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『5月米小売売上高0.3%増、消費の底堅さ示唆』は本当か?


『5月米小売売上高0.3%増、消費の底堅さ示唆』は本当か?

2023年6月15日ロイターは『5月米小売売上高0.3%増、予想外の増加~消費の底堅さ示唆』を報じている。

『米商務省が15日発表した5月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.3%増と、予想外のプラスとなった。自動車をはじめ幅広い品目で増加し、第2・四半期の経済成長に寄与する見通しだが、企業の人員削減が広がる中、支出は年後半に鈍化する可能性がある。エコノミスト予想は0.1%減だった。4月は0.4%増だった。

BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、ロバート・カブチック氏は「米経済は幾分軟化しているものの、第2・四半期は比較的しっかりと持ちこたえている」と述べた。

内訳では、自動車が1.4%増、オンライン小売が0.3%増、建設資材・園芸用品が2.2%増、家具が0.4%増、家電・電化製品が0.2%増、趣味が0.3%増。小売統計に唯一含まれるサービス部門の飲食店も0.4%増加した。一方、ガソリン価格の下落を反映し、ガソリンスタンドは2.6%減。』

5月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.3%増の6865.73億ドル(約96兆円)で2ヶ月連続プラス。前年比ベースでは1.6%増だったが、13日発表された米消費者物価指数は前年比上昇率が4.0%と2年2ヵ月振りの低い伸び率となったものの、実質ベースの小売売上高は-2.4%。自動車を除くコアベースも実質ベースで-2.2%と3ヶ月連続マイナス圏に陥ってる。過去、実質小売売上高がマイナスになると、「○○ショック」に発展している。

2023/03/6『「米家計の余剰貯蓄、年内にも底 債務膨張が消費に影」』のT-Modelコラムにおいて、

『それは冒頭の記事にあるように、単に過去最高額に借金を膨らまして、消費を増やしたに過ぎないことは明らかではないだろうか。実際、個人消費の実態を示すクレジットカードの22年12月末ローン残高は前年比+15%増の9860億ドル(132兆円)と、最も高い伸びで過去最高に膨らみ、貸倒償却率も前年比+24%のスピードで同4%と、コロナショック時の5.3%には迫っている。

また、今後、注意しなければいけないのは借入全体の10%弱を占める自動車ローンで、22年12月末の貸倒償却率が前年比+42%と、リーマンショック時を上回る勢いで、2.2%とコロナショック時の2.4%に迫っているからである。そして、何故、クレジットカードローンと自動車ローンに注目するかというと、過去、両ローンの貸倒償却率が下げ止まるまで株価が下げ止まらない傾向があるからで、両ローンの貸倒はまだまだ始まったばかりにしか見えないからである。」と指摘。

冒頭の記事は、このT-Modelコラムをなぞった内容だが、深堀りが物足りないないのは「資産効果」による個人消費の部分だろう。米国の個人消費は緩和マネーの供給で株価と住宅価格がまだ高止まりしていることに支えられているのが現状であり、株価や住宅価格次第では個人消費は大きく崩れる目前となっている。特に、住宅価格は住宅着工などファンダメンタルとの連動性が高いことから緩和マネーで「株価操縦」が可能な株価よりは個人消費の先行きを占う指標として、より重要度が増してきているのである。』と指摘した。

直近23年1~3月のクレジットカード残高は前年比+17.2%増の9860億ドルで、貸倒償却率は前年比+50.3%増の4.57%に急上昇。自動車ローン残高は同+6.3%増の1兆2044億ドルで、貸倒償却率は+44.7%増の2.33%と、ともに22年10月~12月に比べ悪化が加速している。

『何故、クレジットカードローンと自動車ローンに注目するかというと、過去、両ローンの貸倒償却率が下げ止まるまで株価が下げ止まらない傾向がある』と指摘したが、仮に、今後も両ローンの貸倒償却率が悪化するようだと、現在の株価反発は否定される可能性がある。ちなみに、クレジットカードの金利は現在20%を超えている。

さらに今後、米国の個人消費に打撃を与えそうなのが『学生ローンの返済再開』である。2023年6月6日 ブルームバーグニュース『刻々と迫る米学生ローン返済再開、打撃に身構える家計へのアドバイス』を報じている。

『米国で学生ローン返済再開が刻々と迫っている。多くの市民は厳しいやり繰りを迫られる家計への打撃に身構えている。

バイデン大統領が3日署名した連邦債務上限に関する法律には、学生ローンの3年間返済休止措置を終了する条項が盛り込まれた。ローン返済は8月末に再開される予定。既に家計がひっ迫している多くの人々は出費が増えることになる。』

23年1~3月の学生ローン残高は前年比+0.9%増の1兆6040億ドルで、貸倒償却率は前年比-10.5%減の0.94%と、20年3月に一時停止された後、3年間の返済休止措置で落ち着いている。だが、学生ローン返済が8月末に再開されると貸倒償却率が返済休止措置前の2019年9%台へ一気に悪化する可能性が容易に想像できる。そして、それはクレジットカードや自動車ローンの貸倒償却率の悪化にも影響することだろう。

『パンデミック休止前、借り手は学生負債に対して毎月平均393ドル(約55000円)を支払っていた。Student Debt Crisis Centerの11月の調査によると、10人に9人近くが、再開したときに支払いができるかどうか心配している。また、Credit Karmaの最近の調査では、学生ローンを抱えている回答者の56%が、経済的安定性は支払いをしなくて済むかどうかにかかっていると答えている。』とブルームバーグは学生ローンの支払い再開の深刻さを伝えている。

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