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『日本株、海外勢が年初から3週連続買い越し 累計1.5兆円』と煽る理由は?
『日本株、海外勢が年初から3週連続買い越し 累計1.5兆円』と煽る理由は?
2024年1月26日日経新聞に『日本株、海外勢が年初から3週連続買い越し 累計1.5兆円』が報道されている。
『海外マネーの再流入が日本株を押し上げている。海外投資家は1月第3週(15〜19日)に現物株を3841億円買い越した。買い越しは年初から3週連続で、累計は約1兆5000億円と急ピッチな株高局面にあった2023年春並みのペースだ。日本企業への変革期待のほか、不振の中国株から資金を移す動きが背景にある。
日本取引所グループが25日に発表した投資部門別売買動向(東京・名古屋2市場)によると、海外勢は現物と株価指数先物の合計で3971億円買い越した。前週の1兆4439億円からは減速したものの部門別では突出した買い手だった。日経平均は1月第3週に386円(1%)上昇し、バブル経済崩壊後の高値を更新している。
海外勢は年初から3週連続で現物株を買い越しし、1週平均では4934億円に上る。米著名投資家ウォーレンバフェット氏が日本株に強気姿勢を示したことなどをきっかけに、12週連続買い越しとなった23年3月末から6月半ばまでの平均5146億円に迫る。(途中略)』
一方、2024年1月25日にブルームバーグニュースでは『日本株、海外勢の買い越し続く-1月第3週も国内投資家は売り越し』と報道している。
『1月第3週の日本株は、第2週に続いて海外投資家の買い越しが相場を支えた一方、個人投資家らは引き続き売り越しだったことが分かった。
日本取引所グループが25日発表した投資部門別売買状況(15-19日)の現物売買を見ると、海外投資家が約3841億円の規模で日本株を買い越したのに対し、個人投資家らは約1855億円の売り越しだった。少額投資非課税制度(NISA)を通じた個人の積み立て投資の動向が含まれる投資信託は約2456億円の売り越しだった。
第3週の東証株価指数(TOPIX)は週間で0.6%高と6週続伸した。外国為替市場でドル・円相場が1ドル=148円台後半まで円安に振れ、業績期待の強まった自動車や電機など輸出関連株を中心に買いが入った。中国で自国景気の先行きを警戒した投資家が日本株に連動する上場投資信託(ETF)に殺到し、運用会社や地元証券紙がリスクを警告して売買が一時停止されたことも話題を呼んだ。』
2023/10/2『1週間で過去最高の3兆円を売り越した現物の外国人の「慌て振り」は何を示唆する?』のT-Modelコラムでは、
『財務省が9月28日発表した「対外及び対内証券売買契約等の状況(週次ベース)」では、「現物の外国人」は9月18日週-3兆253億円と、2005年1月3日週の統計開始以来、過去最大の売り越しが明らかになった。ここ3週間連続の売り越しで合計5兆5155億円に膨らんでいる。今年は3月27日週~7月24日週まで実質17週連続の買い越しで、合計10兆3034億円に膨らみ(6月19日週-5424億円の1週だけ売り越し)、当時、多くの市場関係者はアベノミクス以来、「長期投資の現物の外国人」が日本株市場へ本格参入してきたと囃していた。だが、既にその買い越し額の約半分の資金が流出したことになる。
T-Modelでは、当時から、「先物の外国人」の裁定買い残が現物に比べ増えていないことから「現物の外国人」の連続買い越しは怪しく、G7や衆議院解散総選挙のための「株価操縦」を目的に「黒い眼の外国人」が行っている可能性を指摘していたが、今回の1週間で3兆円台の過去最大の売り越しは「長期投資の現物の外国人」ではなかったことを証明したかのように見えるが、いかがだろうか。実質17週連続でコツコツと買い越しを積み上げてきた「黒い眼の外国人」が3週間で約半分売り越す「慌てぶり」は近い将来、「何」か大きなことが起きる可能性を示唆しているようにもみえる。それが「何」かは誰も分からないが、今から楽しみである。』と指摘した。
日経新聞の冒頭の記事は、外国人の3週連続の買い越しで日経平均がバブル経済崩壊後の高値を更新したとを煽るようにも見える内容だが、ブルームバーグニュースは個人投資家が売り越していることを伝え、比較的冷静な内容となっている。実際、「現物の外国人」の累計額は直近24年1月15日週25.1兆円で、昨年3月27日週~7月24日週まで実質17週連続で合計10兆3034億円を買い越し(6月19日週-5424億円の1週だけ売り越し)の時のピークである23年7月31日週26.9兆円をまだ超えていない。また、本物の外国人と考えられる「先物の外国人」の裁定買い残は直近24年1月15日週1.33兆円まで増えたものの、21年3月から続く1.4兆円~0.4兆円のボックス圏の上限にとどまっている。
過去を振り返ると、「アベノミクス」への期待で「先物の外国人」の裁定買い残は13年5月20日週に4.1兆円に、また「現物の外国人」の累計額も15年6月1日週44.69兆円まで積み上げたときに比べると、外国人は本気で日本株を買い越しているのかと疑いたくなるレベルである。「現物の外国人」と「先物の外国人」の単純合計ではなく、T-Modelが修正した「現物+先物の外国人投資(累計)」は15年5月25日週82.7兆円に対し、直近24年1月15日週は25.1兆円と過去最低レベルで低迷している。そして、過去、外国人が日経平均を左右してきたが、2016年頃から外国人投資とは大きく乖離しているが、このころから日銀、GPIF、更に事業会社(自社株買い)が買い上がってきた実態が理解できるだろう。
また、冒頭の日経新聞の記事には『個人投資家は1月第3週に現物株1854億円売り越した。売り越しは6週連続となる。新NISA(小額投資非課税制度)経由で投資信託や個別株が買われている。』とあるが、ブルームバーグニュースでは『少額投資非課税制度(NISA)を通じた個人の積み立て投資の動向が含まれる投資信託は約2456億円の売り越しだった。』と日経新聞とは異なる内容を報じている。政府は新NISA(小額投資非課税制度)を通じて、「1億総投資家」時代を演出することで、日銀⇒GPIF⇒事業会社⇒個人と、最後に残った個人のお金を株式市場に注ぎ込んで株高政策をとろうとしているようにも見えるが、そして、最後に何が起きて、現在、日本株を買い控えている外国人はその時、どのような動きをみせるのか。いつものことだが、株高が演出されている裏では、何かが秘密裏に進んでいることが多いことだけは忘れないことである。