1973年以来、45年振りの有効求人倍率と1953年以来の過去最多の就業者数は正常なのか?

190208塚澤

1973年以来、45年振りの有効求人倍率と1953年以来の過去最多の就業者数は正常なのか?

19/2/1日経新聞夕刊に『求人倍率、昨年1.61倍 過去2番目の高さ~就業者最多6664万人 失業率26年ぶり低さ』が報道されている。

『厚生労働省が1日発表した2018年平均の有効求人倍率は1.61倍と、前年比で0.11ポイント上昇した。過去2番目に高い水準。同時に総務省が発表した18年平均の就業者数は6664万人で、比較可能な1953年以降最も多かった。一方で完全失業率は2.4%で0.4ポイント下がった。26年ぶりの低水準だ。深刻な人手不足を背景に、働き始める高齢者や女性が増えている。

有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人あたり何件の求人があるかを示す。9年連続で上昇した。18年は高度経済成長の末期にあたる1973年(1.76倍)に続く高さとなった。就業者数は6年連続の増加だ。女性が前年に比べ87万人増えており、男性の伸び(45万人増)を上回った。今まで働いていなかった女性がパートなどで仕事を始める例が多い。一方で65歳以上の高齢者も男女合計で55万人増だ。完全失業者数は18年平均で166万人で24万人減った。18年12月の有効求人倍率(季節調整値)は1.63倍だった。完全失業率は2.4%で、3カ月ぶりに改善した。』

この記事に関連する記事が、19/2/1日経新聞に『女性の就業率、50年ぶり5割超す~18年就業者87万人増』に掲載されている。

『2018年の女性の就業率が全年齢ベースで51.3%となり、50年ぶりに5割を超えたことが総務省が1日発表した労働力調査で分かった。人手不足や育児と両立して働きやすい環境づくりが進んだことが背景にある。産業別にみると同年に増えた就業者の4割が宿泊・飲食と医療・福祉に吸収されている。日本全体の労働生産性を底上げするためにサービス業の改革が急務になりそうだ。

18年平均の就業者数は男女合わせて6664万人。比較可能な1953年以降で最多だった。女性の就業者は2946万人で前年に比べて87万人増えた。増加数は男性(45万人)の2倍近い。年齢別に女性の就業率を見ると25~34歳が77.6%で前年に比べて1.9ポイント、35~44歳は75.8%で同2.5ポイントそれぞれ上がった。女性の就業率は出産や育児を理由に30歳代で下がり、40歳代で再び上がる傾向があった。年齢層に分けてグラフを描くと「M字」になる現象だ。近年は仕事と育児を両立できる働き方が広がった結果、退職する女性は減り「M字カーブ」の解消が一段と進んだ。

18年は若年層の女性就業率も大きく上がった。15~24歳の伸びは3.9ポイントと年代別で最も高い。短時間勤務や未経験者を容認するなど人手不足でアルバイトの就労条件が良くなっていることが背景にある。求人情報大手のリクルートジョブズによると、18年12月の三大都市圏(首都圏・東海・関西)のアルバイト・パート募集時平均時給も1058円と過去最高だ。

産業別で女性の就業者が最も増えたのは宿泊・飲食サービス業だ。18年平均で260万人と前年に比べて20万人増えた。介護現場など医療・福祉で14万人増で続いた。

日本生産性本部の調査では、労働者が生み出す付加価値を示す労働生産性を就業者1人当たりでみると、15~17年平均の上昇率は物価変動の影響を除いて0.3%と、10~14年平均の0.6%から低下している。労働者全体でみると、金融業などから生産性の低いサービス業に就業先が移っていることが背景にあるとみられる。』

労働力人口が2005年をピークに減少局面に入っている18年平均の就業者数が男女合わせて6664万人、比較可能な1953年以降で最多となったことは驚きである。女性の就業者と高齢者の就業者が増えたからだろうが、それを支えているのは、冒頭の記事にあるように高度経済成長の末期にあたる1973年(1.76倍)に続く高さとなった2018年平均の有効求人倍率1.61倍である。その結果として、18年12月の三大都市圏(首都圏・東海・関西)のアルバイト・パート募集時平均時給が1058円と過去最高となり、女性や高齢者の参加者を増やしている。

では、現在のような売り手市場が継続する上で重要な数字は「有効求人倍率」だが、実は、この「有効求人倍率」と極めて連動性が高い指標が「株式時価総額」なのである。つまり、現在のような売り手市場はアベノミクスの株高政策の結果であり、株価が更に上昇すればより人手不足は強まり、逆に、株価が下落すると有効求人倍率が低下して人手不足は解消することを意味している。1973年以来、45年振りの有効求人倍率や1953年以来の過去最多の就業者数が正常なのか、それとも異常なのか。それは現在の株価が正常なのか、それとも異常なのかと同じ疑問と考えて良いことになる。正常と考えている人々は将来への準備を怠り、異常と考える人々は将来の人余りに備えてスキルアップなどの準備を始めることだろう。どちらの対応が正しいかは現時点では定かではないが、その答えは早ければ2020年以降、出る可能性が高い。それまで待ってから改めて議論することにしよう。