米住宅価格が12年9月以来、6年5カ月ぶりの低い伸び

190517塚澤

米住宅価格が12年9月以来、6年5カ月ぶりの低い伸び

4月30日、米S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズが発表した2月ケース・シラー住宅価格指数(主要20都市)は前年同月比で3.0%上昇した。特に、米西海岸で住宅の価格調整が進み伸び率が縮小、12年9月(3.0%)以来、6年5カ月ぶりの低い伸びとなった。20都市の価格指数の上昇率が前月から縮小するのは11カ月連続。20都市のうち、19都市で前月より伸び率が鈍化しており、都市別でみると、伸び率が低かったのはサンディエゴ(1.1%)、サンフランシスコ(1.4%)、ロサンゼルス(1.8%)で西海岸の伸び率の低さが目立った。逆に、上昇率が高かったのはラスベガス(9.7%)、フェニックス(6.7%)。S&P指数委員会のデビッド・ブリッツァー委員長は伸び悩みの理由を「住宅販売や着工件数が弱含み、消費者の住宅投資も同様に減少しているため」と分析している。

2018/07/23『「張りぼて」4 %成長への不安』』のT-Modelコラムにおいて、

『住宅関連で注目しなければならないのは「住宅価格」である。代表的なのは「ケースシラー米住宅価格指数」だが、住宅ブームのリーマン・ショック前の高値06年6月206.38を18年4月210.17で超えてしまった。何故、同指数に注目なのかというと、同指標とNYダウとの連動性が高いためである。住宅ブームのリーマン・ショック前までは住宅着工件数とNYダウは連動していたが、現在はその両指標は大きく乖離しており、米住宅価格が住宅着工件数の替わりとなっている。以前に何度も指摘したように米経済は家計債務の拡大による消費で支えられているのが現状だが、この住宅価格の史上最高値も家計債務の拡大をサポート。このように株価と住宅価格の高騰が米経済の根幹を支えていると言っても過言ではない。だからこそ両価格を支えなければならないのである。

では、どうなると住宅価格は下落し始めるだろうか。住宅ブームのリーマン・ショック前を検証すると、住宅着工件数(移動平均ベース)の前年比がマイナス圏に陥り始めたときに住宅価格が下落し始めていることが分かる。18年6月移動平均ベースでは前年比+6.7%とまだ余裕がありそうだが、現状維持ではいずれマイナス圏に陥る。そのため、少しでも住宅着工件数を増やしていかなければならない。そのために学生ローンを抱えて住宅購入が低水準のミレニアル世代(2000年代に成人あるいは社会人になる世代。ベビーブーマーの子世代にあたるY世代やデジタルネイティブと呼ばれる世代と重なる。)にアプローチをかけているのだろう。住宅着工件数(移動平均ベース)がマイナス圏に陥ったときに住宅価格とNYダウは同時崩壊する可能性が高いわけだが、それはミレニアル世代の住宅購入にかかっている。』と指摘した。

住宅着工件数(移動平均ベース)は18年12月-0.4%とマイナスに陥り、19年1月-1.8%→2月-4.2%→3月-7.4%とマイナス幅が加速している。冒頭の記事は、約1年前に危惧していたことがいよいよ表面化したことを示している。
市場では、『住宅購入が活発化する春に向けて住宅ローン金利が低下しているため「短期的にはより強い住宅データが出てくる」と見ている。米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)によると、住宅ローンの30年固定金利は足元で4.28%と、18年2月以来の低水準となっている。住宅ローン金利が継続的に低下すれば、これまで新居購入をためらっていた消費者のきっかけになる公算が大きい。』との楽観的な見方が増えていることは以前、報告したが、本当に住宅ローン金利が低下するだけで住宅市場は回復するだろうか。建築業者の労働力不足や材料費高騰といった根本的な問題が解消したわけではなく、また、先行き住宅価格が上昇しにくいなかで高価な住宅購入を急ぐ人がどれだけいるだろうか。今週16日に米4月住宅着工件数が発表されるが、市場関係者が期待する春の最初の住宅指標となる。先ずはそれをチェックしてから今後を予測することにしよう。