「戦時体制」に入った欧米と呑気な日本

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「戦時体制」に入った欧米と呑気な日本

各国首脳が新型コロナウイルスの感染拡大を世界大戦級の危機を想定、「戦時」に準ずる国家危機体制に入った。

トランプ米大統領は3月18日(現地時間)、ホワイトハウスでの会見で、「私は戦時下の大統領」と述べ、アメリカは感染が拡大する新型コロナウイルスに「完全な勝利」を収めるだろうと誓った。新型コロナウイルスへの対策として朝鮮戦争下の1950年に成立した「国防生産法」を発動。同法によって国家の危機状況で、軍需用物品を生産する民間企業に増産を要請することができ、新型コロナのためのマスクや人工呼吸器といった医療装備の生産拡大が可能となる。国防総省も500万枚ある備蓄マスクを医療機関に拠出し、医療ベッドを備えた「病院船」をニューヨーク州に派遣することを決めた。

欧州でもすでに全国民の移動制限、学校や商店の閉鎖、国境の閉鎖、軍兵力の動員などがなされ「戦時」のような状況だ。ドイツのメルケル首相は同日、国民に向けたテレビ演説で、「事態は深刻だ。統一以来、いや第2次世界大戦以来、国家が直面した最大の挑戦だ」と強調した。またフランスのマクロン大統領も16日、フランス全土で国民の移動を制限し、「我々は戦争状態にある」という言葉を6回も繰り返した。』

さらに、3/23ロイターは『新型コロナで米第2四半期GDP半減も=セントルイス地区連銀総裁』を報じている。

『米セントルイス地区連銀のブラード総裁は20日の電話インタビューで、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴って、米国の失業率が今後30%と大恐慌時を上回るとともに、第2四半期の国内総生産(GDP)が通常に比べて半減し、金額にして約2兆5000億ドルが消失してもおかしくないとの見通しを示した。現在議会では1兆ドル規模の新型コロナ対策案の審議が進んでおり、多くの連邦準備理事会(FRB)当局者も財政出動を要請している。しかしブラード氏はさらに踏み込み、政府は新型コロナに伴う経済的損失、つまり失われた賃金、失われたビジネスを逐一カバーする必要に議論の余地などないと明言した。』と報じている。

株価というよりどころを失ったトランプ大統領が「戦時の大統領」が過去、支持率を高めた事実を使い始めたかどうかは定かではないが、欧米では「戦時体制」に入っていることは事実である。また、ブラード総裁の「大恐慌時を上回る」悲惨な見通しが正しいかは別にしても、リーマンショック以上の経済危機に落ち込むことは間違いなさそうだ。そのため、今、必要とされているのは戦時中の財政刺激策に似た政策であり、政府が失われた民間需要を穴埋めすべきなのである。このように欧米では、「戦時」「大恐慌」レベルの危機感で財政政策を講じようとしているのに対し、日本の当局者、国民の危機感のなさはどこからくるのだろう。想像力の欠如か、それとも「平和ボケ」でぼーっと生きているからなのだろうか。1940年に第二次世界大戦で東京オリンピックが中止になったが、同様に、新型コロナウイルスの「パンデミック」で2020年の東京オリンピックが中止・延期に追い込まれそうな現状から、「第二次世界大戦」と「新型コロナウイルス」が歴史的に同じ位置づけであるということに気づかないのだろうか。

今回の株価暴落で株式時価総額は150兆円ほど失われている。拙書『いま持っている株は手放しなさい!』のP4に『株式時価総額と有効求人倍率』が連動していることを指摘したが、株式時価総額は150兆円失うと有効求人倍率は現在の1.6倍程度から0.9倍近くまで一気に落ち込む可能性が出てくる。本でも指摘したように「悪夢のリストラが始まる!」ことを意味するが、どれだけの人々がそれに気づいているのだろう。人間は目の当たりし、自分に危害が迫らないと気づかないものだが、2020年からの激変は目の当たりにしてからでは遅いということである。その証拠に今回の株価暴落が史上最速で起こっているからで、「津波」と同じだからだ。「津波」を見てから逃げても逃げ遅れるように、事前に予測し、想像して前もって動かないといけないというのが今回の教訓なのである。米国の失業率が今後30%と大恐慌時を上回るときに、日本の失業率はどこまで上昇しているのだろうか。そのときに右往左往する想像できない国民にならないよう想像力を持って行動することが重要なときを迎えている。

 

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