中国株、マネー流出加速で高値の半分に


中国株、マネー流出加速で高値の半分に

2021年7月28日日経新聞に『中国株、マネー流出加速~指数急落、高値の半分に ITや教育産業へ当局が統制強化』が報道されている。

『中国株からマネーが急速に流出している。中国当局の規制がIT(情報技術)プラットフォーム企業から教育産業にまで広がっているためだ。2022年に共産党大会を控える習近平(シー・ジンピン)指導部は、長期政権に向けて国民の支持を得ようと、独占的な地位を築いた大企業への統制を強める。中国株を巡る市場の警戒は続く見通しだ。

27日の中国・上海株式市場で上海総合指数は前日比2.5%安と約1年ぶりの下落率となった。前週末に中国共産党と国務院(政府)が小中学生向け学習塾の非営利団体化を柱とした規制策を公表したことが響いた。統制の対象は教育だけではない。26日には国家市場監督管理総局など7部門が連名で、配達アプリの運営会社に対し社会保険の加入など配達員の権利を保護するよう求める指導意見を発表した。香港市場に上場する配達アプリ大手の美団は27日、前日比17.7%安と急落した。香港の代表的な株価指数のハンセン指数は前日比4.2%下落し、下落率は約1年2カ月ぶりの大きさとなった。20年末と比べると、美団は34%安、学習塾などを運営する新東方教育科技集団は89%安だ。

マネー流出の動きは中国全体に及ぶ。中国人民元は27日に対ドルで1ドル=約6.51元と、約3カ月ぶりの元安水準に下落した。中国企業の米国預託証券(ADR)の値動きを示す米ナスダックのゴールデン・ドラゴン・チャイナ指数は26日、前週末比7.0%安と急落。2月中旬に付けた高値から半値近くまで下げた。

中国政府の相次ぐ規制強化の背景には22年の党大会を前に権力基盤を固めたい習指導部の存在がある。習指導部は教育機会の不平等につながりかねないとして、学習塾など義務教育外の教育費高騰を問題視していた。最近では少子化対策として1組の夫婦に3人目の出産を認める制度改正に着手。高い教育費が少子化対策の妨げになるとの見方がある。
中国政府は上場するIT関連など大企業の統制を強める一方、雇用の大半を占める中小零細企業を保護する方針を鮮明にする。幅広い国民から支持を集めたい考えだ。劉鶴(リュウ・ハァ)副首相は27日のフォーラムで「中小企業は雇用維持の主役であり、中小企業が良くなってこそ中国経済も良くなる」としたうえで、「発展と安全の(政策的)調整は、公平な競争環境を保護することなどが目的」としてデータセキュリティーなどを理由にした巨大企業への統制強化の必要性を強調した。ITプラットフォーム企業、教育企業に続く焦点のひとつが不動産開発会社だ。習指導部は、教育費と並ぶ国民の大きな不満である住宅費の高騰にも切り込む姿勢を示している。不動産開発会社は多額の債務を抱えているだけに、今後の規制動向次第では中国経済の下振れ要因となり得る。』

2021/07/12『中国が海外上場の規制強化』のT-modelコラムにおいて、

『チャイナインターネットETFという上場投信には、日本でも有名なテンセントHD(10.27%)、アリババグループ(9.09%)、バイドゥ(3.92%)が上位に組み入れられている。株価は21年2月17日103.56でピークを打ち、直近7月8日安値60.01まで-42%の暴落となっている。中国政府による海外上場の規制強化よりも先にと急落していることになるが、ちょうどビットコインの急落時期と一致していることから、「チャイナマネー」がこの頃から流出したのではないだろうか。中国株全体へはまだ波及はしていないが、チャイナショックの2015年以降、同ETFと中国株全体との連動性は高まっていることから今後、注意が必要だろう。

実は、最近の日本株は米国株よりも中国株との連動性が高まっている。一部の市場関係者には「日本株はワクチン接種の遅れで出遅れている」との指摘もみられるが、日本株が出遅れているのではなく、中国株との連動性が高まっているに過ぎないのである。』と指摘した。

「チャイナインターネットETF」は直近7月27日安値45.77と、ピークから-56%の暴落で、冒頭の記事で紹介する米ナスダックの「ゴールデン・ドラゴン・チャイナ指数」に近い動きとなっている。特に、日経平均への寄与度が大きいソフトバンクグループとファーストリテイリングは「チャイナインターネットETF」と同様な株価の動きで、日経平均を押し下げる一因ともなっている。両社に共通するリスクとして、「中国リスク」が取りざたされており、ソフトバンクグループはビジョンファンドを通じて多くの中国企業に投資を行っている点、またファーストリテイリングは新疆ウイグル自治区における人権問題について明確な姿勢を示していない、など海外投資家の疑念が株価に影響する。ソフトバンクグループは3月16日高値10695円→7月28日安値6706円(-37%)、ファーストリテイリングは3月8日高値99250円→8月2日安値73380円(-26%)へ急落している。

今後の注目点はチャイナショックの2015年以降、連動性が高まっているこの「チャイナインターネットETF」の動きが中国株全体に波及するかどうかの一点ではないだろうか。冒頭の記事の「習指導部は、教育費と並ぶ国民の大きな不満である住宅費の高騰にも切り込む姿勢を示している。不動産開発会社は多額の債務を抱えているだけに、今後の規制動向次第では中国経済の下振れ要因となり得る。」の指摘があるが、それは『「チャイナインターネットETF」の動きが中国株全体に波及』することを意味する。「中国政府が突然どのような産業規制を打ち出すか予想ができない」との世界の投資家の不安が払拭されない限り、中国株にマネーは戻ってこないだろう。少なくとも一年は続く可能性があるのではないだろか。