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第335回:街角景気6ヶ月改善 異常な楽観が示す〇〇とは

第335回:街角景気6ヶ月改善 異常な楽観が示す〇〇とは
6ヶ月連続で改善した「2025年10月景気ウオッチャー調査」
内閣府は25年11月11日、「2025年10月景気ウオッチャー調査」を発表。同指標は株価の1~2ヶ月先行指標で政府統計では最も有効。
2025年10月「街角景気」の「現状判断DI」は前月比+1.9%Pの48.5%(原数値)と6ヵ月連続で改善。実態を示す前年比ベースは+1.9%と21ヵ月振りにプラス圏に浮上したが、景気の別れ目となる50%を18か月連続で割り込んでいるが、24年3月以来の高い水準。大阪・関西万博の盛り上がりや国内外問わずの消費者の動きの活性化、さらに急激な寒さの到来に合わせて冬物商品などの需要拡大が生じた。「大阪・関西万博の盛り上がりに合わせて、10月は来客数が前年よりも大きく伸びた。閉幕後の落ち込みを懸念していたが、前年比での伸び率は低下したものの、プラスの動きは維持しており、国内客、インバウンドともに売上は堅調である(百貨店)。」「最近急に寒くなり、ニットやコート等の高単価な商品が稼動し始めている。また、旅行や商戦需要も増えている(衣料品専門店)。」などのコメントがみられる。尚、メディアでは、2016年10月分から発表を開始した「季節調整値」を使用しているが、現状判断DIは前月比+2.0%Pの49.1%と6か月連続で改善、ただ、景気の別れ目となる50%を20か月連続で下回り、原数値と傾向は変わらない。25年1月に「季節調整値」は「原数値との水準が多少乖離している。」と指摘しましたが、2月で修正されて原数値に近づいています。また、2024年2月に「驚いたのは、24年1月分から現状判断DIを23年9月49.9→50.7、10月49.5→50.7、11月49.5→50.8と突然50以上に上方修正していたこと。50以下では不都合があったのだろうが、これは改ざんに近く、色々な統計でこのようなことが行われている可能性には注意が必要だろう。」と指摘したが、24年12月「景気ウォッチャー調査」も、24年7月48.3→8月50.3→9月49.7→10月48.3→11月49.4→12月48.8は、25年1月「景気ウォッチャー調査」で、8月48.9→9月48.0→10月47.0 →11月48.6 →12月49.0 に全て変更され、益々統計の信頼性は失われている。
T-Modelにおいて「景気判断」に最も重要なのは移動平均との乖離幅で、24年8月-0.6%→9月-0.5%→10月-0.9%→11月+0.5%→12月+1.0%→25年1月-2.0%→2月-1.9%→3月+0.8%→4月-2.1%→5月-1.3%→6月-0.4%→7月0.0%→8月+0.6%→9月+1.1%→10月+2.4%と推移。3か月連続で「プラス圏」に浮上し、景気は回復を示唆している。「2%超」のプラスの伸び率は24年3月以来、1年7か月振りで、日経平均が4万円大台を達成した時期と今回の5万円大台達成と似ている。尚、内閣府は7月に「景気は、持ち直しの動きが見られる」と引き上げたが、今10月「持ち直している」に基調判断を3か月振りに上方修正した。
2─3カ月先を見る「先行き判断DI」は前月比+3.9%Pの52.1%と2ヵ月連続で改善。実態を示す前年比ベースは+4.1%Pと20ヵ月振りにプラス圏に浮上し、水準も景気の別れ目の50%を19ヵ月振りに超えている。最低賃金の引き上げや株価上昇による景況感底上げへの期待、IT系を中心とした需要拡大を見込み、押し上げている。「最低賃金引上げもあり、年末年始に向けて少しでも景気が上向くことを期待したい(スーパー)。」「今後は株価の上昇が続くことで、更なる消費の増加が見込まれ、市場の活性化につながることが予想される(乗用車販売店)。」などのコメントが出ていた。尚、「季節調整値」は前月比+4.6%Pの53.1%と6ヵ月連続で改善。景気の別れ目となる50%を14ヵ月振りに上回り(24年8月に1か月だけ5か月振りに上回った)と原数値より若干強いが方向は同じで違和感はない。ただ、「現状判断」と同様、24年12月「景気ウォッチャー調査」では、24年7月48.3→8月50.3→9月49.7→10月48.3→11月49.4→12月48.8は、25年1月「景気ウォッチャー調査」では、8月50.2→9月49.5→10月48.7→11月49.8→12月49.4(←25年1月48.0)、と全て変更されており、統計の信頼性は失われている。
また、T-Model理論『「先行き判断DI」-「現状判断DI」』は、25年1月+2.4%P→2月+3.3%P→3月-1.2%P→4月-1.2%P→5月+1.3%P→6月+1.8%P→7月+1.5%P→8月+0.4%P→9月+1.6%P→10月+3.6%Pと、6ヵ月連続でプラス圏に浮上。T-Model理論『「先行き判断DI」-「現状判断DI」』はプラス圏が正常な状態だが、マイナス圏は「先行き」に期待が持てない不安定な状態を示す指標として開発した。25年は3月~4月の「2ヵ月連続」マイナス圏、24年は3月~4月の「2ヵ月連続」マイナス圏、23年が23年7月~12月の「6か月連続」マイナス圏、22年が22年3月~7月の「5か月連続」と22年9月~12月の「4か月連続」と実質9ヵ月マイナス圏、とコロナの影響が徐々に薄れてきていることは伺える。
一方、関東地区の先行きDI(家計関連)は前月比+2.7%P の51.4%と2ヵ月連続で改善。実態を示す前年比ベースでは+2.8%Pと13ヵ月振りにプラス圏に浮上、水準も景気の別れ目の50%を24年8月以来、14ヵ月振りに50%を上回っている。また、全国先行きDI(家計関連)52.6%であることから、関東地区が全国を4ヵ月振りに下回っている。その結果、「関東-全国の差(移動平均ベース)」は、25年1月+0.6%→2月+0.2%→3月+0.2%→4月+0.1%→5月+0.1%→6月-0.1%→7月0.0%→8月+0.1%→9月+0.1%→10月-0.1%と推移し、25年4月以降、-0.1%~+0.1%の小幅なレンジで推移し、方向感が無くなっている。
同指標は関東地区が地方に比べ世界の金融危機に左右されやすい経済構造になっていることを利用して発見したT-Modelオリジナル理論。過去、07年の「サブ・プライムローン問題」、08年の「リーマン・ショック」、11年「欧州債務危機」、15~16年の「チャイナ・ショック」、2020年「コロナショック」など世界的な金融危機の局面で大きく悪化していたが、逆に、現在は「○○ショック」直前の楽観的状態と言えるだろう。これまで同指標は世界的な金融危機が水面下で起き続けていることを示唆してきたが、過去最長の連続「逆イールド」や「円キャリートレード」を膨らますことで「人工的円安」を作り、日米の株高を演出することで、金融危機など起こらないような楽観的状況を作り出してきた。実は、過去、「円キャリートレード」が膨らんだ98年に「LTCM危機」「ロシア危機」が起こり、07年は「パリバショック」が起こり、08年「リーマンショック」に発展した。そして、24年7月から始まった「円キャリートレード」の巻き戻しは「令和のブラックマンデー」を起こしたが、T-Model理論『円キャリートレード指数』は25年10月10日週1.54倍まで反発して、「令和のブラックマンデー」直前に付けた直近最高である24年7月1日週1.54倍に並ぶ「2番天井」のかたちになっており、「令和のブラックマンデー2.0」がいつ起きても不思議ではないことを示唆する。同指標の1年振りの急上昇を象徴するのが、時価総額が10月9日時点で32兆円とここ3か月で2倍に膨張したソフトバンクグループ(SBG)で、トヨタ自動車に次ぐ国内2位に躍り出ている。
ベッセント米財務長官は10月下旬のXへの投稿で「政府が日銀に政策の自由度を認める姿勢」が「過度な為替レートの変動を避けるために重要」と主張した。日銀の利上げを望む意向を示したと言える。ベッセント氏は8月15日、ブルームバーグインタビューで、「日銀はビハインド・ザ・カーブに陥っている。日銀は利上げを行い、インフレを抑制する必要があるでしょう」と明言。米国の財務長官が日銀の金融政策に言及するのは極めて異例で、「日本実質政策金利(日本政策金利-日本CPI)」が-2%以上のマイナス金利による「円安誘導」に苛立ち始めている。米国側は「(関税はそれに)迅速かつ効率的に公平性をもたらす」ために導入すると強調し、「関税と為替をリンクさせる」ところがポイント。
また、T-Model理論の同指標は10ヶ月先の日本の株式市場を占う上でも重要な指標。同指標は3度目の「危険な時間帯」を示唆していたが、前述の通り、「円キャリートレード」による「人工的円安」と「逆イ―ルド」による金融緩和策で日米の株価を吊り上げる不自然な「株価操縦」によって危機を覆い隠してきた。だが、24年7月に起きた「円キャリートレード」の巻き戻しによる円高進行に加え、「10年債-2年債」の連続「逆イ―ルド」が週足ベースでは22年7月1日以来、114週(約2年2ヵ月)振りに途切れ、最後までしつこく利用してきた『10年-3か月』の「逆イールド」も24年12月13日遂に解消した。特に、『10年-3か月』の「逆イールド」は22年10月26日から始まって「連続767日」と、「1930年大恐慌」前夜に記録したこれまでの過去最長記録の「連続700日」を大きく上回って終了したことで「1930年大恐慌」の時期を超える大きな「歪」が金融市場に溜まっていることを意味する。つまり、『令和の「大恐慌」』前夜でもあり、そのツケを払わされる近未来が我々に待ち受けていると言えるだろう。そして、その混乱は2030年頃まで続くことになるが、我々にその「覚悟」が出来ているだろうか。
今回の10月の強い統計数値を見て感じることは、そこまで景気は強いのだろうかという素朴な疑問である。表向きの強い数値の裏で、長年「景気ウォッチャー調査」分析してきたT-Modelには、それほど強くはないのではないかと思わせる2つの懸念される数値が出てきている。
一つは「近畿-全国」で10月-2.2と統計開始以来、過去最低を記録したことである。近畿圏は「インバウンド」の影響が大きいことからそのあたりに今後、急減する何かを示唆しているのか。もう一つは、「雇用-全国」で10月-0.3と、2020年10月以来、約5年振りにマイナスに陥ったこと。当時は「コロナショック」で雇用が急速に悪化した時期だが、今回もそれが始まってしまったのだろうか。実は、「雇用-全国」がマイナスに陥ったのは統計開始以来、今回を含めて前述の「コロナショック」の他、「ITバブル崩壊」「リーマンショック」の4回しかなく、今回の同指標のマイナス圏はこのような「〇〇ショック」の入り口なのか、注意が必要な段階を迎えている。
2025年11月17日日経新聞は『7〜9月実質GDP、年率1.8%減 輸出低迷で6四半期ぶりマイナス』において、
『内閣府が17日発表した2025年7〜9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比0.4%減、年率換算で1.8%減だった。輸出の低迷が響き、6四半期ぶりにマイナスとなった。QUICKが事前にまとめた民間予測の中心値は年率2.4%減だった。前期比の実質成長率に対する寄与度をみると、内需はマイナス0.2ポイントと3四半期ぶりのマイナスで、外需はマイナス0.2ポイントと、2四半期ぶりのマイナスとなった。輸出は1.2%減と2四半期ぶりのマイナスとなった。米国による一連の関税政策の影響もあり自動車の輸出減が響いた。企業による特許など知的財産権の使用料の受け取りも落ち込んだ。
インバウンド(訪日外国人)消費は1.6%減で、4四半期ぶりのマイナスになった。香港からの訪日客数が5月から直近の9月まで前年を下回った。一部地域からの訪日客消費で伸び悩みがみられた。輸入は0.1%減と3四半期ぶりのマイナスだった。原油・天然ガスが落ち込みに寄与した。民間住宅への投資は9.4%減と大きく落ち込んだ。マイナスは3四半期ぶりだった。4月から住宅の省エネルギー基準が厳しくなり、3月に生じた駆け込み需要の反動減があった。GDP統計は工事の進捗に応じて計上されるため、7〜9月期にマイナスの影響が表れた。』と報道している。
穿った見方をすると、このような7~9月GDPの景気に対するマイナス報道を打ち消すために、景気ウォッチャー調査に何らかの力が働いたのか。現状判断DIが24年3月以来の高い水準、T-Modelにおいて「景気判断」に最も重要なのは移動平均との乖離幅が「2%超」のプラスの伸び率も24年3月以来で、当時は日経平均が4万円大台を達成した時期と今回の5万円大台達成とよく似ているからである。
また、もう一つ指摘しなければいけない重要なポイントは、先月の『9月景気ウォッチャー調査』で取り上げたT-Model理論『日本10年債利回りの3年前差1.45%』達成のシグナルが点灯していることである。日本10年債利回りが25年11月17日高値1.732%まで上昇、3年前の22年11月末0.251%であるため利回り差1.481%と「1.45%」を超えており、11月末まで続くと達成する。先月もお伝えしたように、『1988年以降、日本10年債利回りの3年前差が1.45%を超えると「90年内需バブル崩壊」「リーマンショック」などのバブル崩壊が起きている。』からである。「円キャリートレード」の巻き戻しだけでなく、このT-Model理論『日本10年債利回りの3年前差1.45%』からも日銀はベッセント氏が要請する「政策金利引き上げ」を回避しなければならないのだろうが、いつまで米国からのプレッシャーに耐えられるのだろうか。





