コロナ流行前の1 月水準まで急回復した「2020 年6月景気ウォッチャー調査」

コロナ流行前の1 月水準まで急回復した「2020 年6月景気ウォッチャー調査」

内閣府は20年7月8日、「2020年6月景気ウォッチャー調査」を発表。同指標は株価の1~2ヶ月先行指標で政府統計では最も有効。

2020年6月「街角景気」の「現状判断DI」は前月比+22.3%Pの38.1%(原数値)と、統計開始以来、最大の改善幅で2ヶ月連続改善。水準は景気の別れ目となる50%を26ヶ月連続で割り込みだが、感染拡大前の今年1月40.6%に近づいた。前年比ベースでも-5.2%Pと、3~4月の2ヶ月連続3割台の加速した過去最悪の悪化から1月以来の1ケタのマイナス幅まで縮小している。新型コロナウイルス対策に伴う外出自粛が6月19日に解除されたことで、4~5月の客がまとめて来店など客の動きが活発化、また特別定額給付金として10万円が支給され高額商品が動いているや6月末で終了したキャッシュレス・消費者還元事業の駆け込み需要も後押ししている。尚、メディアでは、2016年10月分から発表を開始した「季節調整値」を使用しているが、現状判断DIは前月比+23.3%Pの38.8%と過去最高の改善と、原数値と方向感が同じで違和感はない。

T-Modelにおいて「景気判断」に最も重要なのは移動平均との乖離幅で、19年6月-2.2%→7月-3.2%→8月-1.7%→9月+1.6%→10月-6.0%→11月-2.3%→12月-0.3%→20年1月-0.3%→2月-10.9%→3月-17.5%→4月-19.4%→5月-9.5%→6月+13.6%と推移。9ヶ月振りにプラス圏に浮上したことで景気回復を示している。内閣府は「厳しさは残るものの、持ち直しの動きはみられる」に上方修正。5月に4ヶ月振りに上方修正したが、上方修正に関しては遅れ遅れになる下方修正の判断とは対照的である。

2─3カ月先を見る「先行き判断DI」は前月比+7.5%Pの44.8%でと、2ヶ月連続の改善。前年比ベースは-1.5%Pと、21ヶ月連続マイナス圏を記録しているものの過去最悪の悪化を2ヶ月連続で更新した3月-29.2%、4月-30.8%からはマイナス幅は大幅に縮小している。景気の別れ目の50%を17ヶ月連続で下回っている。イベント開催なども随時計画されている他、8月から始まる政府、観光庁が行うGo Toキャンペーンへの期待もある一方、多くの学校で夏休みが短縮されることによる個人客の出控え、大雨被害の拡大で景気回復の重荷となる恐れもでてきている。尚、「季節調整値」は前月比+7.5%Pの44.0%と、2ヶ月連続で改善、景気の別れ目の50%を19ヶ月連続で下回ったが、原数値と同じ傾向で違和感はない。

一方、関東地区の先行きDI(家計関連)は前月比+6.6%P の43.3%と2ヶ月連続で改善。前年比ベースでは-1.5%Pと21ヶ月連続で悪化しているものの、過去最悪に悪化した3、4月からはマイナス幅が大幅に改善している。景気の別れ目の50%を19か月連続で下回っている。全国先行きDI(家計関連)46.6%であることから、全国ベースを4ヶ月連続で下回った。「関東-全国の差(移動平均ベース)」は、19年6月-1.6%→7月-1.4%→8月-1.1%→9月-0.6%→10月-0.2%→11月-0.2%→12月+0.4%→20年1月+0.7%→2月+0.6%→3月+0.2%→4月-0.2%→5月-0.5%→6月-1.3%と推移。新型コロナウイルスの感染拡大が一時的に1930年代の「世界大恐慌」レベルに実体経済が悪化するなか、FRBによる驚くような資金供給で3月までは世界的金融危機を避けることができたが、4月-0.2と5ヶ月振りのマイナス圏に陥った後、5月-0.5%→6月-1.3%とマイナス幅が拡大し、世界的金融危機を示唆し始めている。尚、過去、同指標は07年のサブ・プライムローン問題、08年のリーマン・ショック、11年欧州債務危機、15~16年の「チャイナ・ショック」など世界的な金融危機の局面で大きく悪化、それは関東地区が地方に比べ世界の金融危機に左右されやすい経済構造になっているためである。

また、同指標は10ヶ月先の日本の株式市場を占う上でも重要な指標。同指標19年6月までフリーフォールのような急落をみせたことで、株式市場は特に、年末年始頃から要注意の時間帯に入ることを警告し続け、20年の年明けからのイラク戦争勃発に始まり、今回の「コロナショック」による「リーマンショック」を超える記録的な株価急落で、同指標の「フリーフォール」のような急落を証明した。ただ、同指標は今年4月をボトムに急上昇していることから、今回の新型コロナ肺炎のマーケットへの影響が春頃には一旦、一巡し、急速に株価が戻ることを示唆していたが、FRBによる驚くような資金供給に加え、新型コロナウイルスによる制限措置の緩和への期待からNYダウは史上最速の急反発で史上最高値まで約2000ドル弱に迫る6月8日27580ドルに上昇、またナスダック指数もすでに史上最高値更新と同指標の予告は現実化した。また同指標は11月の米大統領選挙に向けて株価がもう一段上昇することを示唆しており、最悪水準まで低迷した実体経済を株価がどこまで牽引するかが注目される。