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ジャクソンホールショックは本当か?


ジャクソンホールショックは本当か?

2022年8月27日日経夕刊に『打ち砕かれた株高期待』が掲載されている。

『26日のダウ工業株30種平均は1008ドル安と急落した。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が同日、恒例の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で講演に臨んだ。市場の想定以上にタカ派寄りの内容と受け止められ、利上げを警戒した売りが出た。わずか8分40秒の短い講演だったが、市場の株高期待を打ち砕くには十分だった。「歴史は時期尚早の金融緩和を強く戒めている」「(物価上昇を2%に戻すという)我々の仕事が完了するまで金融引き締めを続けなくてはならない」。議長が発したメッセージは、今後の利上げだけでなく、高い政策金利が長期にわたって続くとの警告だ。

(途中略)

夏場の株高を支えたのもFRBが2022年に利上げを停止し、23年に利下げに動くとの期待だった。米投資銀行、Bライリーのアート・ホーガン氏は「議長は市場の解釈と自分の認識は違うということを投資家に確認させた」と指摘する。議長は26日の講演で、米国がインフレに苦しんだ1970~80年代の政策にも触れた。「当時のボルカー議長がインフレ退治に成功するまで、FRBは15年間にわたりインフレ抑制に失敗してきた」。物価高になると利上げし、それで失業率が高まると慌てて利下げする対応を繰り返した。のちに「ストップ・アンド・ゴー」と批判された政策だ。だが、石油危機の影響で物価と失業率がともに上昇すると制御が利かなくなった。ボルカー氏は失業率がどんなに上昇しても金融引き締めを続ける方針を鮮明にし、ようやくインフレは落ち着いた。パウエル議長は講演で「インフレ抑制には家計や企業にある程度の痛みが伴う」と述べた。ボルカー氏と同じ覚悟で臨むと言いたいのだろう。(後省略)』

8月26日のNYダウ1000ドル超の下落は『市場の想定以上にタカ派寄りの内容と受け止められ、利上げを警戒した売りが出た。』と冒頭の記事は解説するが、本当なのだろうか。

いつも指摘しているように、今回は『ジャクソンホール会議』という市場が注目する大きなイベントを利用して投機筋が市場を乱高下させて儲けただけに過ぎないのではないだろうか。S&P500種株価指数は1月の史上最高値から6月の底値まで24%下落した後、8月16日の高値まで不自然に17%戻す株高を演じた。『FRBが2022年に利上げを停止し、23年に利下げに動くとの期待』からとの後講釈をつけて「空売り」の買い戻しを誘い、大きなイベントを契機に一気に売り崩すといったいつもの光景のようにも映る。仮に、NYダウが1000ドル超の暴落とならなければ、ある意味当たり前にも映るパウエル議長の講演内容は今回のようにメディアで大きく取り上げられたかがも疑問である。むしろ、パウエル議長は『「当時のボルカー議長がインフレ退治に成功するまで、FRBは15年間にわたりインフレ抑制に失敗してきた」。物価高になると利上げし、それで失業率が高まると慌てて利下げする対応を繰り返した。のちに「ストップ・アンド・ゴー」と批判された政策だ。だが、石油危機の影響で物価と失業率がともに上昇すると制御が利かなくなった。』と、インフレを抑制することは金融政策では難しいと強調したかっただけなのではないだろうか。

2022/04/25『市場が「タカ派」的と考えるFRBの大幅利上げ観測は94年にもあった』のT-modelコラムにおいて、

『一部の市場の予想では、5月FOMC0.5%、6月0.75%、7月0.75%のFF金利連続大幅引き上げで7月には2.25%~2.5%に達するとの見方も出ている。この見方を市場では「タカ派」的と呼ぶらしいが、T-Model分析から見れば当然の予測ではないかと考えている。何故なら、FF金利は2年以下の短期金利を誘導するものだが、2年債利回りは既に約2.9%まで急騰する一方、FF金利は0.25~0.5%と低水準であることから2%超の大きな乖離が発生しているからである。つまり、FRBの金融引き締めの遅れが原因で、それを修正するために「タカ派」的にならざるを得ないだけなのである。冒頭の記事には、「利上げ幅が通常0.25%の倍にあたる0.50%となれば2000年5月以来。3倍にあたる0.75%となれば94年11月以来。」との指摘があるが、94年も今回と同様、FRBの金融政策の遅れが原因で2年債利回りとFF金利は2%超乖離していたのである。 』と指摘した。

市場では、未だに9月のFOMCの利上げ幅が0.75%か、0.5%か、などといった狭い議論ばかりに集中しているが、現在の2年債利回りからするとFF金利は0.5%でも充分なのだろう。このように政策金利を議論する市場関係者の多くは「FF金利を引き上げたらインフレが収まる」といまだに思っている人々だからである。T-Model理論では、インフレは大量のコロナマネーが起こした現象であり、FF金利とインフレ抑制には大した関係性が無いと考えている。つまり、マネーを抑制しなければ収まらないが、2年債利回りの上昇加速で、FF金利の引き上げの遅れを修正しているだけのようなパウエル氏は理解できているのだろうか。インフレに甘かった1970年代のFRB議長、アーサー・バーンズのようにはならない決意のようだが、それではバーンズの尻拭いをさせられた後任のポール・ボルカー氏のように強力な金融引き締めで米経済を2度のリセッション(景気後退)に導くほどの決意はあるのか。どうみても中途半端なFRB議長にしか感じられないのだが・。

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