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10月米中古住宅販売は4.1%減の379万戸と13年超ぶりの低水準
10月米中古住宅販売は4.1%減の379万戸と13年超ぶりの低水準
2023/11/22ロイターで『米中古住宅販売、10月は4.1%減の379万戸 13年超ぶりの低水準』を報じている。
『全米リアルター協会(NAR)が21日に発表した10月の米中古住宅販売戸数(季節調整済み)は年率換算で前月比4.1%減の379万戸と2010年8月以来13年超ぶりの低水準に落ち込んだ。ロイターがまとめた市場予想は390万戸だった。住宅ローン金利が過去20年間で最高水準に達しているほか、住宅不足が重しとなった。地域別では、北東部、西部、人口密度の高い南部で減少。中西部は横ばいだった。全体の販売戸数の前年同月比は14.6%減だった。
ネイビー・フェデラル・クレジット・ユニオンのコーポレート・エコノミスト、ロバート・フリック氏は「価格上昇と高水準の住宅ローン金利、そして低金利でローンを組んでいる数百万人の住宅保有者が引っ越しに消極的なことが組み合わさり、市場を凍結させている」と述べた。10月に市場に出ていた中古住宅は115万戸で前年同月比5.7%減少した。住宅保有者の大半の住宅ローン金利は5%未満で、ほとんどが売却に消極的となっている。(途中略)
販売価格の中央値は前年同月比3.4%上昇の39万1800ドルで、10月としては過去最高だった。』
米国の住宅市場の統計の中では「米国新築住宅着工件数」が注目されることが多いが、「米国中古住宅販売件数」も重要な統計の一つである。何故なら、中古住宅販売379万戸(10月)に対し、新築住宅販売75万戸(9月)と中古住宅が住宅販売全体の83%(9月)を占めているからである。記事では、「米国中古住宅販売件数」の不振は「価格上昇と高水準の住宅ローン金利、そして低金利でローンを組んでいる数百万人の住宅保有者が引っ越しに消極的なことが組み合わさり、市場を凍結させている」との指摘だが、「米国中古住宅販売件数/全体」の9月83%と、90年以降の平均的水準であり、新築住宅に比べて中古住宅の販売が極端な不振とはなっていない。リーマンショック時の2010年5月95%、コロナショック時の90%のように不況になると急上昇する傾向があり、今後、むしろ急上昇するリスクがある。それは、新築販売が落ち込む可能性を示唆している。
また、「米国中古住宅販売件数」は住宅価格との連動性も高く、直近23年10月405.3万件(移動平均ベース)と、リーマンショック時の最低水準である2010年12月448万件(移動平均ベース)を下回ったことは、住宅価格が更に下落することを示唆する。市場では、「ケースシラー住宅価格指数」(前年比)は23年5月-0.5%で底打ちしたなどの楽観論もみられるが、「米国中古住宅販売件数」の底抜けは更なる下落を示唆していることになるがどうだろうか。尚、「リーマンショック」時は-12.7%の2ケタ下落となっている。
2023/07/31『米国住宅価格が前月比ベースで4か月連続上昇』のT-Modelコラムにおいて、
『T-Model理論「NYダウ/ケースシラー住宅価格指数」を分析すると、ITバブル時の1999年12月115.5にピークを打った後、リーマンショックの09年2月47.8まで下落した。今回もITバブル時を上回り、2018年1月133.3、2019年12月134.5、2021年4月135.6と+1σ水準を超え、歴史的水準に達している。2018年は1月後に2度の「VIXショック」、2019年12月後にコロナショック、そして、3度目の2021年4月にピークを付けた後、未だ「〇〇ショック」は起きていない。同指数は22年9月95.6まで急落した後、11月116.5までリバウンド、そして、23年5月107.8まで下落し始めている。同指数は株価が下落するか、住宅価格が上昇すると下落することになるが、どのようなかたちで22年9月95.6を下抜くかが注目される。 』と指摘した。
直近23年8月の「NYダウ/ケースシラー住宅価格指数」は110.8と+1σ水準で高止まりしているが、同指標の高止まりは、現在の不自然な株価吊り上げの実態を示していることになる。先ずは、今週28日に発表される米国9月S&Pケースシラー住宅価格指数に要注目である。