新政権下でのT-Modelの『ドルインデックスの15年サイクル』


新政権下でのT-Modelの『ドルインデックスの15年サイクル』

2021/1/20日本経済新聞夕刊に『新政権下でもドル安予想』が掲載されている。

『イエレン前米連邦準備理事会(FRB)議長が19日、米上院での財務長官の指名承認に向けた公聴会で所信を述べた。トランプ政権と一線を画し、ドル安を目指さない姿勢を強調したが、ドルは上昇するどころかやや下落。強力な財政出動と金融緩和の長期化に期待が強まっており、市場のドル安シナリオにはむしろ追い風となった可能性がある。「米国は競争を有利にするために弱いドルを求めることはない。他の国がそのようにすることにも反対だ」。ドル政策の姿勢を問われたイエレン氏は明確に立場を示した。トランプ大統領は製造業の競争力を高めようと、何度もドル高をけん制し、FRBには金融緩和を求めてきた。イエレン氏はオバマ前大統領時代の米政府のスタンスに戻すことを宣言した形だ。イエレン氏の発言は主要20カ国(G20)財務相・中央銀行総裁会議での合意事項だ。自国通貨安を目標に財政や金融緩和を進めると、国際的な通貨安競争につながる。国内経済情勢に見合わない政策が繰り広げられ、世界経済の安定を揺るがしかねないからだ。つまりイエレン氏は国際金融の原則論に
回帰するということを主張したにすぎず、「ドル安は好ましくない」「強いドルが国益だ」などというメッセージを送ったわけではない。「通貨安」を目的としない経済政策の結果、ドル安になっても、それ自体が国内外で問題になるわけでもない。

むしろドル安を促したのは財政運営のスタンスだ。イエレン氏は経済再生を最優先する姿勢を強調して、政府債務については「金利が歴史的低水準なため、大規模な対策を打てる」と述べた。政府債務の積み上がりも「長期的には経済対策の効果の方がコストを大きく上回る」と指摘。国債の大増発をいとわない姿勢を示した。イエレン氏がFRB議長を務めていた時代に理事として支えたのがパウエルFRB現議長だ。パウエル氏はかねて強力な金融緩和を続ける姿勢を示した上で、財政の出動を繰り返し求めてきた。財務省とFRBの歯車がかみ合った形で、国債増発と金融緩和の組み合わせは一段と強固になる。』

イエレン氏が「ドル安を目指さない方針」と報じられ、一見、「強いドルが国益だ」との考え方なのかと思われたが、冒頭の記事にあるように「米国は競争を有利にするために弱いドルを求めることはない。他の国がそのようにすることにも反対だ」と「通貨安競争」に釘をさしただけだ。T-Modelの『ドルインデックスの15年サイクル』説はイエレン氏が財務長官となっても変わらないということである。T-Modelの『ドルインデックスの15年サイクル』については、拙書『暴落はまだ終わっていない』の第6章の『アメリカが財政赤字を解消する「15年サイクル」とは』(P193)で説明しているのでそちらを参考にしていただきたいが、ドルの「15年サイクル」のピークは16年12月102.29で打ち、現在はなだらかな「ドル安」過程に入っている。「15年サイクル」からみると、今後は2024~25年に向けてドルは大きく下落することになるが、何を契機にドル安を強めるのか。ドルの指数はあと2%あまり下落すれば、約6年ぶりの安値を付けるが、特に、18年1月末88.95を割り込むとドル安が加速する。それは同時に、米国株安の始まりとなり、ユーロ高、原油高を誘発することだろう。18年1月末88.95まで「首の皮一枚」で割らないようにキープしているように見えるが、逆に、相場をガラリと変えたい勢力からするといつ、どのタイミングで一気に割り込ませようかと狙っているのではないだろか。さて、いつそれを仕掛けてくるのだろうか。