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商品指標は株式市場に比べると歴史的低水準
商品指標は株式市場に比べると歴史的低水準
2024年6月1日日経夕刊に『商品「強気」論、株価揺らすか』が掲載されている。
『FRBも市場も待ちの姿勢を続ける中で、不気味に見えるのがコモディティ-(商品)の値動きだ。5月に金(ゴールド)や代表的な産業用金属の銅が最高値を更新。(途中略)主要商品で構成する指数は前年末から1割強高いが、ゴールドマン・サックスは24年末に18%高になると予想する。環境対策のコスト増や長期的な需要の不透明感から開発投資は10年代半ば以降に低迷した。一方で、人工知能(AI)ブームや主要国の防衛予算の増大は、銅など産業用金属の需要を押し上げている。(途中略)
コモディティ-の価格上昇は、消費財価格を押し上げるリスクになるが、シティグループのベロニカ・クラーク氏は「数年前に比べ企業の価格決定力は高くない」と指摘する。米国ではローン支払い遅延が増え、貯蓄率が低下。雇用の先行き不安も高まっており消費が減速しているからだ。投入コストが上がる中でも小売りの価格競争が激しくなれば、物価を押し上げる力になりにくい。その反面、企業の収益には打撃となる。(途中略) コモディティ-価格の高騰はインフレ沈静化を遅らせるだけでなく、企業収益の足元を揺るがすリスクにもなる。』
2024/04/08『上昇加速し始めた国際商品は米国株式に比べると歴史的底値圏』のT-Modelコラムにおいて、
『世界の商品指数である「CRB指数」は先週297.58まで上昇、昨年9月高値289.61をいち早く突破した。次のターゲットは22年6月325.81だが、米国株式と比べるとまだまだ歴史的底値圏に位置しており、今後、更に上昇を加速する可能性が高い。実は、この「CRB指数」は米長期金利との連動性が高いことから、米長期金利は再度、昨年10月に記録した約5%に向けて上昇することを示唆するが、その5%の水準もまだ序の口といったところだろうか。
また、新たにご紹介するT-Model理論『NYダウ/CRB指数』は過去、株価の先行指標となっている。「CRB指数」が上昇を強めたことで『NYダウ/CRB指数』は2月19日週144.49をピークにピークアウトの兆しが出ているが、仮に、同指標が22年6月96.35と23年10月118.57を結んだ下限ラインを下抜くようだと、株価が本格的な下落局面入りを示唆することから要注目である。』と指摘した。
T-Model理論『NYダウ/CRB指数』は直近133.3で、「22年6月96.35と23年10月118.57を結んだ下限ライン」はまだ下抜けとはなっていないため、株価の本格的な下落はまだ始まっていないことになる。1966年以降、T-Model理論『NYダウ/CRB指数』
は71年ピーク→1980年ボトム、99年ピーク→08年ボトムと、過去、ビークからボトムまで9年~10年でボトムを打つことからら今回は2029年か、30年ということになる。
また「CRB指数」を振り返ると、99年3月ボトム118.8から2008年7月ピーク472.3まで9年間で3.97倍に急騰、その後、2008年7月ピーク472.3から2020年5月ボトム112.7まで12年間で-76%の暴落、そして、現在は2020年5月ボトム112.7から22年6月325.8まで2.8倍の急騰しているが、過去、9年~12年でピーク・ボトムを繰り返すサイクルで動いている。仮に、これまでのサイクル通りだとすると、2029年~2032年に向けてピークを付ける上昇過程ということになる。23年末の「CRB指数」は263.8だが、「ゴールドマン・サックスは24年末に18%高になると予想」が実現すると311.2とさらに上昇することになるが、まだまだ上昇途中ということだろうか。
それよりも驚きなのは、過去最高値まで上昇したNYダウに比べた「CRB指数」は歴史的な低水準に低迷しているということである。T-Model理論『CRB指数/NYダウ*100』では0.75倍と-1σ以下で、仮に、NYダウが現在の水準のまま同指標のピークである4.18倍まで上昇すると、「CRB指数」は1632まで急騰することになる。「CRB指数」は米長期金利と連動することから米国長期金利は20%に急騰することになる。それは現実的ではなく、前述のとおり、T-Model理論『NYダウ/CRB指数』ではCRB指数が上昇するとNYダウが下落する傾向があることから、どこまでNYダウが下落するかが、現在4%台の米長期金利がどこまで上昇するかを決定することになるが、どのバランスで落ち着くことになるのだろうか。