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急落する原油価格と連動するはずの米国長期金利が下げ渋り?

急落する原油価格と連動するはずの米国長期金利が下げ渋り?

急落する原油価格と連動するはずの米国長期金利が下げ渋り?

2024年6月5日日経新聞に『NY原油、4カ月ぶり安値~一時73ドル台 OPEC減産縮小で』を報じている。

『原油価格に下押し圧力がかかっている。3日の米ニューヨーク市場で米原油指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は4日続落し、2月上旬以来およそ4カ月ぶりの安値をつけた。産油国でつくる石油輸出国機構(OPEC)プラスが2日に減産縮小を決め、供給増による需給の緩みが意識された。

WTIは前週末比3.6%安の1バレル74.22ドルで取引を終えた。一時は73.98ドルまで下げる場面もあった。欧州指標の北海ブレント原油先物も一時4.3%安の78.09ドルまで下げ、4ヵ月振りに節目の80ドルを割り込んだ。サウジアラビアなどのOPECとロシアなどで構成するOPECプラスは2日の閣僚会議で、1月から実施している有志8カ国による日量220万バレルの自主減産を10月から徐々に減らしていくと決めた。2025年は世界の石油供給が需要を上回る公算が大きくなった。(途中略)』

WTI原油価格は先週6月4日安値72.48ドルまで下落し、直近ピークとなった4月7日週高値87.67ドルからは-17%の急落となっている。冒頭の記事にあるように、石油輸出国機構(OPEC)プラスが閣僚会議で実質的な「増産」へと舵を切ったことが原油価格の下落傾向に拍車をかけたかたち。ただ、24年1月から実施している有志8カ国による日量220万バレルの自主減産は一旦、9月末まで延長したうえで、10月から1年かけて段階的に縮小するため、OPECプラス生産量は24年3942万バレル→25年3972万バレルとほぼ同量が据え置かれる見通し。国際エネルギー機関(IEA)のデータをもとにしたエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の分析では、24年に38万バレルの供給不足だった世界の石油需給は、25年1~3月に151万バレルの供給過剰、同10~12月には277バレルに拡大する見通し。需給関係からは2025年の原油価格は下落が避けられないようにも見えるが、ここには中東の地政学リスクは含まれていないことに加え、OPECは「市場動向を踏まえていつでも追加会合を開く」「減産規模の縮小を停止することもありうる」とも強調し、再び、減産に舵を切る可能性ある。

週末終値ベースでも先週6月3日週75.53ドルと、4月1日週86.73ドルからは約-13%の急落となっているが、チャート的には23年3月13日週66.31ドル、23年12月25日週71.35ドルを結んだ下限近くまで下がっており、ここで下げ止まるかが注目される。以前から何度も指摘してきたように、このWTI原油価格は過去、米長期金利との連動性が高いことから米長期金利の先行きを占う意味でも重要である。ただ、連動性が高いはずの米長期金利は週末終値ベースで24年4月22日週4.66%から6月3日週4.43%と約-5%程度の低下にとどまり、WTI原油価格の下落率とは大きく乖離しているが、その理由は何なのか。

2022/11/14『10月外貨準備が前年比-14.9%と過去最大の減少、減少は今年3月以降、8か月連続』のT-Modelコラムにおいて、

『現在の過去最大の外貨準備の減少は「政府・日銀が実施する円買い・ドル売りの単独為替介入」によるものではなく、「ドル供給」が目的であり、「米国」側の要請の可能性が高いということである。日本の外貨準備の減少率と米長期金利の強い連動性はそれを裏付けるものであり、「政府・日銀が実施する円買い・ドル売りの単独為替介入」を実施すればするほど、米長期金利を上昇させて、更なる円安を招くといった矛盾を起こしていることに早く気付くべきだろう。過去も、現在も、日本政府が単独で「米国債を売却」することなどできるはずもないからである。』と指摘した。

財務省は4月26日~5月29日までに総額9兆7880億円に上る介入を実施したと公表したが、その結果、財務省が6月7日発表した5月末時点の外貨準備高は4月末から3.7%減、-474億ドル(約-7.4兆円)減少し、1兆2315億ドル(約190兆円)となった。減額額は2022年9月に次ぐ過去2番目の大きさで、4~5月に実施した円買い・ドル売りの為替介入の際、保有する米国債を大規模に売却したことを反映すると同時に、米長期金利を押し上げたことで、WTI原油価格の下落率と大きく乖離したのではないだろうか。 米国でまたドルが必要なときには、大幅な円安→為替介入が行われることは忘れないことである。

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