9年6カ月ぶり高値に上昇した「ドクターカッパー」

9年6カ月ぶり高値に上昇した「ドクターカッパー」

2021/2/23日経新聞に『銅、9年6カ月ぶり高値~米経済回復に期待感』が報じられている。

『銅の国際価格が約9年6カ月ぶりの高値に急騰した。指標となるロンドン金属取引所(LME)3カ月先物は日本時間22日、一時1トン9269.5ドルを付けた。米国の追加経済対策の早期成立への期待や、米ゴールドマン・サックスが18日の報告書で銅が2021年に供給不足になると指摘したことなどから値上がりに弾みがついた。

年初から小動きが続いた銅相場は2月に入ると上昇基調を強め、1月末から18%上がった。新型コロナワクチンの接種が進み、米国の1.9兆ドルの経済対策が現実味を帯びる中、経済が正常化するとの見立てが増えている。春節(旧正月)明けの中国経済も堅調で、銅需要を押し上げるとの観測が広がる。

足元のLME在庫は20年末比30%ほど少ない7万トン台。先高観が強く、大手商社のトレーダーは「現物を早く手当てしたい実需家の引き合いが急増している」と明かす。脱炭素の流れから各国が表明した電動車シフトも、モーター向けなどに銅の消費が増えるとの期待を生んでいる。経済回復によるインフレ観測も加わり「インフレヘッジのため、銅が選ばれている」(みずほ銀行金融市場部の能見真行調査役)。ゴールドマン・サックスは、この先12カ月の銅価格を1トン1万500ドルと、前回予想から500ドル引き上げた。』

銅価格は2011年2月に9880ドルの史上最高値をつけたが、その史上最高値に接近している。中国経済の好調もあるが、それ以外の要因が大きそうだ。なぜなら、史上最高値をつけた2010年~2011年の中国製造業PMIは55程度まで上昇していたが、現在は52程度にとどまっているためである。記事にあるように、『脱炭素の流れから各国が表明した電動車シフトも、モーター向けなどに銅の消費が増えるとの期待や「インフレヘッジのため銅が選ばれている」』などの思惑で上昇している可能性が高く、マネーによる押し上げ効果が大きいのだろう。

2019/10/21『米長期金利と連動する「金銅比率」』のT-Modelコラムにおいて、

『「金銅比率」を検証すると、米長期金利の水準は別にして、ピークとボトムのタイミングがほぼ一致している。特に、リーマン・ショック後の09年以降は、水準自体も一致していることから有効な指標の一つと言えるだろう。』と指摘した。この「金銅比率」は昨年5月3.1倍から今年2月末4.1倍まで上昇する過程で、米長期金利も昨年7月0.53%→今年2月1.4%まで急上昇していることからも両指標の連動性は続いている。

市場では米長期金利がどこまで上昇するのか?に話題は集中しているが、それは同時に、「金銅比率」がどこまで上昇するのか?と同じことを意味する。現在、「金銅比率」は-1σと歴史的にまだまだ低い水準にあり、上昇余地が大きいことを示す。とりあず、「金銅比率」は直近ピークだった17年12月5.5倍を目指す動きに入っているのではないだろうか。仮に、その水準まで上昇した場合、米長期金利は2%前後までの上昇を示唆しており、一時、1.6%に上昇して米株式市場が大きく揺れたている現状からすると、2%になったときに米株式市場にどのような影響を及ぼすのだろうか。2%は現在の期待インフレ率からすると実質金利がプラス圏に浮上してくる水準。今後の米長期金利を占う意味でも「金銅比率」から目が離せなくなってきている。