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『14年前との奇妙な符合』
『14年前との奇妙な符合』
2022年3月10日日経夕刊に『14年前との奇妙な符合』が掲載されている。
『今年と2008年には不思議な共通点が多い。北京での五輪開催はその最たるものである。08年の夏季五輪はスタジアムの「鳥の巣」が印象的だが、日本の陸上短距離で戦後初となる、リレー種目でのメダル獲得も記憶に新しい。世界情勢でも奇妙な一致がみられる。当時、ウクライナ危機と相似形のような動きが起きた。グルジア(現ジョージア)での南オセチア紛争だ。同国の非政府支配地域をめぐってグルジアとロシアが争った。同地域の独立をロシアが一方的に承認するなど、状況は今と驚くほど似ている。欧米各国も黒海に艦艇を展開、ロシア軍は撤退したが、同地域は今もジョージア政府の支配が及んでいない。
そして最大の共通点、資源相場の高騰と物価の急上昇だ。08年7月には原油が1バレル145ドルを突破し、企業はコストの上昇に苦しんだ。漁業や運輸関連で休業が相次ぎ、消費者も生活必需品の値上げに直面した。08年のヒット商品を振り返ると「プライベートブランド商品」「5万円PC」「アウトレットモール」と節約一色である。ウクライナ危機もあり、今年も似た傾向になるはずだ。脱炭素の動きから中国の低額電気自動車(EV)なども注目される。結局、コロナ後に待つのはリベンジ消費ではなく節約消費となりそうだ。仮にウクライナ危機で世界経済が落ち込めば、不況と物価上昇の同時進行もありうる。
最後の共通点を挙げたい。08年はリーマン・ショックの年であるが、市場は直前まで米政府によるリーマン・ブラザーズの救済を信じていた。同じような状況が隣国で起きている。中国恒大集団だ。巨額の負債に、ソフトランディングへの淡い期待。これだけは似てほしくないが、雰囲気は近い。ウクライナ危機だけでなく、中国経済からも目は離せない。』
このコラムを読まれた方も多いかもしれないが、面白い視点だったため改めてご紹介することにした。何故、14年前の08年と22年に共通点が多いのかは定かではないが、確かに同コラムで指摘しているように、08年8月北京夏季五輪と22年2月北京冬季五輪、08年8月ロシア・グルジア戦争と22年2月ロシア・ウクライナ戦争、08年7月原油145ドル史上最高値と22年3月130ドル台に急騰、と共通している。そして、最大の興味は、08年9月15日に起きた「リーマン・ショック」のような危機が起きるかどうかということになるが、この共通点の月を比較すると、08年は7月~8月に起きているのに対し、22年は2月~3月に起きている。つまり、この流れからすると、「リーマン・ショック」のような危機が起きるとすると、22年4月が危険月ということになるだろう。同コラムでは中国恒大集団による危機を懸念しているが、ロシアのデフォルト危機から西側金融機関へ波及する可能性も否定できない。また、一部報道では、今回のロシアへの経済制裁により不安定化しているロシアの通貨ルーブルを金本位制へ移行するとの報道もあり、実現の可能性は別として、これが本当なら現在のドルを基軸とした「通貨制度」を揺るがしかねない。いずれにしても、4月は危険月として警戒しておくべきではないだろうか。