NY金価格が予告通り、史上最高値から約10%の急落調整

NY金価格が予告通り、史上最高値から約10%の急落調整

2020/11/21日経新聞に『金、遠のく2000ドル再突破~ワクチン期待でリスク選好の逆風、「年末安」の季節性も』が報道されている。

『金相場が調整色を強めている。新型コロナウイルスのワクチン開発期待を背景に、金には下げ圧力がかかりやすくなっている。年末にかけてファンドなどの利益確定売りに押され、相場が軟調に推移しやすいという「年末安」の季節性も指摘される。今夏付けた史上最高値の1トロイオンス2000ドル台の再突破はしばらく遠のいたとの見方が多い。

国際指標のニューヨーク金先物は日本時間20日の時間外取引で1トロイオンス1860ドル前後。9日には1900ドル台半ばから一時100ドル超安と大きく値を下げ、その後の戻りも鈍い。米製薬大手のワクチン開発報道をきっかけに株式などに「リスクオン」の買いが広がる一方、安全資産とされる金には下げ圧力がかかっている。市場がこれまで金高の材料として注目していたのが米大統領選だ。民主党のバイデン氏が政策の目玉として掲げてきた大規模なインフラ投資などは、インフレ期待の上昇を通じて米実質金利の低下を促し、金の上昇圧力になるとみられていた。

バイデン氏の勝利となったものの、上院選はまだ勝敗が決まらない。来年1月5日に予定されるジョージア州の決選投票で共和党が勝利した場合、バイデン政権は政策決定で上院共和党と折り合わねばならず、財政刺激策の規模は想定よりも抑えられる可能性がある。いずれにせよ政権発足まで米政治は膠着状態が続く。金相場が動意付くタイミングも、年明けまで持ち越される可能性がある。

「金市場には例年11月ごろに価格が下落し、2月ごろに再び上昇するという『年末安・年始高』のアノマリー(経験則)がある」という。10~12月期を年末安、1~3月を年始高のアノマリーが起きやすい時期として捉え、直前四半期末と比べた騰落率を過去10年分調べた。12月末が9月末比で下落した「年末安」となったのは10年のうち6回で、平均騰落率はマイナス1.7%だった。17~19年は10~11月に下げた後、12月中に反転上昇が始まったため、計算上は年末安が成立しなかった。一方、12月末比で3月末が上昇した「年始高」は8回。平均騰落率はプラス4%だった。

一方、年始以降は米国で新政権が発足し、遅れていた財政政策が発動となる見通しで、金には追い風も吹きそうだ。金相場は例年よりも深いV字を描くかもしれない。』

2020/09/23『NY金価格が9 月21日、ついに1900 ドル大台を割れ』のT-Modelコラムにおいて、

『NY金価格が9月21日、ついに1900ドル大台を割り込んだ。T-Modelオリジナル分析『大台替えの法則』(略称)では、調整局面入りを示唆する。

2020/08/03『『NY金、初の2000ドル超え』は更なる上昇のサインか?』のT-Modelコラムににおいて、

『日経新聞とブルームバーグの両記事を読むと、最高値のNY金に対して、かなり違う印象を与える。日経新聞の記事を読むと「金を今すぐ買わなければ」と考える方も多いかもしれないが、ブルームバーグの記事を読むと「買うのは一度下がってからにしよう」と冷静になるからだ。 T-Model独自のモデルでは、セミナーや著書のなかで『NY金価格は米イールドスプレッド』との連動性を指摘してきた。米イールドスプレッドが18年7月9日週0.1%でボトムを付け、20年6月1日週0.78%まで拡大する過程で、NY金は18年8月13日1176ドルをボトムに今回の史上最高値まで上昇した。T-Modelの米イールドスプレッドの対比でNY金価格を考えると、長期的な見通しは別にして、6月以降、そろそろ目先の天井を付けても良い時期だったことになる。だが、逆に、6月1日週1683ドルからは上昇が加速した。日経新聞の報道の通り、「新型コロナウイルス感染拡大が収まらず、世界で経済の停滞が長期化するとの観測が強まり、安全資産とされる金が買われた」からだろう。金融危機への恐怖がNY金価格の上昇を加速
させたかたちである。

ただ、注意しておかなければならないポイントは、T-Modelの「ゴールドシルバーレシオ」が急落したことだ。拙書『いま持っている株は手放しなさい!』のP164の第5章『金銀の価格比が教えてくれる金融危機の現実度』に詳しく説明しているのでそちらを参考にしていただきたいが、同指標は20年4月113.2と過去最高まで上昇した後、7月80.5まで急低下していることである。危機が起きるサインである80の分岐点まで低下したことになる。NY金が最高値を付けると色々な評論家が群がるように強気を唱えるのがマーケットの常で、日経新聞の記事を読んで「金を今すぐ買わなければ」と考えた方も多いのではないだろうか。だが、マーケットはみんなが強気になったときが転換点であることが多く、T-Modelのようなデータで分析する冷静な目を持つことが必要なのではないだろうか。』と指摘した。

T-Modelの「ゴールドシルバーレシオ」は8月に危機が起きるサインである80の分岐点を大きく割り込んだ。つまり、危機が遠のいたことを意味する。「金を今すぐ買わなければ」と2000ドル台の史上最高値圏で金を購入された方は1900ドルを割り込んだ現在、そろそろどうしようかと不安を抱き始めたところではないだろうか。』と指摘した。

11月24日、NY金価格は調整色を強め、1818ドルまで下落し、まさに、T-Modelの予測が現実化したかたちである。8月の記事で「金を今すぐ買わなければ」と煽るような内容との印象を与えた日経新聞は、冒頭の記事で、過去40年の長期でみると発生確率はそこまで高くない『年末安・年始高』のアノマリー(経験則)を持ち出し、現在の金の調整はこの『年末安・年始高』のアノマリーが原因と言いたげだ。だが、8月に現在の急落調整を予測したT-Modelからすると全く的外れの指摘と言えるのではないだろうか。

今後、さらに調整色を強める可能性は高いが、いかにムードで投資することが危険な行動であるかがお分かりいただけたのではないだろうか。また、同時に、T-Modelの正確さと「データで分析」して投資することの重要性を改めて浮き彫りにしたことだろう。どの水準までNY金価格が調整するかが今後の注目点である。