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第340回:日銀0.75% 30年振り利上げ 歴史的利上げとなる理由

第340回:日銀0.75% 30年振り利上げ 歴史的利上げとなる理由

日銀が12月19日に決めた30年ぶりの高水準となる0.75%程度の利上げが、「歴史的利上げ」となる理由は?

2025年12月19日ブルームバーグニュースは『日銀が0.75%と30年ぶり水準に利上げ、正常化継続-長期金利2%台に上昇』を報じている。

『日本銀行は19日の金融政策決定会合で30年ぶりの高水準となる0.75%程度への利上げを全員一致で決めた。今後も政策正常化路線を継続する。会合結果を受けて長期金利は2%を突破し、約26年ぶりの水準に上昇した。政策金利の無担保コール翌日物金利の誘導目標を従来の0.5%程度から0.25ポイント引き上げた。新日銀法施行前の1995年以来の高水準となる。利上げは1月以来で、植田和男総裁の体制で2024年3月にマイナス金利を解除して以降では4回目となる。

今後の金融政策運営について、現在の実質金利は「極めて低い水準にある」と指摘。日銀の経済・物価見通しが実現していけば、その改善に応じて利上げで金融緩和の度合いを調整していく方針を維持した。利上げ後も緩和的な金融環境が維持されるとし、「引き続き経済活動をしっかりとサポートしていく」とした。(途中略)

事前予想通りの結果を受けて、長期金利(新発10年国債利回り)は2.015%と1999年8月以来の水準に上昇した。円は対ドルで156円台に下落している。日経平均株価は4万9700円台まで上昇幅を拡大したが、その後は伸び悩んでいる。

日銀は利上げの理由について、米国経済や各国通商政策の影響を巡る不確実性は引き続き残っているものの、「低下している」と説明。26年春闘に向けた労使の対応方針や日銀本支店を通じたヒアリング情報などを踏まえると「今年に続きしっかりとした賃上げが実施される可能性が高い」とした。政策判断で重視する基調的な物価上昇率が、27年度までの見通し期間後半には2%の物価安定目標とおおむね整合的な水準で推移するという「中心的な見通しが実現する確度は高まっている」との見方を維持した。(途中略)』

日本銀行は12月19日の金融政策決定会合で上限となっていた「0.5%の壁」を突破する30年ぶりの高水準となる0.75%程度の「歴史的利上げ」を決め、会合結果を受けて長期金利は2%を突破し、約26年ぶりの水準に上昇した。日銀は今回の利上げ継続を打ち出すことで円安傾向に一定の歯止めがかかることを期待したが、逆に円安が進んだ。円安が物価高を助長していることから円安傾向が今後も続けば、早期の利上げ判断につながるシナリオも想定される。次の政策金利の節目は、95年9月1.0%だが、その次は95年4月1.75%まで節目がない。

ただ、積極財政を志向する高市政権の経済政策に逆行する利上げは積極的に進めにくい事情もある。高市政権に対して一定の配慮を続け、日銀の利上げが後手に回るリスクを見透かすし、投機筋が更なる円売りを仕掛ける可能性も想定できるが、以前から指摘してきたように、T-Model理論では『1ドル=160円を大きく超えるような円安は現「通貨制度」の崩壊を意味する』ことから、円安が進めば日銀の利上げペースを速めることになるだろう。24年8月の日銀の突然の利上げ理由を明確に答えられる人は少ないが、当時、T-Model理論では、現「通貨制度」の崩壊を止めるための「利上げ」と指摘した。

これまでの人工的な円安による株高と物価高(金利高)によって、日銀の株式保有高83.2兆円の未実現利益(含み益)は46.0兆円に膨らむ一方、債券の未実現損失(含み損)も32.8兆円に膨らんでいる。株式含み益が積み上がるのに8年もかかったが、債券の損失は12か月で350%爆発した。日銀が政策の正常化を続ければ、利回りは上がり続け、債券の損失は50兆円を超える可能性があり、現在の株式の含み益46兆円は消滅する。

また、日本の地方銀行の国内債券保有の未実現損失(含み損)も急増しており、2025年度第2四半期(9月30日終了)に40億ドル増加し、過去最高の213億ドルに達した。これは、日本銀行が2007年以来、初の利上げを実施した2024年3月以降、260%の増加となる。地方銀行は5年連続で債券保有による未実現損失を抱える状況に直面してり、日本国債が史上最悪の価格下落を記録し、日本の債券市場は危機に瀕していることを示している。

このように日銀の政策金利と10年債利回りの「水準」も重要だが、金利で考えておかなければならない重要なもう一つのポイントがその「ペース(速さ)」なのである。以前から何度も指摘してきたT-Model理論『日本10年債利回りの3年前差1.45%』がその「ペース(速さ)」の怖さを示す理論で、『1988年以降、日本10年債利回りの3年前差が1.45%を超えると「90年内需バブル崩壊」「リーマンショック」などのバブル崩壊が起きている。』と指摘した。25年11月1.56%とついに「1.45%」を超え、12月22日現在1.665%と更に拡大しており、「〇〇ショック」のシグナルが色濃く点灯していることを示す。

そして、更に深堀りすると、日銀が12月19日に追加利上げを決定して以降、世界の債券利回り(金利)が上昇傾向を示していることに気づいているだろうか。T-Modelが何故、30年振りの「歴史的利上げ」と指摘したポイントはここにある。通貨安で実質下落し続けている株式市場の上昇に騙されている人々は論外だが、日本が30年以上にわたり、人類史上最も安い通貨を輸出してきた世界最大の金融「アンカー」がついに幕を閉じたことを意味しているからである。つまり、これまで世界の過剰流動性を支えてきたのは、先進国で唯一、「実質政策金利」を大きくマイナス圏に放置し続けている日銀の「円キャリートレード」であることは明らかで、そのマネーが世界の債券市場から引き始めたことが世界の債券利回り(金利)の上昇となって表れ始めているからである。既に、過剰流動性に敏感な資産である「ビットコイン」が10月6日史上最高値12万6186ドルから11月21日安値8万697ドルまで-36%下落しているのも、近い将来、「円キャリートレード」の巻き戻しが起きる兆候との見方も海外で出始めているが、いつ、何をきっかけに誰の目にも分かるかたちで始まるかが注目される。

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