中国が海外上場の規制強化


中国が海外上場の規制強化

2021年7月8日日経新聞に『米中分断、危うい増幅~中国が海外上場の規制強化』が報道されている。

『米中のデカップリング(分断)が貿易や技術からマネーに及んできた。中国政府は6日、海外上場の規制強化策を発表し、米国に上場する中国テック株は軒並み下落する展開となった。米中対立は制御できるかわからないまま、危うさを増す。経済の相互依存度が高い分、傷口を広げるリスクがある。米中関係は、トランプ前政権下で相互に追加関税を科す貿易戦争が始まり、近年は香港や新疆ウイグル自治区の人権問題などを巡って悪化が続く。バイデン政権誕生後も関係改善の兆しが乏しい。

6日の米国市場で、週末にアプリのダウンロード停止を命じられた中国配車アプリ最大手、滴滴出行(ディディ)株は前週末比で20%、電子商取引大手のアリババ集団株は3%下落した。両社は7日も続落で始まった。習近平(シー・ジンピン)指導部が海外上場の規制強化に動いた理由のひとつが、米国で昨年成立した「外国企業説明責任法」だ。中国企業を担当する中国の監査法人が米当局による検査を受け入れなければ、上場廃止となる厳しい内容だ。さらに、バイデン政権は6月に従来の軍事企業に加えて監視技術を提供する中国企業も、米国人による株式投資の禁止対象にした。トランプ前政権からの対中強硬姿勢継続を鮮明にしている。

米国に上場するネット通販で中国トップを争うアリババと・多多(ピンドゥオドゥオ)が約8億人、京東集団(JDドットコム)も約5億人の利用者を抱える。「中国版ツイッター」の微博(ウェイボ)は5億人以上の利用者を抱え、政府高官や企業経営者らがアカウントを保有する。6月には、国家安全の観点からデータ統制を強化する「データ安全法(データセキュリティー法)」を成立させており、9月に施行する予定だ。

冷戦時代の米ソ対立ではヒト、モノ、カネの往来が制限されていた。現在の米中対立は経済面での相互依存が強い分、決定的な対立には発展しにくいとの楽観論もあった。実際には、貿易、技術や人権問題に加え、米中の分断はマネーにまで及んだ。米調査会社ローディアム・グループの推計によると、米国から中国への証券投資総額(資本と負債の合計)は公式の統計よりも大きい1.2兆ドル(約130兆円)、中国から米国は2.1兆ドルに達する。対立に歯止めがかからなければ、双方への打撃は一段と大きくなる。

中国が保有する米国債の扱いも焦点となる。4月時点で1兆961億ドルと日本に次いで2番目に多く保有する。米財政を支える米国債市場の安定は基軸通貨ドルの信認に直結する。中国による売却観測が浮上するだけで、緩和マネーで膨張した世界の金融市場は大きく動揺する可能性がある。マネーの分断は中国企業が海外市場開拓や人材獲得でグローバル競争に後れを取ることにもつながる。成長が鈍化すれば共産党の一党支配の正統性は揺らぎかねない。』

チャイナインターネットETFという上場投信には、日本でも有名なテンセントHD(10.27%)、アリババグループ(9.09%)、バイドゥ(3.92%)が上位に組み入れられている。株価は21年2月17日103.56でピークを打ち、直近7月8日安値60.01まで-42%の暴落となっている。中国政府による海外上場の規制強化よりも先にと急落していることになるが、ちょうどビットコインの急落時期と一致していることから、「チャイナマネー」がこの頃から流出したのではないだろうか。中国株全体へはまだ波及はしていないが、チャイナショックの2015年以降、同ETFと中国株全体との連動性は高まっていることから今後、注意が必要だろう。

実は、最近の日本株は米国株よりも中国株との連動性が高まっている。一部の市場関係者には「日本株はワクチン接種の遅れで出遅れている」との指摘もみられるが、日本株が出遅れているのではなく、中国株との連動性が高まっているに過ぎないのである。

そして冒頭の記事の中で注目すべきポイントは『中国が保有する米国債の扱いも焦点となる。』

それに関して、気になる記事が7月5日の日経新聞に『中国、社債不履行2兆円~低格付け、利回り10%台』が報道され、

『中国の情報会社、大智慧によると1~6月の国内社債の不履行は約1160億元(約2兆円)と過去最高だった。通年でこれまで最多だった2020年(1870億元超)を上回る可能性が高い。』、

『19年に起きたデフォルトの総数に占める国有企業の割合は1割強だったが、20年にはほぼ半分に急増。21年も4割を国有企業が占める』、

『中国のドル建てハイイールド債の利回りは6月15日に10.1%と、約1年1ヶ月振りに10%の大台に乗せた。世界のハイイールド債利回りが4%台と過去最低に低下しているのと対照的だ。』

このような状況では、『中国による(米国債の)売却観測も浮上しかねない』が、中国発、『○○ショック』がいつ起きても不思議ではない。100周年の中国共産党だが、焦りが見え隠れしている。