感染拡大前の水準を超えた「2020 年7月景気ウォッチャー調査」

感染拡大前の水準を超えた「2020 年7月景気ウォッチャー調査」

内閣府は20年8月11日、「2020年7月景気ウォッチャー調査」を発表。同指標は株価の1~2ヶ月先行指標で政府統計では最も有効。

2020年7月「街角景気」の「現状判断DI」は前月比+3.3%Pの41.3%(原数値)と、3ヶ月連続改善。水準は景気の別れ目となる50%を27ヶ月連続で割り込んだが、感染拡大前の今年1月40.6%を6ヶ月振りに超えた。前年比ベースでも-0.4%Pと、3~4月に2ヶ月連続3割台の過去最悪の悪化からは改善、1月以来の1ケタ台のマイナス幅まで縮小している。政府などの観光促進策で宿泊施設や旅行会社などの旅行を含むサービス関連の景況感が改善した一方、小売り関連は3ヶ月振りに低下。6月末で終了したキャッシュレス・消費者還元事業の駆け込み需要の反動減に加え、高額商品が動いた10万円の特別給付金の効果が薄れている。「特別定額給付金」については現状のコメントで39件、先行きのコメントで10件あり、肯定的な意見が多いが、効果が薄れるとの指摘や再度の支給を求める声も多々見受けられる。尚、メディアでは、2016年10月分から発表を開始した「季節調整値」を使用しているが、現状判断DIは前月比+2.3%Pの41.1%と過去最高の改善と、原数値と方向感が同じで違和感はない。

T-Modelにおいて「景気判断」に最も重要なのは移動平均との乖離幅で、19年6月-2.2%→7月-3.2%→8月-1.7%→9月+1.6%→10月-6.0%→11月-2.3%→12月-0.3%→20年1月-0.3%→2月-10.9%→3月-17.5%→4月-19.4%→5月-9.5%→6月+13.6%→7月+16.7%と推移。9ヶ月振りにプラス圏に浮上した6月から2ヶ月連続で大幅上昇から景気が急回復していることを示している。内閣府は「厳しさは残るものの、持ち直しの動きはみられる」と6月上方修正を据え置いた。

2─3カ月先を見る「先行き判断DI」は前月比-9.4%Pの35.4%で、3ヶ月振りに悪化。景気の別れ目の50%を18ヶ月連続で下回っている。前年比ベースは-8.5%Pと、22ヶ月連続マイナス圏を記録だか、3月-29.2%、4月-30.8%の過去最悪の悪化からはマイナス幅が大幅に縮小している。「Go To トラベルは始まったが、感染者も増え、また振り出しに戻らないか怖い」など現状判断とは逆に、飲食やサービスの低下幅が大きく、新型コロナウィルスの感染再拡大への懸念が目立つ。尚、「季節調整値」は前月比-8.0%Pの36.0%と、3ヶ月振りに悪化、景気の別れ目の50%を20ヶ月連続で下回ったが、原数値と同じ傾向で違和感はない。

一方、関東地区の先行きDI(家計関連)は前月比-8.3%P の35.0%と3ヶ月振りに悪化、景気の別れ目の50%を20か月連続で下回っている。前年比ベースでは-8.2%Pと22ヶ月連続で悪化しているものの、過去最悪に悪化した3、4月からはマイナス幅が大幅に改善している。全国先行きDI(家計関連)34.9%であることから、全国ベースを5ヶ月振りに上回った。ただ、「関東-全国の差(移動平均ベース)」は、19年6月-1.6%→7月-1.4%→8月-1.1%→9月-0.6%→10月-0.2%→11月-0.2%→12月+0.4%→20年1月+0.7%→2月+0.6%→3月+0.2%→4月-0.2%→5月-0.5%→6月-1.3%→7月-1.6%と推移。新型コロナウイルスの感染拡大が一時的に1930年代の「世界大恐慌」レベルに実体経済が悪化するなか、FRBによる驚くような資金供給で3月までは世界的金融危機を避けることができたが、4月-0.2と5ヶ月振りのマイナス圏に陥った後、5月-0.5%→6月-1.3→7月-1.6%%とマイナス幅が拡大し、世界的金融危機を示唆し始めている。尚、過去、同指標は07年のサブ・プライムローン問題、08年のリーマン・ショック、11年欧州債務危機、15~16年の「チャイナ・ショック」など世界的な金融危機の局面で大きく悪化、それは関東地区が地方に比べ世界の金融危機に左右されやすい経済構造になっているためである。

また、同指標は10ヶ月先の日本の株式市場を占う上でも重要な指標。同指標19年6月までフリーフォールのような急落をみせたことで、株式市場は特に、年末年始頃から要注意の時間帯に入ることを警告し続け、20年の年明けからイラク戦争勃発に始まり、今回の「コロナショック」による「リーマンショック」を超える記録的な株価急落で、同指標の「フリーフォール」のような急落を証明した。ただ、同指標は今年4月をボトムに急上昇していることから、今回の新型コロナ肺炎のマーケットへの影響が春頃には一旦、一巡し、急速に株価が戻ることを示唆していたが、ナスダック総合指数、S&P500両指数がともに過去最高値を更新したことで、同指標の予告が現実化している。同指標は11月の米大統領選挙に向けて株価がもう一段上昇が見込める一方、大統領選挙を境に、再び、今回のコロナショックのような急落を示唆する危険な時間帯が到来する可能性を示唆している。そのときに重要なポイントは、何をきっかけに急落するかも気になるところだが、それが急落調整で終わるのか、それとも暴落に発展するのか。まだまだ先の話だが、今から注意しておく必要があるだろう。