8ヵ月振りに大幅に落ち込んだ米 2月住宅着工件数

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8ヵ月振りに大幅に落ち込んだ米 2月住宅着工件数

米商務省が3月26日発表した米2月の住宅着工件数は、年換算で116万2,000戸と、前の月より8.7%減少し、8ヵ月ぶりの大幅な落ち込みとなり市場予想も大きく下回った。資材・労働コスト上昇の中で業者が手頃な価格の住宅建設に引き続き苦慮、さらに悪天候で平年より気温の低い日が多かったことを背景に主力の一戸建てが17%減と全体を押し下げたかたち。先行指標である許可件数も1.6%減少。また前年比ベースでは-6%減で5ヶ月連続で減少、住宅関連の悪化は天候という一過性ではなく、悪化が継続していることを示している。

2019/03/04『調整色強める米住宅指標』のT-Modelコラムにおいて、

『米経済の根幹は個人消費と住宅投資である。その一つのエンジンである住宅着工件数が前年比(移動平均ベース)で18年12月-0.4と17年10月以来となるマイナスに陥り、住宅市場の調整色が強まっている。市場関係者には19年1月初めにパウエルFRB議長が利上げに慎重な姿勢を示したことで利上げ観測が後退、住宅ローンは昨年11月をピークに低下傾向にあるため年後半には住宅市場は回復し始めるとみる楽観論も多い。だが、前回17年10月のマイナス圏に陥ったのは当時の8月下旬以降、フロリダ州とテキサス州を含む南部を襲った大型ハリケーンの影響で、その後はその反動で回復したが、今回は当時とは異なる。さらに前回と異なる点はもう一つあり、17年10月は住宅価格がまだ上昇過程にあったが今回は既に、住宅価格は昨年8月をピークに弱含みとなっていることである。』と指摘。

また、2018/07/23『「張りぼて」4 %成長への不安』』のT-Modelコラムにおいて、

『住宅関連で注目しなければならないのは「住宅価格」である。代表的なのは「ケースシラー米住宅価格指数」だが、住宅ブームのリーマン・ショック前の高値06年6月206.38を18年4月210.17で超えてしまった。何故同指数に注目なのかというと、同指標とNYダウとの連動性が高いためである。住宅ブームのリーマン・ショック前までは住宅着工件数とNYダウは連動していたが、現在はその両指標は大きく乖離しており、米住宅価格が住宅着工件数の替わりとなっている。以前に何度も指摘したように米経済は家計債務の拡大による消費で支えられているのが現状だが、この住宅価格の史上最高値も家計債務の拡大をサポート。このように株価と住宅価格の高騰が米経済の根幹を支えていると言っても過言ではない。だからこそ両価格を支えなければならないのである。

では、どうなると住宅価格は下落し始めるだろうか。住宅ブームのリーマン・ショック前を検証すると、住宅着工件数(移動平均ベース)の前年比がマイナス圏に陥り始めたときに住宅価格が下落し始めていることが分かる。18年6月移動平均ベースでは前年比+6.7%とまだ余裕がありそうだが、現状維持ではいずれマイナス圏に陥る。そのため、少しでも住宅着工件数を増やしていかなければならない。そのために学生ローンを抱えて住宅購入が低水準のミレニアル世代(2000年代に成人あるいは社会人になる世代。ベビーブーマーの子世代にあたるY世代やデジタルネイティブと呼ばれる世代と重なる。)にアプローチをかけているのだろう。住宅着工件数(移動平均ベース)がマイナス圏に陥ったときに住宅価格とNYダウは同時崩壊する可能性が高いわけだが、それはミレニアル世代の住宅購入にかかっている。』と指摘した。

住宅着工件数(移動平均ベース)の前年比は昨年12月-0.4%→19年1月-1.8%→2月-4.2%と昨年12月以降、明確に前年比を割り込み始めている。危惧してきたことが表面化したわけで、その結果、「ケースシラー米住宅価格指数」は昨年10月213.89をピークに19年1月212.41と鈍化に兆しが出始めている。

そのような中、2019/3/28日経新聞に『米住宅市場、底入れに期待』が報道されている。

『住宅関連株は既に底入れしたとの見方が強い。米バンクオブアメリカ・メリルリンチのアナリスト、アレクサンダー・リン氏は、住宅購入が活発化する春に向けて住宅ローン金利が低下しているため「短期的にはより強い住宅データが出てくる」と見ている。米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)によると、住宅ローンの30年固定金利は足元で4.28%と、18年2月以来の低水準となっている。住宅ローン金利が継続的に低下すれば、これまで新居購入をためらっていた消費者のきっかけになる公算が大きい。

建築資材や住宅メーカーで構成する上場投資信託(ETF)の「SPDR S&PホームビルダースETF」をみると、足元では年初に比べて2割弱上昇している。レナーの27日の株価(終値ベース)は年初比で29%上昇。住宅建設大手KBホームの株価も同25%上昇した。

背景には、米連邦準備理事会(FRB)による19年内の利上げ休止の姿勢も影響している。パウエル議長は20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で「政策調整を急ぐ必要はない」との姿勢を改めて強調した。米利上げ懸念が後退したことで、住宅ローン金利の指標とされる米長期金利は一時2.35%付近まで低下した。』

住宅市場は米景気の先行きを映す鏡と言われる。先行性の高い株式市場では住宅関連が足元で底入れの兆しが見え始めているとはいえ、建築業者の労働力不足や材料費高騰といった根本的な問題が解消したわけではない。米住宅大手のレナーの株価は18年1月高値72ドルから12月ボトム37ドルまで半値まで下落した後、直近3月53ドルまで反発しただけである。このまま一本調子に株価が上昇し続けると考えるのは楽観的過ぎるのではないだろうか。そのためにもこれまで以上に「米住宅着工件数」をチェックする必要がある。それは米株式市場と極めて連動性が高い「米住宅価格」を左右するからである。