塚澤.com最新ニュース
Home »
第345回:金46年ぶり 銀20年ぶりの暴落 本当の理由

第345回:金46年ぶり 銀20年ぶりの暴落 本当の理由
1日で金は-16%と約46年ぶり暴落、銀は-38%と2005年6月以来、約20年振りの暴落
2026年1月31日日経電子版に『金1割安・銀3割安 次期FRB「タカ派」議長、市場はマネー縮小を警戒』を報じている。
『トランプ米大統領による米連邦準備理事会(FRB)次期議長人事で金融市場が動揺した。金(ゴールド)先物は1割安、銀先物は3割安と歴史的な下落率を記録。ダウ工業株30種平均の下げ幅は一時600ドルを超えた。「タカ派」ともされるウォーシュ元FRB理事の指名で、資産価格を支えていたマネー先細りが警戒された。
金は46年ぶり、銀は20年ぶり下落率
ニューヨーク商品取引所(COMEX)で金取引の中心である4月物は前日比609ドル(11%)安の1トロイオンス4745ドルまで急落した。中心限月の1日の下落率は約46年ぶりの大きさとなった。銀先物は2月物が35ドル(31%)安の78ドルで引けた。2005年6月以来の下落率を記録した。金銀相場のチャートは直近まで指数関数的な上昇を描いていた。
背景には米ドルの価値下落に備える「ディベースメント取引(通貨価値切り下げトレード)」があった。トランプ氏が求める積極的な利下げや政策面の不確実性から「無国籍通貨」である金や銀をドルの代わりに買う動きが出ていた。投機的な買いも巻き込み、相場急騰につながった。30日の急落ぶりはこのトレードが巻き戻しを迫られた様子をうかがわせる。きっかけはウォーシュ氏の唱えてきた持論だ。
ウォーシュ氏、持論はFRBの資産圧縮
ウォーシュ氏は2025年11月の米紙への寄稿で、米国債の大量購入などで膨らんだFRBのバランスシートをもっと圧縮すべきだと主張した。同氏は以前から、危機時対応の結果としてのFRB資産肥大化がインフレ圧力につながっていると見て、金融市場における中銀の役割縮小を唱えてきた。
FRBの資産拡大を通じて金融市場に流れていた流動性は、資産価格を押し上げていた。ウォーシュ氏の唱える資産縮小が実現すればマネー先細りにつながる。「ディベースメント取引が逆回転し、金・銀の買い持ちは解消が進むだろう」。米運用会社LRTキャピタル・マネジメント創業者のウーカシュ・トミチ氏は話す。(途中略)』
1日の下落率が、金は-16%の急落で約46年ぶりの大きさ、銀は-38%の急落で2005年6月以来、約20年振りの下落率を記録した。冒頭の記事にあるように、『「タカ派」ともされるウォーシュ元FRB理事の指名で資産価格を支えていたマネー先細りが警戒された』もその理由の一つかもしれないが、これほどの歴史的な下落率を記録するほどのインパクトあるニュースではないと誰もが気が付いているのはないだろうか。では、本当の理由は何なのだろうか。
ヒントの一つは「1月30日」に歴史的な暴落が起きたことにある。「1月30日」は1月物の決済の受渡最終日で、どうしても相場を急落させなければならない事情があったのではないだろうか。実際、某米銀は30日の価格暴落の底値で銀のショートポジションを決済したことが明らかになっており、計画的に暴落が仕掛けられたのだろう。この歴史的な暴落が無ければショートポジションで相当な損失が出ていた可能性があるからである。
一方、現物の銀取引が中心の上海2月限先物価格は1トロイオンス約115ドル、またMCX(The Multi CommodityExchange of India Limited)の銀 スポット価格も1トロイオンス約113ドル相当で、このように暴落を仕掛けられた先物価格と現物価格の大きな乖離はニューヨーク商品取引所(COMEX)の価格の信頼性を失うと同時に、誰の目にも「銀市場操作」を露呈したかたちではないだろうか。
以前からセミナーなどでお伝えしてきたように、T-Modelの重要指標「NYダウ/米ゴールド」レシオが26年1月2日週11.1倍→1月9日週11.0倍→1月16日週10.7倍→1月23日週9.9倍→1月30日週10.3倍と、重要分岐点である「11倍」を3週連続で割り込み、「NYダウ/米シルバー」レシオも、26年1月2日週670.8倍→1月9日週623.9倍→1月16日週557.5倍→1月23日週484.5倍→1月30日週620.2倍と、「リーマンショック」後の10年9月27日491.4倍に付けた「500倍」を割れたことで、先週は銀価格を急落させて「600倍」台に必死に戻したかたちである。つまり、先週の金銀の先物価格の急落は、「〇〇ショック」が始まったことを示唆していた「NYダウ/米ゴールド」レシオと「NYダウ/米シルバー」レシオを一時的に先送りするために計画的に暴落が仕掛けられた可能性が高いのではないだろうか。
2026/01/26『リオティント、アマゾンのAIデータセンターに銅供給へ』のT-Modelコラムにおいて、
『今、貴金属市場で何が起きているのかを象徴するような記事と言えるだろう。つまり、供給不足で市場で貴金属の現物を調達することが難しくなって、市場価格よりもプレミアム価格で鉱山会社と直接契約するケースが増えているということである。既に構造的な供給不足にある銀に関しても、次世代の電池を発表したサムスンは昨年12月、銀現物の確保を目的に銀鉱山企業と直接契約して今後2年間の銀現物を確保した。主因は太陽光パネル、電子機器、データセンター、EV分野の需要の急拡大である。サムスンの全固体電池では、例えば、100 kWh級のEV電池パックでは約1 kg(=1,000 g)が必要で、従来のリチウムイオン電池で使用される銀量が車両あたり25〜50 g程度に比べると、格段に多い。銀鉱山の年間生産量はおおむね8億2,000万〜8億5,000万オンスで推移しているが、2024年の総需要は11億6,000万オンスを超えている。
このように銀需要急が拡大する一方、世界の銀供給量の約13%を生産し、精錬では世界シェアで60~70%を占める中国が2026年1月から銀の輸出制限を開始して銀を「武器化」している。さらに、メキシコ(28%供給)など銀供給元の大半を占めるBRICSは西側の金融システムとドル破壊工作のためにLBMA(ロンドン貴金属協会)から脱退して、中国、ロシア、インドはそれぞれ貴金属の取引所を開設した。西側諸国に対して、貴金属の供給を行わないという意思表示であり、市場には銀をはじめ、現物の貴金属が益々出回りにくくなることが予想される。そのため、西側諸国は前述のように、現物確保を目的に貴金属の鉱山会社と直接契約する動きが強まるのではないだろうか。そして、それは市場価格よりもプレミアム価格で取引されることを意味し、更なる価格高騰の要因となることだろう。』と指摘した。
銀行は金銀の価格を低く抑えるために依然として懸命に戦っているが、膨大な需要に支えられた貴金属の現物価格が下落した先物価格にサヤ寄せすることは難しく、むしろ、時間とともに高止まりする現物価格に先物価格が引き寄せられて上昇し、再び危機が表面化する可能性の方が高いのではないだろうか。米CMEで26年3月限先物契約の現物受け渡し請求が4万件と、近年で最高の受け渡し請求件数の20年7月11458件の3倍以上に膨らんでいる。今3月までに現物受け渡しに絡んで、貴金属相場が急変動が仕掛けられる可能性が高い。



