投資家の「恐怖」が和らぐ時期はいつになるのか?

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投資家の「恐怖」が和らぐ時期はいつになるのか?

2018/10/20日経夕刊に『投資家の「恐怖」和らぐには』が掲載されている。

『米株相場は19日も不安定な動きだった。投資家の脳裏には、長期金利上昇をきっかけに過去最大の下げ幅となった2月の記憶がちらつく。金融サービス会社ミラー・タバックのマシュー・マリー氏は「もう少しパニック的な売りを経ないと上昇相場に戻れないと考えているようだ」と話す。投資家の恐怖心は資金フローにも表れている。

米調査会社のEPFRによると、17日までの1週間に世界の株式ファンドから158億ドル(約1兆7700億円)が流出した。4カ月ぶりの大きさだ。流出額は米国株だけで148億ドルに達した。債券ファンドからも81億ドルが流出しており、投資家が現金化を急いだ様子がうかがえる。

腰が引け気味の投資家。これに対し、アナリストからは過度な悲観は不要との声も出ている。JPモルガン・チェースのドゥブラフコ・ラコスブハス氏は「ファンドによる機械的な売りは8割は終わった。調整は短期で済むだろう」と主張する。同氏が目先の買い手として期待するのは企業の自社株買いだ。決算発表の前後は上場企業は自社株買いができない。米株相場が急落した先週は3分の2の企業が禁止期間中だった。それが29日には3分の1にまで低下するという。主要500社が今年発表した自社株買いは7430億ドルと、昨年の年間実績をすでに35%上回る。「今年は最終的には9000億~1兆ドルに増える」(ラコスブハス氏)と予想する。買い切りで売りがないため、実質的に最大の買い手とみられている。』

また、2018/10/13日経新聞に『「恐怖指数」が株安加速 世界的連鎖、ひとまず沈静機械的売り再び誘発も』が報道されている。

『米ダウ工業株30種平均は10、11日の2日間で合計1377ドル(5%)安と大幅に下落した。長期金利の上昇などを受けてVIX指数が急騰し、同指数に連動する形で運用している一部のファンドから機械的な売りが出たようだ。VIX指数は「市場がみる今後の株価変動率(ボラティリティー)」を示し、「恐怖指数」とも呼ばれる。株安による将来の損失を回避するためなどに使う金融商品、「オプション」の値動きから算出する。VIX指数は10日に約4割上昇して一時約23に達し、11日には約29まで上昇した。通常、VIX指数が20を超えると市場の不安心理が高まっていると解釈される。

VIX指数の上昇が株安を招く背景には、株価のブレ(リスク)が大きくなると機械的な売りを出す「リスク・パリティ」と呼ばれるファンドの存在がある。株や債券など資産ごとの価格のブレを注視し、それが資産間で等しくなるように調整しながら運用している。ある資産の変動率が上昇した場合には、機械的にその資産の持ち高を圧縮するための売りを出す。2008年の米金融危機後に普及したとされる。

市場ではVIX指数が急上昇すると、「落ち着くまでに1カ月程度はかかる」(野村証券の伊藤高志氏)との指摘がある。リスク・パリティ型のファンドが変動率の上昇に見合うだけ株式の持ち高を圧縮するには時間がかかるケースもあり、株式市場での需給悪化からVIX指数が上昇しやすい地合いが続くためとされる。18年2月にVIX指数が急上昇した際も、その後しばらく同指数は落ち着かない動きを続けた。今回の株安は「リスク・パリティ型ファンドによる売り」という需給上の要因で増幅された側面がある。その一方で、米中間の貿易戦争が激化しているうえ、米国の金利上昇を受けて新興国経済・市場は不安定さを増し、英国による欧州連合(EU)からの離脱交渉がどう着地するかもみえない。「不安心理」が簡単に高まってしまう今の株式市場は、世界経済の不確実さを映してもいる。』

前者の記事は、「上場企業の自社株買いで調整は短期で済む」との見方であり、後者の記事は、「リスク・パリティ型のファンドの普及で落ち着きまでに1ヶ月はかかる」との見方。どちらの見方が正しいのか?2月に起きた「VIXショック」の時期は米株価は2~3月の2ヶ月間、下落傾向が続いたが、実は、この「VIXショック」が起きた18年1~3月期の時期に米主要企業の自社株買いは前年同期に比べて5割増えていた。つまり、自社株買いでは「リスク・パリティ型のファンド」の売りを止められないことを示している。従って、現在の「恐怖」が和らぐには少なくとも「2ヶ月」程度は考慮しておいた方が良いのではないだろうか。

T2ボラティリティ指数(週足ベース)では、2月に起きた「VIXショック」の時期は2月26日週+5.5%まで急拡大し、その影響が3月まで継続したかたちだったが、今回は急拡大が始まっているものの10月22日週段階では+3.4%(予想ベース)とまだ2月の水準には達していない。過去平均の水準が4%強で、今後、ここを上回るようだと2~3月と同様な底入れパターンになる可能性が高まってくる。11月6日の米中間選挙までは米株式市場も様子見の姿勢が強まることが予想されるためボラティリティが縮小する可能性がある一方、投機筋が中間選挙に向けて思惑を利用して、何らかの仕掛けで米株式市場を上下させ、T2ボラティリティ指数(週足ベース)を更に高まめる可能性も否定できない。いずれにせよ今後の株価変動が調整期間の時間を長ひかせるかどうかの重要指標となってきていることだけは確かである。