7ヶ月振りに景況感が悪化した「2020年11月景気ウォッチャー調査」

7ヶ月振りに景況感が悪化した「2020年11月景気ウォッチャー調査」

内閣府は20年12月8日、「2020年11月景気ウォッチャー調査」を発表。同指標は株価の1~2ヶ月先行指標で政府統計では最も有効。

2020年11月「街角景気」の「現状判断DI」は前月比-7.5%Pの46.1%(原数値)と、実質7ヶ月振りに悪化。水準は10月、景気の別れ目となる50%を18年4月以来、30ヶ月振りに上回ったが、1か月で再び50%を割り込んだ。ただ、前年比ベースでは+6.9%Pと4か月連続でプラス圏を維持し、本格的には悪化していない。観光客を中心に週末の人出が多かったが、11月10日以降、新型コロナウイルス感染者増加の第三波に伴い来客数・購買人数が減少、忘年会も早くから中止が進んでいる。また、介護、清掃関連など人手不足が慢性化している一部業種を除いて新規求人の動きが鈍い。新型コロナウイルスに関して、現状では、7月661件→8月584件→9月434→10月370件→11月556件、先行きで7月956件→8月871件→9月670件→10月656件→11月990件と再び、急増している。尚、メディアでは、2016年10月分から発表を開始した「季節調整値」を使用しているが、現状判断DIは前月比-7.5%Pの46.1%と7ヶ月振りに悪化、原数値と方向感が同じで違和感はない。

T-Modelにおいて「景気判断」に最も重要なのは移動平均との乖離幅で、20年1月-0.3%→2月-10.9%→3月-17.5%→4月-19.4%→5月-9.5%→6月+13.6%→7月+16.7%→8月+16.1%→9月+16.0%→10月+13.6%→11月+0.9%と推移。9ヶ月振りにプラス圏に浮上した今年6月以降、6ヶ月連続でプラス圏を維持、依然、景気回復を維持していることを示している。内閣府は基調判断を「新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさが残るなかで、持ち直しに弱さがみられる。」へと7か月振りに下方修正した。

2─3カ月先を見る「先行き判断DI」は前月比-12.3%Pの36.1%と、4ヶ月振りに悪化。景気の別れ目の50%を22ヶ月連続で下回っている。前年比ベースは-9.4%Pと、4ヶ月振りにマイナスに陥っている。新型コロナウイルス感染拡大の第三波の影響で、宿泊のキャンセルが増えた他、飲食においては忘年会、新年会の予約がほぼなく相当なダメージで、小売りや飲食、観光などサービス業の落ち込みが大きい。特に、感染状況が厳しい地域ほど落ち込みが大きい傾向がみられ、医療体制のひっ迫が伝わる北海道は前月比-15.9%の27.8%、近畿が同-11.0%の34.4%と下がった。北海道の観光ホテルからは5月の「緊急事態宣言」時に戻ったとの声も聴かれる。尚、「季節調整値」は前月比-12.3%Pの36.1%と、4ヶ月振りに悪化。景気の別れ目の50%を22ヶ月連続で下回り、原数値と同じ傾向で違和感はない。

一方、関東地区の先行きDI(家計関連)は前月比-11.7%P の34.7%と、2ヶ月連続で悪化。景気の別れ目の50%を24か月連続で下回り、前年比ベースでも-10.4%Pと4か月振りにマイナス圏に陥っている。全国先行きDI(家計関連)34.4%であることから、全国ベースを3ヶ月振りに上回った。「関東-全国の差(移動平均ベース)」は、20年1月+0.7%→2月+0.6%→3月+0.2%→4月-0.2%→5月-0.5%→6月-1.3%→7月-1.6%→8月-1.6%→9月-1.6%→10月-1.4%→11月-0.8%と推移。新型コロナウイルスの感染拡大で、一時、1930年代の「世界大恐慌」レベルに実体経済が悪化したが、FRBの驚くような資金供給で3月時点の世界的金融危機を避けることができた。ただ、4月-0.2と5ヶ月振りのマイナス圏に陥った後、5月-0.5%→6月-1.3→7月-1.6%%→8月-1.6%%→9月-1.6%%と6ヶ月連続で急落したことで、来年5月~7月に向けて新たな世界的金融危機を示唆し始めている。尚、過去、同指標は07年のサブ・プライムローン問題、08年のリーマン・ショック、11年欧州債務危機、15~16年の「チャイナ・ショック」など世界的な金融危機の局面で大きく悪化、それは関東地区が地方に比べ世界の金融危機に左右されやすい経済構造になっているためである。

また、同指標は10ヶ月先の日本の株式市場を占う上でも重要な指標。同指標19年6月までフリーフォールのような急落をみせたことで、株式市場は特に、昨年末から今年の年始頃から要注意の時間帯に入ることを警告し続けていた。実際、20年の年明けからイラク戦争勃発に始まり、今回の「コロナショック」による「リーマンショック」を超える記録的な株価急落、同指標の「フリーフォール」のような急落の予告を証明した。また同時に、同指標は今年4月をボトムに11月まで急上昇していることで今回の新型コロナのマーケットへの影響が春頃には一巡し、急速に株価が戻ることも示唆していたが、日経平均が1990年以来29年振りとなる26000円台を回復したことでこちらも証明済みと言えるだろう。ただ問題は、ここまで的確にマーケットを予告してきた同指標が11月の大統領選挙を境に、再び、今回のコロナショックのような危険な時間帯を示唆していることである。何をきっかけに急落するのか、そして、それが急落調整で終わるのか、それとも暴落に発展するのか。そもそも急落は本当に起きるのか、など大統領選挙後は注意すべき時間帯に入ることを忘れてはならない。また、9月14日に誕生した菅政権の支持率を不支持率が早くも上回ったという世論調査が報道され、来年にずれ込んだ衆議院解散・総選挙が心配な状況となり始めた。同指標の予告通りならば世界的危機による株価急落のなかでの衆議院解散・総選挙となる可能性があり、菅政権の自民党内での立場が微妙になりそうである。長期政権の次の政権は短命とのジンクス通りになってしまうのかが注目される。