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「金急伸で1350 ドルの天井に迫る?」

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「金急伸で1350 ドルの天井に迫る?」

2019/6/7『金急伸 1350ドルの天井に迫る~米の金利下げ観測 追い風』が掲載されている。

『金価格が急伸している。4月以降相場は膠着していたが、米国に端を発する貿易摩擦リスクの高まりで株価が崩れると一気に3カ月半ぶりの高値を付けた。貿易摩擦が実体経済に影を落とし、米利下げ観測が広がる。長期的に金の上値を抑えてきた米国の金利上昇サイクルが終わるとの見方が強まれば、1トロイオンス1350ドルの「天井」を突き抜ける可能性がある。

金を一段と押し上げているのが米連邦準備理事会(FRB)が利下げに動くとの観測だ。パウエル議長が4日の講演で「貿易摩擦による影響を注視し、景気拡大を維持するため適切に行動する」と発言したのをきっかけに観測が急拡大した。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が算出する政策金利の先行きを示す「フェドウオッチ」によると、市場は98%の確率でFRBが年内に利下げを行うとみている。米国の利下げは金には最大の強材料だ。一般的に金利が下がれば、金利を生まない金の弱点が緩和されるからだ。

金が利下げ観測に敏感に反応するのは別の文脈もある。米国の利上げ局面が始まった2015年以降、ぶち当たってきた1350ドル前後の「天井」を抜けるとの連想を呼んでいるためだ。英国の欧州連合(EU)離脱が国民投票で決定した16年6月や、北朝鮮によるミサイル発射で米朝対立が強まった17年9月は地政学リスクが高まった。両時期ともFRBが利上げを一時休止するなど強材料が重なったが、上抜けなかった。

市場の目線は6月中に控える2つのイベントに集まる。18~19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)と、20カ国・地域(G20)を捉えた米中首脳会談だ。「米利下げ」と「米中破談」の観測が現実化すれば、金が一段と上昇する可能性は高い。』

冒頭のニュースでは『米国の利上げ局面が始まった2015年以降、ぶち当たってきた1350ドル前後の「天井」』とあるが、実際は13年以降の「天井」であり、水準は1350~1390ドルである。「2015年以降の天井」としたかった理由はFRBの「利上げサイクル」が15年から始まったためで、「利上げサイクルと金価格の逆相関」につなげたかたったからなのだろう。だが、過去、金価格とFRBの利上げサイクルとの間には何の関係性も見られない。直近、2004年~2007年のFRBの利上げサイクルでもNY金価格は300ドルから900ドルに約3倍に上昇している。多分、米FRB利下げ=ドルインデックス下落=逆相関の金価格上昇という昔ながらの常識が頭にこびりついているからだろう。

実は、金価格と関係性が見られるのは以前からセミナーや本でもご紹介しているT-Modelオリジナルの「イールドスプレッド」である。直近で金価格が強含みなのはその「イールドスプレッド」が拡大し、実質金融引き締めの状態となって株式市場が揺れ始めているからに他ならない。従って、金価格が今後も上昇して、壁となっている「天井」を突破するには更なる「イールドスプレッド」の拡大が必要になってくる。冒頭のようなもっともらしい記事を鵜呑みにして投資すると後々後悔することになるのは目に見えているが、このような情報が世間には溢れかえっていることだけは忘れないことである。

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