米国の失業率30%超の可能性は対岸の火事ではない

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米国の失業率30%超の可能性は対岸の火事ではない

2020/4/19日経新聞に『派遣雇用、数十万人減も~「リーマン超え」の恐れ』が掲載されている。

『新型コロナウイルスの感染拡大で派遣社員の雇用が脅かされている。製造業中心に「派遣切り」の嵐が吹き荒れた2008~09年のリーマン・ショック時と比べ今回の危機は非製造業でも需要が急減しており、数十万人規模の雇用が失われる懸念がある。危機の回避には、派遣会社に人件費負担を肩代わりしてもらっている派遣先企業の支援がカギを握りそうだ。

今、派遣業界では多くの派遣社員が雇い止めを通告される「5月危機」がささやかれている。派遣は有期雇用が多く、四半期ごとの3カ月更新が一般的。更新時には契約期限の1カ月前に通知する必要がある。現在働いている派遣社員は2月末に更新が決まった人が多い。「5月末に更新が決まる派遣は10万人以上。このタイミングが雇用を守れるかの最初の山場」(業界団体)という。

派遣会社が直接雇用する社員を工場や店舗に送り、働いてもらう派遣社員は04年に製造派遣が解禁されて以降、急速に広がり、現在国内に約140万人いる。人件費を派遣会社が負担してくれる「雇用の調整弁」とも位置づけられ、リーマン危機時には1年間で約30万人の派遣の雇用が失われた。リーマン危機時は世界販売が低迷する製造業に雇用不安が広がり、半年ほどの間隔をおいて流通業など内需型の産業にも影響が出た。今回はインバウンド(訪日客)需要の急減でホテルや百貨店が打撃を受け、間を置かず製造業に影響が広がるなど、状況はより深刻だ。

派遣先の仕事がなくなり、契約が打ち切られても派遣会社は派遣社員に休業手当を支払い、新たな職場を紹介する義務を負う。ただ、現状新たな派遣先は見つけにくく、人件費負担だけが大きくなる。全国2万以上の派遣会社は多くが中小零細で、派遣先の雇い止めが続出すれば会社が立ちゆかず解雇も視野に入れざるを得ない。』

昨年5月に出版した拙書『いま持っている株は手放しなさい!』の『次に金融危機が来るとクビ切りが進む!?』(P44)において、

『今度起こる金融危機での雇用カットは、リーマン・ショックの時と違って、多くの人に影響を及ぼすはずです。なぜなら、10年前は正規雇用者が多く、企業側は希望退職を募るなど、穏便な形でリストラを行いましたが、現在は非正規雇用者が4割弱ほどいます。企業は、まずはバイトや派遣、契約社員など非正規雇用をバサバサ切っていくことでしょう。

かつては会社にもお金があったので“窓際族”であっても給料はもらうことができましたが、それも難しくなります。大会社ほど、“社内失業者”がたくさんいる人余りの状態ですから、非正規雇用者の次は仕事をしない正社員があぶりだされます。いまは有効求人倍率が1.6倍くらいですが、これも急激に下がっていくでしょうね。

今年(19年)は大丈夫かもしれません。しかし、20年以降はどうゆう社会が待っているのか—-相当厳しい現実が待ち受けていることだけは間違いないでしょう。』と今、始まろうとしている光景を予測している。

こうしたなか、各国が雇用維持のギリギリの攻防を続けている。16日、米政府が3月下旬に「給与保護プログラム(PPP)」として中小企業向けに用意した約3500億ドル(約38兆円)の融資枠が利用上限に達した。PPPは企業が支払う給与など人件費の2.5カ月分を融資する。雇用を維持すれば返済が減免される実質的な補助金だが、利用企業が殺到し短期での予算「蒸発」を招いた。米国では政府による総額38兆円もの中小企業向け賃金補填の予算が2週間で底をついた。PPPはなお数十万社以上の企業が利用を望んでいるとされ、米政府は枠の拡大を検討している。ドイツは操業時間を短縮した企業に国が従業員の賃金の減少分を補填する時短手当制度を設けているが、申請件数は4月半ばまでに72万5千社に膨らんだ。補助対象者数がリーマン・ショック直後の2009年の140万人を上回るのは確実だ。フランスも時短勤務か休職状態の人が15日までに約870万人に上り、3月に休職手当などで総額450億ユーロ(約5兆円)の予算を確保したが、4月15日には1100億ユーロに引き上げた。

経済停滞を防ごうと米欧が雇用対策にスピードを上げるなか、日本は2月中旬から、雇用を維持した企業に休業手当を助成する雇調金の支給要件を段階的に緩和した。4月から休業手当の最大9割を助成する。13日までに約11万8千件の相談が寄せられているが、申請には労使の合意のほか、休業する従業員の人数や日数など詳細な休業計画の提出が必要で、手続きの煩雑さから厚生労働省が把握する最新(4月10日)の申請件数は約460件にとどまり、支給が決定したのもわずか3件。オンライン申請もできない。

欧米に比べて日本の本気度が問われそうな状況だが、これは危機感のなさか、それは近未来への想像力の欠如か。現在すでに表れているデータからでもこれから到来する近未来は容易に想像できるのに「平和ボケ」で生きているからなのか。

米労働省は16日、失業保険の新規申請件数が11日までの1週間で524万5千件に上ったと発表したが、4月の週間平均で665万人に膨らむ。実は、この週間失業保険新規申請件数は過去、米失業率と連動している。この一時帰休を含む現在の「失業予備軍」が実際に失業者すると、米国の失業率は30%超と1930年代の大恐慌時の25%を上回るのは確実である。これを対岸の火事だと思っていられないのが米国の失業率と日本の失業率が2000年以降、連動性を強めているためである。仮に、米国の手厚い雇用維持対策でも失敗に終わって、仮に失業率が今後30%超になるとすると、日本の失業率は最低でも10%超、当局の現在のような危機感なき後手後手の対策を続けているようだと15%~20%まで跳ね上がってもおかしくない状況である。「就職氷河期」と言われたバブル崩壊後の90年代を遙かにはるかに上回る厳しい近未来が訪れようとしているが、リーマン・ショックが始まる1年以上前の2007年1月10日から3月14日まで放送された篠原涼子主演の『ハケンの品格』(ハケンのひんかく)が13年ぶりに続編が放送される予定である(2020年4月15日からだったが新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け放送延期)。これも偶然ではなく、これからの厳しい近未来を暗示しているのかもしれない。

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