市場にはバイデン次期政権の追加対策200 兆円を織り込んでない?

市場にはバイデン次期政権の追加対策200 兆円を織り込んでない?

2021/1/15日本経済新聞 夕刊一面に『米、追加対策200兆円~ バイデン氏、現金給付14万円 経済再建策、来月表明へ』が報じられた。

『バイデン米次期大統領は14日、1.9兆ドル(約200兆円)規模の新たな新型コロナウイルス対策案を発表した。現金給付を1人当たりさらに1400ドル(約14万5000円)支給するほか、失業給付の特例加算も9月まで延長する。臨時の財政出動はトランプ政権から合計で6兆ドル弱に近づき、巨額の経済対策で景気の早期回復を図る。

バイデン氏は米東部時間14日夜(日本時間15日午前)に地元デラウェア州で演説した。「米国はパンデミック(大流行)と経済悪化の2つの危機にあり、時間を空費する余裕はない」と早期の経済対策の実現を訴えた。今回の1.9兆ドルの対策は「失業者などへの第1弾の経済救済案にすぎない」と述べ、2月に予定する両院合同議会での演説で「インフラ投資などの経済再建策を改めて表明する」と主張した。バイデン陣営が公表した経済対策案によると、1.9兆ドルのうち1兆ドルは家計支援に振り分け、生活者1人あたりで最大1400ドルの現金を追加で給付する。現金給付は20年3月に1200ドル、同12月に600ドルの支給を決めており、今回で3回目だ。失業給付を積み増す特例措置も9月まで延長する。ワクチン配布などに4000億ドルを充てる。財政難の州・地方政府にも3500億ドルを支援し、500億ドルは中小企業対策とする。連邦政府は関連法で時給7ドル25セントを最低賃金と定めているが、2倍の15ドルに引き上げる案も盛り込んだ。

米政権・議会は3月以降、すでに4回のコロナ対策を発動している。20年12月末には9000億ドルの追加財政出動を決めたばかりで、対策規模は4兆ドルと国内総生産(GDP)比で20%前後に達している。1.9兆ドルを積み増せば、GDP比で3割近い景気刺激策となり、過去例のない巨額の連続財政出動となる。税財政の決定権は議会にあり、バイデン氏が提示した経済対策の実現は上下両院の審議次第だ。下院は法案通過に必要な過半数を民主党だけで確保するが、上院は50対50で拮抗する。上院は議事妨害を避けるために通常は100議席中60の賛成が必要だが、予算関連法案に限った特例を使えば51票の単純過半数でも可決できる。ただ特例を使うには長期予算の大枠を定めるなど複雑な手続きが必要で審議に一定の時間がかかる。』

トランプ政権下で経済対策は約4兆ドル規模を決定したが、バイデン次期政権で約2兆ドル追加し、合計で約6兆ドルに膨らむ予定である。バイデン次期政権下で約2兆ドルの追加経済対策が上院を通過するかどうかは最大の注目点だが、それよりも気になるのは、この追加経済対策の財源である。昨年のトランプ政権下の約4兆ドルに対してはFRBによる資金供給で実施する予定だが、バイデン政権下の約2兆ドルはFRBがさらに資金供給するのか、それとも一部を増税で補う予定なのか。今回の発表では明らかにされていない。さらに、2月の両院合同議会では、改めてインフラ投資などの経済再建策を発表する予定だが、再生可能エネルギーや高速通信網などに10年で1.7兆ドル(約185兆円)を投資する選挙公約だとすると、その財源についても気になるところである。最近の長期金利上昇の兆しのなか、昨年までのようにFRBによる大規模な資金供給が可能となるのだろうか。それが難しいようなら増税に頼らざるを得なくなるが、増税での景気対策では株価を押し上げることにつながりにくい。またバイデン氏は新型ウイルスのパンデミックに打ち勝つと約束し、昨年の米大統領選では共和党のドナルド・トランプ大統領よりも新型ウイルス問題にうまく対処すると誓っていた。仮に、公約通り、新型ウイルス問題をうまく対処することができると、皮肉にも金利上昇を招き、経済対策の財源確保がより難しくなることは明らかだろう。まずは昨年12月の追加経済対策に対する資金供給を1月26日~27日のFOMCでどのような決定をするのかが注目される。