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『繰り返される「強気のワナ」』


『繰り返される「強気のワナ」』

2022年5月7日日経夕刊に『繰り返される「強気のワナ」』が掲載されている。

『米株式相場は急伸した後に急反落する「ブルトラップ(強気のワナ)」を繰り返している。投資家の体力は低下し、市場の足腰が弱まる悪循環に陥っている。

6日のダウ工業株30種平均は続落した。ナスダック総合株価指数も続落し、2020年11月以来の安値を付けた。米連邦準備理事会(FRB)は6月から保有資産を圧縮する「量的引き締め」で年1兆ドル(約130兆円)の資金を市場から吸収する。同時に迅速な利上げを進める。金融緩和で始まった株高である以上、引き締めで終わる。こうした認識は中長期的に投資家心理を弱気に傾けている。ショートカバー(売り方の買い戻し)で相場が反発すると安心感から新規の買いも入るが、その後は再び下落する。新規の買いが入った分、その投げ売りで次の下落幅はさらに大きくなる。強気のワナと呼ばれる動きを繰り返すと、チャート上は右肩下がりが続く。

金融緩和局面では投資戦略の鉄板だった下げたら拾う、押し目買いは厳しい。今年に入りS&P500種株価指数が下落した翌日の平均騰落率はマイナス0.2%。上昇した翌日もマイナス0.2%だ。押し目買い、追随買いともに入れてもすぐに下がる状況だ。

ダウ平均が今年最大の下落幅を記録した5日、S&P500種も3.6%下落した。同時に債券市場では長期金利が0.1%超上昇(価格は下落)した。サンダイアル・キャピタル・リサーチのジェイソン・ゲプファート氏によれば、5日と同程度の株式と債券の同時安が発生したのは過去25年間で今回を含め3回だけ。顧客の解約により大規模な清算を迫られた投資家がいたとの見方を示す。

今年は急ピッチで株式と債券の同時安が進む異例の年だ。S&P500種は年初から5月6日までに13%下落し、米長期金利は2倍の水準に上昇した。超長期債で運用する上場投資信託(ETF)の下落率は2割を超え、株式よりも下げが大きい。「債券相場にとって過去最悪の年になる可能性が高い」(コンパウンド・キャピタル・アドバイザーズのチャーリー・ビレロ氏)。ディフェンシブ株や、原油など商品に資金を逃避させるにしても市場規模の点から限界がある。結果的にリスク回避の現金需要が高まりドル高となる。通常、インフレ下では現金は物価上昇分だけ減価するため、保有回避の動きが強まる。ただ、過去に例をみない株式と債券の大幅な同時安で、インフレ分だけの減価で済む現金に人気が集まる異例の状況だ。世界最大規模のヘッジファンドを率いるレイ・ダリオ氏は今週、月次レターで「米国株全体は依然、割高にみえる」と指摘。バブル崩壊による持ち高解消には時間がかかるため、新規の買いを入れるのに良い時期ではないとの見方を示した。株式相場の「陰の極」はまだみえない』

FRBはインフレ沈静化に向け、金融緩和を「2倍速」で縮小する。利上げ幅も保有資産の圧縮も、前回引き締めの倍のペースとなる。

4日のFOMCで22年振りとなる0.5%の利上げを決めたが、5月、6月、7月の3ヶ月間に計1.5%の利上げを行い、7月会合で2%まで引き上げたい意向。比較可能な1982年以降、初めて。また、将来の0.75%の利上げについて、パウエルFRB議長は記者会見で「積極的には検討されていない」と言及したことで安心感からか4日の米株市場はNYダウが1000ドル超の大幅高、ただ翌5日はFRBが高インフレを抑制することは困難との見方から逆に、一時1300ドル超急落するなど米株式市場は乱高下した。

0.5%の利上げが予想通りだったのに、利上げ幅でこれほどの乱高下が株式市場で起きることは不思議に思えるだろう。だが、冒頭の記事にあるように『ショートカバー(売り方の買い戻し)で相場が反発すると安心感から新規の買いも入るが、その後は再び下落する。新規の買いが入った分、その投げ売りで次の下落幅はさらに大きくなる。強気のワナと呼ばれる動きを繰り返すと、チャート上は右肩下がりが続く。』が起きただけである。つまり、注目イベントを利用して相場を乱高下させて儲ける輩が存在するのもこの「強気のワナ」の特徴と言えるだろう。
2022/04/25『市場が「タカ派」的と考えるFRBの大幅利上げ観測は94年にもあった』のT-Modelコラムにおいて、

『一部の市場の予想では、5月FOMC0.5%、6月0.75%、7月0.75%のFF金利連続大幅引き上げで7月には2.25%~2.5%に達するとの見方も出ている。この見方を市場では「タカ派」的と呼ぶらしいが、T-Model分析から見れば当然の予測ではないかと考えている。何故なら、FF金利は2年以下の短期金利を誘導するものだが、2年債利回りは既に約2.9%まで急騰する一方、FF金利は0.25~0.5%と低水準であることから2%超の大きな乖離が発生しているからである。つまり、FRBの金融引き締めの遅れが原因で、それを修正するために「タカ派」的にならざるを得ないだけなのである。冒頭の記事には、「利上げ幅が通常0.25%の倍にあたる0.50%となれば2000年5月以来。3倍にあたる0.75%となれば94年11月以来。」との指摘があるが、94年も今回と同様、FRBの金融政策の遅れが原因で2年債利回りとFF金利は2%超乖離していたのである。 』と指摘した。

5月9日現在、米2年債利回りは2.7%台に達していることからFF金利との乖離はまだまだ大きく、今週発表される米消費者物価次第では、0.75%の利上げの可能性もゼロではない。2022年は『金利ショック』の年になると指摘してきたが、予想外の金利に上昇するから「ショック」なのである。

ただ、今回のFOMCでT-Modelが注目していたのは、金利の引き上げ幅よりも「QTのスタート月とそのペース」。冒頭の記事で指摘する『金融緩和で始まった株高である以上、引き締めで終わる。』からである。

今回のFOMCでは6月からQTを実施し、毎月の減額ペースは6月~8月まで475億ドル(国債300億ドル、住宅ローン担保証券175億ドル)、9月からは950億ドル(同600億ドル、350億ドル)。前回QTの17年~19年のペース500億ドルの2倍のスピードになるが、冒頭の記事にあるように『「量的引き締め」で年1兆ドル(約130兆円)の資金を市場から吸収する』見込み。計画通りに実行されればFRB資産残高は23年5月に8.17兆ドルまで圧縮され、NYダウは3万ドル割れが当然の結論となりそうだが・・。

その時に注意しなければいけないのは『“恐怖”の3 点セット』に発展するときである。冒頭の記事に『株式と債券の同時安が進む異例の年』とあるが、それは既に『“恐怖”の3 点セット』の兆候が現れているだけなのである。

2021/06/21『“恐怖”の3 点セット』のT-Modelコラムにおいて、

『拙書『そしてフェイク経済の終わりが仕組まれる』の第7章『先行指標を探し出せ!』の『リーマンショックを上回る経済危機到来のシグナルは最悪期の「3点セット」』(P195)において、 『2008年9月に起きたリーマンショック時、先に記したドル・インデックスが急上昇していた。同年3月に70だったのが12月には87まで一気に24%もの上昇を見たのだ。要は重大な経済危機に直面した金融市場では強烈な「クレジットクランチ」(信用収縮)』を引き起こすということである。その決済のためにドルキャッシュの需要が急激に高まり、ドル高となるわけだ。 とりわけ大きな経済危機に直面すると認識した場合、投資家は株式や金・原油などの国際商品をすべて売却してドルキャッシュの確保に雪崩打つ。これにより「株安・国際商品安・ドル高」の組み合わせという「“恐怖”の3点セット」の構図に発展する。リーマンショック後、2009年3月あたりまで最悪期の「3点セット」の構図が続いた。当時の金の暴落も3点セットのなかの国際商品安の一部に過ぎない。』

まだ国際商品安が起きていないが、仮に、原油や金が急落したときは経済危機に注意が必要だろう。TーModel指標の「ゴールドシルバーレシオ」が危機を示す「80」を越えてきており、いつ経済危機が起きてもおかしくない状況が出来あがっていることは忘れないことである。

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