米景気の楽観論に勢いを増した2つの経済指標

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米景気の楽観論に勢いを増した2つの経済指標

先週、2つの指標が発表され、米景気の楽観論が勢いを増している。1月16日発表の2019年12月の小売売上高は季節調整済みの前月比で0.3%増えた。調整前の実額は5973億ドル(約66兆円)で、前年同月比の伸び率は6%と、9年ぶりの高さを記録した。19年12月の米小売売上高はネット通販の伸びが顕著で、原油高の影響を除いても高い伸び率となった。19年は米中対立など懸念が重なったが、年間通して内需の強さは揺るがなかった。昨年夏に強まった景気後退懸念はほぼ消え、マネーの米国株への流入が加速している。

もう一つは、米商務省が17日発表した2019年12月の米住宅着工件数で、約160万8千戸(季節調整済み、年率換算値)と前月の改定値より16.9%増加した。主力の一戸建てが105万5千戸で11.2%増加したほか、変動が激しい5世帯以上の集合住宅も53万6千戸で32%増えた。06年12月以来13年ぶりの高水準で、市場では着工件数を押し上げた2つの要因が指摘されている。まず住宅ローン金利の低下で、米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の30年ローン金利は3.65%と、16年以来の水準まで下がった。もう一つは気候要因を挙げる声も多い。天候がデベロッパーに住宅着工を促したことに加え、「季節調整」と呼ばれる統計の技術的な要因でさらに上振れしたとの見立てだ。

NYダウは10月以降、大きな調整もなく史上初の3万ドルまで残り2%強にまで迫っている。9年振りに高い伸びを記録した米12月小売売上高と13年振りの高い伸びを記録した12月米住宅着工件数の2つの好調な経済指標が支えとなっているため、市場では大きな調整が訪れるとの不安は極めて小さくなっている。だが、この2つの好調な経済指標は史上最高値を更新する株価上昇がけん引した結果であり、それを理由に更なる株価上昇を予測することは本末転倒だろう。株価と小売売上高、米住宅価格は極めて連動性の高い指標だからである。

T-Modelオリジナルの米小売指数は19年12月306.8で、リーマン・ショック前のピーク08年7月226を1.36倍の規模に膨らんでいる。NYダウと米小売指数のバランスを示す『NYダウ/米小売指数』は、19年12月93.0で、90年以降で過去最高。それまでの最高だったITバブル時の99年6月78.3を現在は1.18倍上回っている。いかに米景気を支える個人消費を遙かに超える株価上昇となっているバブル現象かが理解できるだろう。好調に見える米個人消費も米株価上昇について行けてない現実が出始めているということであり、その乖離が大きくなればなるほど『第二のリーマン・ショック』が始まるとその衝撃度が大きくなることは容易に想像できる。『NYダウ/米小売指数』の長期推移をみると、ピークとなった99年6月78.3からボトムの09年2月33.4まで約10年かかっているが、逆に、ボトムの09年2月33.4から現在まですでに10年が経過している。景気循環の観点でみればそろそろ天井に近い時間帯に入っていることになるが、どの水準で、またいつピークを付けるかが見えないのもバブル現象の特徴であることから冷静さと緻密さがこれから益々重要な段階を迎えることになるだろう。