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第336回:長期金利急騰 高市積極財政が本当の理由ではない?

第336回:長期金利急騰 高市積極財政が本当の理由ではない?
約17年振りに1.835%に急騰した長期金利は高市積極財政が原因は本当か
2025年11月20日日経一面に『長期金利一時1.835%に急騰、財政への信頼揺らぐ 円は157円台』が報じられている。
『20日の国内債券市場で長期金利が急騰(債券価格は急落)した。指標となる新発10年物国債利回りは一時1.835%と、2008年6月以来およそ17年半ぶりの高水準となった。高市早苗政権による財政拡張的な政策への懸念が一段と強まっている。
10年債利回りは一時前日比0.07%上昇した。1日の上げ幅としては7月14日以来の大きさとなる。高市政権が21日閣議決定する総合経済対策は21.3兆円程度の規模を見込む。市場の想定以上に膨らみ、国債増発に伴う財政悪化のリスクが連想されやすくなっている。(途中略)償還までの期間が10年を超え、財政リスクを映しやすい超長期債では金利上昇が顕著だ。20日は新発30年債や40年債の利回りも一時、過去最高を更新した。
財政悪化の信頼低下は円相場にも表れた。20日の外為市場では円が対ドルで一時1ドル=157円台後半に下落した。1月中旬以来の円安・ドル高水準だ。19日午後5時時点からは約2円下落した。財政出動の拡大が過大な需要を喚起しインフレ圧力が強まれば、円の価値が低下するとの見方が強まっている。』
この記事では、『高市早苗政権による財政拡張的な政策への懸念』が2008年6月以来、約17年半ぶりの高水準に長期金利が急騰した原因と結論づけたがっているようにも見える。だが、25年度補正予算案には17兆7千億円程度を計上し、24年度補正の13兆9千億円から大きく膨らみ、財源の不足分は国債発行で賄うものの、補正後の国債発行額は昨年度補正後の42兆1千億円を「下回る見込みだ」と明らかにしている。実際、当初予算ベースの赤字国債発行額でも、25年度21.8兆円(見込み)と24年度28.8兆円から2割以上減る見通し。つまり、高市早苗政権による財政拡張的な政策でも昨年と比べ赤字国債は減少がしているのに、なぜ、金利は急騰しているのか。
2025/09/08『世界の超長期債利回りがリーマンショック前の水準に急上昇』のT-Modelコラムにおいて、
『このように世界の債券市場で超長期金利の連動性が高まっているのは世界の債券市場で潜在的な財政悪化リスクが意識されているためで、超長期債の利回りの急上昇が世界の債券市場を揺らす震源地となりつつある。特に、日本の債券市場では超長期債の売買高全体(債券ディーラーを除く)に占める海外勢の割合が足元で約5割と、約2割だった20年ごろから比率は右肩上がりで上昇しており、グローバルな債券市場との連動性がより強まり、米国発のイベントにも振り回されやすくなっている。海外勢の投機的動きによって日本の債券市場の不安定さが増し、株式市場にもその不安定な債券市場が波及する可能性が強まっている。
記事では「金利上昇が止まらない場合の対応としては、中央銀行による国債の買い入れや利下げなどが考えられる。」と指摘するが、仮に、そんなことを実行したらとんでもないインフレに発展することは1970年代の米国で実験済みだろう。そんな愚かなことをせずに金利を下げる方法は株価を暴落させることである。「米国債券時価総額/米国株式時価総額」は「ITバブル」の時期以来の歴史的低水準に落ち込んでおり、この比率を上昇させるだけで金利は低下するだろう。つまり、下落する株式から債券に資金をシフトさせることで債券価格は上昇、金利は低下するからである。 』と指摘した。
つまり、日本の債券市場では超長期債を中心に海外勢の比率が高まり、世界の債券市場で超長期金利の連動性が高まっているためではないだろうか。やはり、不自然な株価吊り上げが債券利回りの急騰を招いている可能性が高いが、それを支えているのは「円キャリートレード」による過剰流動性である。2008年の「リーマンショック」直前にも同様なことが起きていたことからも明らかだろう。以前から何度かご紹介しているが、1988年以降、日本10年債利回りの3年前差が1.45%を超えると「90年内需バブル崩壊」「リーマンショック」などのバブル崩壊が起きており、『日本10年債利回りの3年前差1.45%』が重要シグナルとなっている。3年前の22年11月0.25%であることから、11月末の10年債利回りが「1.7%」を超えるとそれが点灯することになるため、要注目である。





