16年のチャイナショックの時期に似てきた今回の日本株急落

VIX

16年のチャイナショックの時期に似てきた今回の日本株急落

2昨年の日本株は2月と10月に大きな下げを経験した。2月の急落は米長期金利の上昇と株価変動率の急上昇という理由から「VIXショック」という名前が定着したが、10月の急落にはまだ名前がついていない。その理由は、2月と同様、当初は米長期金利の再上昇が原因だったが、現在は米長期金利が低下するなかで株安が続いているからである。つまり、10月からの急落の理由が市場関係者にはまだ消化できていないことを示している。

確かに、長期金利の水準をみると10月に再上昇後、12月以降は低下と上下しているように見えるが、イールドカーブで見れば18年8月20日0.19%→10月1日0.34%と拡大後、12月3日週0.14%とリーマン・ショック後、最小までイールドは縮小している。まさに、急落していた2月~3月と同様な動きであり、「第二のVIXショック」といっても良いのではないだろうか。

経済や相場を予測する上で分かりやすい一つの方法は、現状がいつの時期と似ているのかを見つけることである。現在の状況は中国景気の減速懸念が火種となって、原油安、BreXit不安などリスク材料が重なった15年~16年のチャイナ・ショックと呼ばれた時期と似ている。当時はクレジット不安が高まり、日経平均がPBR1倍水準まで下落、1日で900円以上下げするなど相似形である。

当時の日経平均は15年12月高値20012円から16年2月安値14865円まで-26%下落。今回は18年10月高値24448円から18年12月安値18948円まで-22%と、下落率も当時に近づき、下落期間も同じ3ヶ月が経過している。

最も当時と似ているのが「外国人の売買動向」である。外国人の日本株への累計投資額はチャイナショック当時の16年に35兆円台まで減少したが、今回も12月第3週までで35兆円弱まで減少。また投機筋の外国人の動向を示す「裁定買い残」も16年に5000億円割れまで減少したが、今回も5000億円台まで減少している。つまり、16年のチャイナショックのボトム時と同様、投機筋の外国人がさらに日本株を売り崩そうとしても売り崩す玉がなくなってきた水準なのである。

では、16年のチャイナショックの時期はどうやって株価下落を止めたか。1つ目の重要ポイントはFRBによる利上げスピードの調整である。当時、FRBは15年12月時点で翌16年の利上げを4回と見通していたが、実際に利上げしたのは16年12月の1回だけだった。今回もFRB議長の「金融政策を柔軟に見直す」述べ、利上げを一時停止する考えをにじませたことは3年前の再現に近付いていることを示している。

もう一つ重要なポイントは国際協調であり、16年2月27日の上海G20財務大臣・中央銀行総裁会議で政策総動員方針が掲げられ、世界経済をリセッションの淵から救った。今年のG20財務大臣・中央銀行総裁会議は4月だが、1月17-18日にG20財務大臣・中央銀行総裁代理会議が東京で開催される。そこで早々に政策総動員的な方針が打ち出されれば、チャイナショック時と同様、株価下落をくい止める可能性が高まってくる。

「経済や相場を予測する上で分かりやすい一つの方法は、現状がいつの時期と似ているのかを見つけることである」と指摘したが、もう一つ経済や相場を予測する方法は「当たり屋」を見つけること。その一人がニトリホールディングスの似鳥会長である。

18年12月28日の日経新聞に『似鳥昭雄会長が年末年始に予想を示すのが恒例だ。2018年については昨年末に「円相場は年平均1ドル=108円、年末の日経平均株価は1万9500円」と予想し、ほぼ的中した。年の瀬の波乱に揺れる市場で「よく当たる」と話題を集めている。

ニトリHDは円高局面では1~2年後のレートを固定する為替先物取引を銀行との間で実施。今年は7月以降は予約をかけていないが、18年2月期は1ドル=約104円と実勢より7円強円高で決済し、100億円以上利益を押し上げた。為替予約をかけるタイミングは似鳥会長が景気動向を見極めながら決める。こうした背景もあり似鳥会長はここ数年、決算説明会やテレビ番組などを通じて年末年始のタイミングでその後1年間の相場見通しを明らかにしてきた。

27日に開いた決算会見で似鳥会長は19年の円相場は年平均で「1ドル=100~110円。今より円高になるだろう」と指摘。19年末の日経平均については「2万円前後」と予想した。似鳥会長が米国景気の動向を先取りするとの理由から注視するのが米住宅関連の指標で「ここ数カ月は鈍化している」と述べた。足元の原油安については「世界経済が不況になるサインだ」と指摘した。本格的な景気後退は20年以降で21~22年が底とみる。「前回(64年)の東京五輪は終わる前から不況になった。過去にあったことは必ず起こるのが経験則だ」と指摘。「不動産価格も下がるとみており、不況時こそ思い切った投資をしたい」とも述べた。』と紹介している。

かなり含蓄のある予想として記憶の片隅に置いておいた方が良いが、私が日頃セミナー等で発信している見通しと全く同じなのが、『本格的な景気後退は20年以降で21~22年が底』である。ニトリ会長の年末に1ドル=100~110円、日経平均2万円前後の予想は改めて検証することにして、我々が最も注意しておくべき予想はこの20年以降の景気後退である。かなり深い景気後退となることだけは覚悟しておいた方が良いのではないだろうか。