付加価値税と消費税

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付加価値税と消費税

2019年9月30日日経新聞に『主要国、消費税が頼り~税収の2割、30年で倍増』が掲載されている。

『主要国で消費税への依存度が高まっている。日本が平成の始まりとともに導入し、税収の軸足を所得税などから移してきたのと同じように、先進国の税収に占める比率は約30年間で2倍近い20%に上昇した。グローバル化とデジタル化の加速で企業や個人の所得は正確な把握が難しくなっており、消費への課税は一段と進みそうだ。

税金には負担者がそのまま納税者となる「直接税」と、負担者と納税者が異なる「間接税」がある。直接税は所得税や法人税など。間接税の代表が幅広い製品とサービスに課す消費税で、ほかにも酒税のような特定の品目ごとの税がある。日本は平成の30年間で消費税を軸とした間接税シフトを続けてきた。平成の初めに国と地方を合わせて79対21だった直接税と間接税の比率は、2018年度には68対32に変化。10月に消費税率を引き上げる19年度は67対33(国税では58対42)となる見込みだ。

この間、世界でも日本の消費税に相当する付加価値税が拡大した。経済協力開発機構(OECD)によると18年末時点で168カ国が採用し、1990年の3倍超に増えた。OECDに加盟する先進国では税収(社会保険料を含む)に占める比率は85年に11%だったが、16年には20%まで高まった。日常の消費に広く課税する付加価値税は法人税や所得税より景気変動の影響が小さく、社会保障などで拡大する財政を支える税として頼りにされている。同じ間接税でも酒など特定の製品やサービスへの課税は負担が偏るため縮小されてきた。

付加価値税とは反対にじわじわと存在感が下がってきたのが法人税だ。17年までの10年間で、主要先進国のほぼすべてで低下。英国は10%から8%強、フランスやドイツは7%前後から5%前後となり、日本も17%弱から13%弱に下がった。低下した原因の一つが企業活動のグローバル化だ。各国は法人税率の引き下げにより、工場や地域本社の誘致を競い合うようになった。さらに経済のデジタル化が進み、利益の源泉がモノからノウハウやデータに移ったことも影響している。IT(情報技術)大手などはこうした無形資産をアイルランドといった法人税率の低い国の法人に置き、そこに他国の法人が収入の一部をロイヤルティーやブランド料として払う仕組みを構築。他国の法人の利益を圧縮し、全体の納税額を抑えている。

企業の利益からの徴税が徐々に難しくなり、主要国は消費税のような取引ごとの課税や売上高への課税に活路を見いだそうとしている。英仏などによる「デジタルサービス税」の導入もその一環だ。IT大手のネット広告事業などに限定して売上高の一定割合を支払わせる仕組みで、法人税より確実に徴税できる。こうした課税は「アマゾン税」と呼ばれ、米税務ソフト会社アバララによると導入した州は既にニューヨーク、ミシガンなど24に達する。20カ国・地域(G20)とOECDはデジタル時代に対応した法人税ルールを見直しているが、取引や売り上げをベースにしたより確実な課税に傾く流れは止まりそうにない。』

消費増税目前にこのような記事が掲載される意図を我々は理解しておかなければならない。先進国の付加価値税と日本の消費税を比較して、いかにも日本の消費税が低いかの印象を与えようとしているかのようだ。いつも指摘しているように付加価値税と消費税とは全く異なる税制である、令和新撰組の山本太郎代表が「ダイヤモンドと紙おむつが同じ税率はおかしい」と述べているように、付加価値税は高付加価値のものに税率を高くして、付加価値の低い商品は税率0%のものも多い。イギリスは付加価値税率20%だが、食料品や医薬品などはゼロ税率である。

この記事で注目すべきポイントは、先進国の付加価値税が20%と高いにも関わらず、「先進国の税収に占める比率は約30年間で2倍近い20%に上昇」という点である。それに対し、日本の税収に占める消費税の比率は19年度31%に高まる見込みで、30年間で5倍に上昇している。つまり、主要国の付加価値税よりもすでに消費者には重税感が強いことを示している。また問題はアベノミクス以前は税収に占める消費税の比率が上がれば上がるほど一般会計税収全体がそれに連動するように減少してきたことで、現在はアベノミクスによる株価対策で一時的に一般会計税収が過去最高となっているだけである。仮に将来、世界同時株安などで株価が下落すると一気に一般会計税収は減少、同時に、税収に占める消費税の比率も一気に上昇するリスクを含んでいる。2014年4月からの消費税5%から8%への増税以降、日本の消費が一向に回復してない現状をみると今後、日本の消費がどこまで落ち込むのかが懸念される。現在はラグビーのワールドカップ、来年は東京五輪開催で多くの訪日外国人による消費下支え効果があり、また消費増税対策による来年6月までのポイント還元で日本の消費低迷は表面化しにくいかもしれないが、オリンピック以降は警戒しなければならない。今からそれに備えて我々は準備を怠らないことが重要ではないだろうか。