プロの投資家と個人投資家の相場観の乖離はどちらに軍配?

プロの投資家と個人投資家の相場観の乖離はどちらに軍配?

2020/6/20日経夕刊に『プロと個人 相場観の乖離』が掲載されている。

『実体経済と乖離する株高とともに、市場の話題となっているのがプロと個人の相場観の大きな隔たりだ。バンク・オブ・アメリカが16日公表した6月の世界の機関投資家調査では「株は買われすぎ」と答えた投資家は調査開始の1998年以降で最高だった。調査対象は200を超える主要な投資信託や年金基金で、運用資産の合計は6000億ドル(約64兆円)にのぼる。プロの8割弱が足元の相場水準はバブルの様相を帯びているとみる。3月後半以降の株価の戻りは「上昇分の9割がPER(株価収益率)の切り上げ」(シティグループ)。金融緩和による巨額マネーの流入が株式相場を押し上げた。そのため、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)やバリュエーション(投資尺度)分析を重視するプロにとっては理解し難い相場になる。

一方、モメンタム(勢い)重視の個人はネット証券の売買手数料ゼロや政府の給付金を背景に流れに乗った。レバレッジが効くオプション市場でも相場の上昇に乗り遅れまいとして「順張り」で向かった。プット(売る権利)の売買高をコール(買う権利)の売買高で割った「プット・コール・レシオ」は8日に2010年4月以来となる0.37まで低下。数値が大きく1を下回るのは、先高観を強めてコールを買う個人が急激に増えたことが影響した。直近で最も高かったのは株式相場の急落局面で、08年3月以来の高水準だった3月12日の1.28だ。相場の戻りと歩調を合わせ、3カ月で急低下した。08年3月は米大手証券ベア・スターンズの実質破綻、10年4月は米国の量的緩和による株高の陶酔の中だった。わずか3カ月で金融危機並みの総悲観から量的緩和による株高の総楽観に傾いたとの見方もできる。

個人の強気転換は古今東西、相場が天井を打つシグナルとされる。通常のファンダメンタルズ分析の存在感が強い相場環境では個人がプロに出遅れる傾向があるためだ。一方、今回は米連邦準備理事会(FRB)が経済回復を目的に主導する人為的な株高の面が強い。バークレイズのアジャ・ラジャディヤクシャ氏は過去3カ月の教訓として「法定通貨制度の下では金融政策に限界はない」と指摘。同時に短期的な調整を挟みながらも「高いバリュエーションを維持した相場上昇は続く」とみる。』

2020/05/18『「バフェット流」が通用しない『実体経済と乖離する相場』』のT-Modelコラムにおいて、

『「オマハの賢人」と称されるバフェット氏も個人投資家にとって最良の投資先はS&P500連動型インデックスファンドだと強調している。株価は企業業績に連動するというより、中央銀行の資金供給量で決まるようになり、従来の割高・割安を判断するPERが投資の判断材料として役立たなくなったからである。つまり、それは「実体経済と株価」には大きな乖離が存在しているということを意味している。そのような時代には、バフェット氏でさえも個別銘柄投資で収益を上げることは難しいというのが本音なのだろう。今後、米連邦準備理事会(FRB)は無制限の量的緩和を継続することから「相場と実体経済の乖離」はますます広がり、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)のような教科書通りの指標(バリュエーション)はますます通用しなくなっていく。消費者がコロナ前と同じ生活を求めるとは限らないように、相場にも「ニューノーマル(新常態)」の考え方がより重要になることを理解しておかなければならない。』と指摘した。足元の株価水準を割高とみるプロの投資家が急増する一方、個人投資家は一段と先高観を強める両者の相場観の乖離(かいり)はどちらに軍配が上がるだろうか。私が「ニューノーマル(新常態)」の新しいバリュエーションとして考案した『PMR』は-1σの割安を示しており、先高感の個人投資家に軍配が上がるのではないかと考えている。今後は日本の投資家だけでなく、世界の投資家がこの考案した『PMR』をマネするのではないだろうか。

1ヶ月前、大物ヘッジファンド運用者のスタンリー・ドラッケンミラー氏は講演で「(米国経済の)V字回復は空想だ」と話した同氏のパフォーマンスは+3%にとどまり、同期間のS&P500種株価指数の+40%上昇を大きく下回っている。このようなカネ余りによる株高に機動的に対応できないドラッケンミラー氏のようなプロの投資家が大半なのではないだろうか。そのようなパフォーマンス悪化は今秋にヘッジファンドからの資金流出とプロの運用者の大量解雇を促すと同時に、相場に大きな影響を与えることになるのではないだろうか。