途方に暮れる空売り勢

途方に暮れる空売り勢

2020/11/7日経新聞に『途方に暮れる空売り勢~株高想定外、コスト膨らむ』が報道されちぇいる。

『日経平均株価が終値ベースで1991年11月以来の高値を更新した。米大統領選を通過し、不透明感が払拭されたと判断したファンド勢などの資金が先物を中心に流れ込んだ。混乱の長期化を見越して空売りを仕掛けていた個人投資家は翻弄された。レバレッジ型上場投資信託(ETF)で生じた巨額の品貸し料(逆日歩)はその証拠だ。「弱気ポジションを組んでいた多くの個人投資家が急速な上げに耐えきれず、買い戻しを迫られている」。インターネット証券の担当者は明かす。11月4日からの3日間で日経平均株価は1030円上昇。週間でも1350円上げ、売買日が4日間にもかかわらず上げ幅は5月以来の大きさとなった。

「違和感のある上げ」(コモンズ投信の伊井哲朗氏)との指摘があるほどの急激な株高は、先物主導でもたらされた。日経平均先物(ラージ)の売買代金は、大統領選直後にそれ以前の倍以上に膨らんだ。主な買い手は動きの速いヘッジファンドや商品投資顧問(CTA)などとみられる。4年前の大統領選でも、大方の予想を裏切るトランプ氏の当選で日経平均株価が900円下がり、翌日に1000円上げる乱高下が起こった。急速な値動きで損失を抱えた個人投資家も多かった。今年も大統領選後の動向を読み間違えた投資家が少なくなかったようだ。

事前には「開票結果を巡って米国内で大規模な騒乱が起きる」との懸念もあったが、今のところ杞憂(きゆう)に終わった。株安に賭けた個人は弱気ポジションを抱えて途方に暮れているのが実態だ。その動向は日経平均株価の2倍の値動きをするレバレッジ型ETFの取引に表れている。「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」の貸株残高は4日と5日の2日間で、2日の7倍に膨らんだ。多くの個人が先安を見越してETFを借り、空売りをはかったためだ。だが、もくろみ通りに株価は下がらず、日経平均は29年ぶりの水準に上昇した。空売りのために株を借りるコストである品貸し料。個人が借りまくった結果、貸し出すETFが品薄になり、日本証券金融の提示する品貸し料は1日当たり150円に高まった。日経レバの6日の終値は2万2750円で、品貸し料から換算した1日当たりの金利は約0.7%、年間で240%に相当する。巨額の品貸し料を支払って空売りを続けるのは容易ではなく、買い戻しを迫られることになりかねない。この買い戻しが株高に拍車をかけ、さらに損失を膨らませる可能性もある。』

20/07/20『『弱気派台頭の片りん日経レバ、信用売り規制』』のT-Modelコラムにおいて、

『2020/7/17日経新聞に『弱気派台頭の片りん 日経レバ、信用売り規制』が掲載されている。

『日経平均株価の2倍の値動きを目指して運用する「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」(日経レバ)が16日から新規の信用売りができなくなる「売り禁」となった。相場が高値圏にあるとみた個人投資家による信用売りが膨張したことへの対応だ。個人の強い売り意欲が表れた格好で、今後、相場の波乱要因となる可能性がある。

ETFで信用売りをするには、そのETFを借りる必要がある。日経レバの貸株残は15日時点で約180万口と、2016年10月以来の高水準に膨らんでいた。一方、ETFの総口数は、その時々の需給や株価指数の動向で変動する。日経レバの場合、3月下旬に3460万口まで増えた後、15日時点では1064万口と3分の1に落ち込んでいた。貸し出す元の口数減と、信用売りのための貸株需要増が重なったことで貸株の需給が急激に逼迫し、日証金は売り禁が必要と判断した。

もっとも、売り禁で個人の意欲がそがれたわけではなさそうだ。日経平均と逆方向に2倍動く弱気型の「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」(日経Dインバ)の足元の発行済み口数は4億4484万口と過去最高を記録した。コロナショック前の水準に近い2万3000円を目前に、「次は下落」との見方になお傾いている。

ところが、株価が急落する気配はいまのところ小さい。むしろ、日経平均がするすると上昇した場合、日経レバの売方は買い戻しを、日経Dインバの買方は損切りの売りを迫られ、株高に拍車をかける可能性がある。』

2020/06/08『『下げ狙いのETF 人気』の弱気論が台頭?』のT-Modelコラムにおいて、

『投資家は2月~3月のような相場急落調整を再度、期待しているようだが、急落前と異なるのは「裁定売り残」である。2月の相場急落調整前の「裁定売り残」は昨年9月2日週2.06兆円から12月30日週7131億円まで買い戻し終了後だったのに対し、現在は5月18日週2.57兆円の過去最大の「裁定売り残」近辺で推移しているということだ。つまり、これからは買い戻しを警戒しなければいけない局面で、急落を期待していることになる。

何故、このような投資行動をするのかは疑問だったが、世間に溢れる「現在の株価はバブルだ」「いずれ2番底が来る」との弱気論に惑わされた投資家が大半だったのだろう。T2をよく聴かれ、ご理解されている投資家はこんな危険な投資行動はされていないと思うのだが・・。』と指摘。

このT-Modelコラムから約1か月が経過しているが、「裁定売り残」は7月6日週1.8兆円と高水準で残ったままである。そしてもう一つ、冒頭の記事で気になるポイントを指摘しておこう。『日経レバの貸株残は15日時点で約180万口と、2016年10月以来の高水準』との指摘である。2016年10月は英ブレクジット国民投票後で、日経平均が16年9月末16449円と低迷していた時期。だが、同年10月以降3か月連続で株価は上昇し、12月高値19592円まで約2割弱上昇した。今回も同様なことが再現される可能性が高まっており、現在の含み損がさらに拡大するどころか追証が発生する可能性がある。これまで著書やセミナーでは何度もリーマンショック後の米国の量的緩和以降、実体経済をベースに株価を予測するこれまでの「古い教科書」は通用しなくなっていることを証明し続けてきた。今回の弱気派の台頭はそれに気づいていない市場関係者がまだ大半を占めていることを物語る現象の一つと言えるだろう。』と今から3ヶ月も前に弱気論に対し警告を発した。だが、冒頭の記事にあるように『株安に賭けた個人は弱気ポジションを抱えて途方に暮れている』のが実態で、空売りの買い戻しから米大統領選挙後の4日~9日までの上げ幅は約1500円に達した。逆に言えば、この空売りの買い戻しが一巡すると現在の株価急上昇も一巡することを意味する。市場関係者の多くが、現在の株価上昇をみてから来年3月末26000円と予想しているが、このような「曲がりや」の予想は外れることが常であり気にしないことが重要だろう。