2019年度第2 四半期に突然発表された『保有資産の内訳非開示』の目的は?

GPIF

2019年度第2 四半期に突然発表された『保有資産の内訳非開示』の目的は?

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が11月1日公表した運用状況によると、2019年度第2四半期(7-9月期)の収益額は+1兆8058億円増、運用収益率はプラス1.14%と3四半期連続でプラス運用だった。9月末の運用資産額は161兆7622億円と高水準を記録。世界経済が減速するとの懸念に対し、米連邦準備理事会(FRB)などが利下げしたことを背景に世界的に金利が低下し、国内外の債券・株式の4資産の収益率は2四半期ぶりにそろってプラスとなった。

それよりも2019年度第2四半期(7-9月期)で最も注目すべきポイントは、20年4月以降の新たな基本ポートフォリオの見直しに向けて、「経営委員会における議論を踏まえ、今年度中は資産別資産額と構成割合および資産別収益額を開示しない。これらの情報は来年度に公表する2019年度の業務概況書に記載する」と発表したことである。GPIFは保有資産の内訳非開示の理由を明示しておらず、今後、開示姿勢が問われることになるだろう。10月18日、特定の女性職員と会食し、その際公用車に同乗する特別な関係を疑われかねない行為があったとの内部通報で、高橋則広理事長は減給5分の1(6カ月間)の懲戒処分を受けたが、その際も記者会見は開いていない。

今回、このような突然の『保有資産の内訳非開示』には何らかの裏の理由があると考える方が自然だろう。14年10月の中期基本ポートフォリオ変更の際、T-Modelオリジナル指標の『国内株式比率と日経平均の連動性』を初めてご紹介したが、こちらと何らかの関係があるかもしれない。公表はしていないが、19年9月末時点の国内株式比率を推計すると、24.1%と再び、国内株式比率が中期基本ポートフォリオの25%に近づいている。つまり、外国人投資家の買いが一向に増えない現状において、日本株吊り上げ目的にGPIF資金が必要となり、その場合、国内株式比率の中期基本ポートフォリオの25%がネックとなるためだろう。25%超で買い上げれば、メディアに対して説明責任が問われる可能性があるからだろう。今回の非公開で少なくとも2019年度第4四半期(20年1-3期)までは避けられることになる。

GPIFからの国内株式への流入金額を月次ベースで試算したものと、日銀の株式ETF投資の金額(月次ベース)の合計した累計金額を日経平均と比較すると、極めて近い動きを示しいる。つまり、現在の日本株はアベノミクスのもとに行われたGPIFと日銀による買い上げで形成されていることを意味する。17年12月末に国内株構成比26.1%と初めて中期基本ポートフォリオの25%を超えてからは同累計金額が18年9月40兆円をピークに頭打ち傾向となっていたが、19年9月末44.4兆円とアベノミクス以降で最高金額まで膨れている。あくまでも推測の域はでないが、国内株構成比を非公開とすることで25%超の売却すべき部分の売り圧力が20年4月までは減ると同時に、新たな資金流入で買い上げることも可能になる。10月第2週からの不自然な日本株の上昇もGPIF資金によるものなのかもしれない。消費増税による不況対策が目的なのか、それとも衆議院解散総選挙に向けての株高なのか、その目的は定かではないが、GPIFによる不自然な株価吊上げが行われている可能性が高いだろう。今後の注目点はやはり20年4月以降に発表される保有資産の内訳、特に、国内株式比率がどこまで上昇しているかだが、世間はその時になって驚かされるのかもしれない。T-Modelでは毎四半期に国内株式比率を推計する予定であり、そちらをチェックされることをお薦めする。