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金相場が一時4 %超急落の「フラッシュクラッシュ」
金相場が一時4 %超急落の「フラッシュクラッシュ」
2021年8月10日ブルームバーグニュースで『金相場フラッシュクラッシュ、一時4%超の急落-強気になれない理由』が報道されている。
『金相場が9日のアジア時間に一時、3月以来の安値に急落したことは金が抱える厳しい現実を浮き彫りにした。相場に対する悲観的な見方は増えつつある。今回の急落はテクニカル要因と低い流動性が重なって増幅されたものだが、そもそものきっかけは先週末の米雇用統計が市場予想を上回る強い内容となり、米経済の順調な回復ぶりが示されたことにある。米金融当局が債券購入のテーパリング(段階的縮小)を開始する準備が整うと、この統計により受け止められた。金相場を昨年、過去最高値に押し上げた主要材料の一つが取り除かれる可能性を意味する。
インフレは対処可能との見通しが強まっていることやドル上昇も、金にとって逆風だ。金価格に連動する上場投資信託(ETF)も、今年に入って金保有高を大幅に削減している。金現物はニューヨーク時間9日午前9時21分現在、1.2%安。アジア時間には一時4.1%下げた。
投資家はまず、今週発表される米国の物価統計に注意を向けることになる。その後は今月下旬に開催されるジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)で、米金融当局者がどういったシグナルを送るかが強い関心事だ。米金融当局による引き締めのタイミングが鍵を握る。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長がタカ派的な発言をすれば、金にとっては明確な弱気相場の開始となり得る。』
この記事では『注目すべき5つのチャート』を示しているが、その中で最も注目すべきは『テクニカル要因』のチャート。『9日の取引では、ヘッド・アンド・ショルダー(週間ベース)と呼ばれる相場パターンのネックライン(両ショルダーの下の谷を結んだ線)を割り込んだ。弱気派を中期的に勇気付けるチャート上の節目だ。今週の相場がネックラインを上回って終わらなければ、テクニカル分析上、相場見通しは暗いままとなるだろう。』と指摘する。特に、注意すべきは終値ベースで3月1日週1698ドルを下回ると、更なる深い調整を覚悟しなければならない。
またこの記事では『一過性のインフレ』であり、『利付国債とインフレ連動国債の利回り差であるブレークイーブン・レートが、年限が長くなるにつれ低くなっていることが示すように、インフレは一過性だとの見方を市場は織り込みつつある。このことは、現在の物価上昇が不健全なものではなく統制の範囲内であることを含意する。これは金にとりプラス材料ではない。 』と指摘する。この記事の指摘でもそうなのだが、金の専門家といわれる人々も『インフレが金の上昇要因』だと思い込んでいる。T-Modelが以前から指摘するオリジナル分析では、少なくとも2005年以降、『金価格と米長期金利は逆相関関係』にあり、専門家の常識である『インフレが金の上昇要因』とはなっていないということである。今回の金相場や銀相場の「フラッシュクラッシュ」も「市場予想を上回る米非農業部門雇用者数が発表された後の今回の金相場下落はインフレ調整後の米国債利回りが急上昇したことによって引き起こされた。」が、それは『金価格と米長期金利は逆相関関係』である証拠である。『インフレが金の上昇要因』といった「古い常識」を早く捨てないと理解できない現象なのではないだろうか。最後にもう一度指摘しておくが、金価格が終値ベースで3月1日週1698ドルを下回ると「更なる深い調整」を示唆するだけではなく、米長期金利が本格的に上昇するサインであることも理解しておかなければならないだろう。