が同じで違和感はない。

T-Modelにおいて「景気判断」に最も重要なのは移動平均との乖離幅で、21年1月-13.0%→2月-1.9%→3月+6.8%→4月-1.0%→5月-2.4%→6月+5.1%→7月+4.5%と推移。2ヶ月連続でプラス圏に浮上し、景気回復局面となっていることを示す。内閣府は基調判断を6月に4月の「持ち直しに弱さが見られる」から「持ち直している」に引き上げたが、7月はそれを維持した。

2─3カ月先を見る「先行き判断DI」は前月比-5.5%Pの47.1%と、3ヶ月振りに悪化。景気の別れ目の50%を6月に21年2月以来、4ヶ月振りに上回ったが1ヶ月で再び、下回っている。前年比ベースは+11.7%Pと6ヶ月連続でプラス圏で推移している。ワクチン接種が高齢者を中心に進む一方、感染者数が増え続け、特にサービス関連で今後を懸念する意見が多い。夏休みシーズンは稼ぎ時だが、緊急事態宣言や重点措置が延長されたり、新たに対象になったりする地域が相次ぎ、商機が奪われるとの懸念が強い。7月は、引き続き「ワクチン」に言及するコメント数が全体の約1/3を占めており、先行き期待の形成に大きな影響を与えていることがわかる。「ワクチン」を含むコメントの回答構成比をみると、先月から「良くなる」「やや良くなる」の割合が低下し、「新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、来客数が伸びることを期待したいが、2~3か月後ではまだ状況は変わらない(高級レストラン)」や「ワクチン接種が大分行き渡ると思われるが、景気の回復にはまだ時間が掛かりそう(商店街)」のように慎重なコメントが増加した。尚、「季節調整値」は前月比-4.0%Pの48.4%と3ヶ月振りに悪化。景気の別れ目の50%を21年2月以来、4ヶ月振りに上回ったが1ヶ月で再び、下回り、原数値と方向感が同じで違和感はない。

一方、関東地区の先行きDI(家計関連)は前月比-5.4%P の44.5%と3ヶ月振りに悪化。景気の別れ目の50%を21年2月に27か月振りに上回りましたが、5ヶ月連続で再び50%割れ。前年比ベースでも+9.5%Pと、6ヶ月連続で改善している。全国先行きDI(家計関連)45.6%であることから、全国ベースを2ヶ月連続で下回った。「関東-全国の差(移動平均ベース)」は、21年1月-0.9%→2月-1.4%→3月-1.4%→4月-1.0%→5月-1.0%→6月-1.3%→7月-1.0%と推移。新型コロナウイルスの感染拡大で、昨年3月に1930年代の「世界大恐慌」レベルに実体経済が悪化した後、FRBを初め、日米欧の中央銀行による巨額の資金供給で世界的金融危機を回避。ただ、今年からマイナス幅が急拡大し新たな危機が始まっていることを示唆しているが、6月からのマイナス幅再拡大には要注意だろう。尚、過去、同指標は07年のサブ・プライムローン問題、08年のリーマン・ショック、11年欧州債務危機、15~16年の「チャイナ・ショック」など世界的な金融危機の局面で大きく悪化、それは関東地区が地方に比べ世界の金融危機に左右されやすい経済構造になっているためである。

また、T-Modelオリジナルの同指標は10ヶ月先の日本の株式市場を占う上でも重要な指標。同指標は昨年4月をボトム後、11月まで急上昇していることで今回の新型コロナのマーケットへの影響が昨年春頃には一巡、年末に向けて急速に株価が戻ることを示唆し、実際、相場はその通りの展開となった。逆に、懸念されるのは、ここまで的確にマーケットを予告してきた同指標が昨年11月をピークに、今6月に向けて危険な時間帯を示唆していたにも関わらず、これまでのところ目立った危機が起きていないことだろう。T-Modelオリジナルの同指標の的確さからすると、何事もないことに安心するよりも逆に、何事もないこのような状況は先送りされただけさらに大きな危機に発展している可能性を考慮すべきで、危険な時間帯を再度、示唆する今10月以降は注意が必要ではないだろうか。そのときに「どのような危機が表面化するのか」。菅政権は今5月に支持率を不支持率が上回り(移動平均ベース)、『長期政権の次の政権は短命とのジンクス』が襲ってきているが、果たして10月の選挙まで持つのだろうか。横浜港へのカジノを軸とする統合的リゾート(IR)誘致の可否を最大の争点とする横浜市長選(8日告示・22日投開票)が過去最多の8人が出馬し、ともに誘致に反対する自民系と主要野党系有力2候補と、推進を掲げる現職による三つ巴の競り合いと予想を超える大接戦となっている。コロナ感染爆発で苦境に陥る菅義偉首相は側近でもある自民系候補を全面支援しており、仮に、事実上の与野党対決で側近が敗れれば、「菅首相では選挙が戦えない」との声が噴き出し、衆院選と総裁選が絡み合う9月の大政局を前に、自民党内の「菅降ろし」が起きかねない。一方、米国でも、8月11日に注目された21年7月の消費者物価指数(CPI)が前年比5.4%上昇(6月CPI5.4%)横ばいだったが、不自然に低下している米長期金利との乖離はリーマンショック前にも起きており、当局による必死の市場操作が見え隠れする。過去、このような両指標の乖離が起きるときに「○○ショック」が起きていることを忘れてはならない。また、日本の終戦記念日である8月15日にアフガニスタンのガニ大統領が出国、反政府武装勢力タリバンが大統領府を掌握したというニュースが飛び込んできたが、8月15日という日時からみて大きなニュースに発展する可能性があり、「9.11」に向けて目が離せなくなってきている。