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4~6月の世界の外貨準備高が過去最大だったリーマンショック並みの減少


4~6月の世界の外貨準備高が過去最大だったリーマンショック並みの減少

2022/10/8日経新聞に『世界の外貨準備、減少最大 4~6月4.1%減~米金利上昇で目減り ドル1強で通貨防衛』が報道されている。

『世界の外貨準備が急減している。国際通貨基金(IMF)によると2022年4~6月に12兆367億ドル(約1733兆円)と前期比4.1%減り、過去最大の減少率となった。外貨準備高の5割超を占めるドル建て資産が米国の利上げで目減りし、自国通貨安を防ぐためドル売り介入に踏み切る国も目立つ。利上げが続けば外貨準備がさらに減り世界経済の波乱要因になりかねない。

外貨準備は対外債務の支払いや為替介入の原資として、政府や中央銀行が蓄えている外貨建ての資産だ。残高が大きければ対外債務の返済余力が高いと評価され、特に信用力が低い新興国にとっては自国通貨を防衛するためにも外貨準備は重要になる。世界の外貨準備は米連邦準備理事会(FRB)が21年11月に金融緩和の縮小を決め、22年3月に2年ぶりにゼロ金利を解除したことで減少傾向にある。米金利の上昇(債券価格は下落)によるドル建て資産の下落の影響が大きい。1~3月は2.9%減り、4~6月の下げ幅はさらに拡大した。減少率はリーマン・ショック後の2009年1~3月や、中国が人民元を切り下げて資本流出が問題となった15~16年の2%台を大きく上回る。 日本の財務省が7日発表した9月末の外貨準備高も前月末比4.2%減の1兆2380億ドル(約180兆円)と2カ月連続で減った。減少額、減少率ともに過去最大だった。米国債が大部分を占める「証券」が減ったことから、政府・日銀が9月22日に実施した円買い・ドル売りの為替介入は米国債を売却する形だった可能性がある。外貨預金をまず使うとの見方もあったが、9月末の外貨預金は前月とほぼ同額だった。

(途中略)

各国中央銀行の声明や現地報道などによると、20カ国・地域(G20)では日本のほかトルコ、インド、インドネシア、韓国、ブラジルが米国の緩和縮小後に自国通貨買いの介入を実施した。調査会社CEICのデータを集計すると、G20の外貨準備高は米国が量的緩和の縮小を決めた11月から足元までに計6.9%減った。トルコ(31.6%減)やインド(13.4%減)など介入実施国の減少が目立つ。インドの通貨ルピーは直近、1ドル=82ルピー台の過去最安値をつけた。ルピー安は資源に乏しいインドにとって、輸入物価の上昇を通じたインフレ要因となる。最新の8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比7%上昇。インド準備銀行(中央銀行)は9月30日に4会合連続となる利上げを決めた。ダス総裁は同日、「(為替の)過度な変動を抑制し、期待を固定化するために市場に介入している」と語った。

(途中略)

世界最大の外貨準備を保有する中国も22年に入り減少傾向が続く。9月末時点の残高は3兆290億ドルで、昨年末より7%減少した。同じ期間でみると減少率は7年ぶりの大きさとなる。

(途中略)

各国は1997年のアジア通貨危機以降、外貨準備の厚みを増して危機に備えてきた。ただ、ドル1強の状況が続けば貿易収支は悪化し、新興国が抱えるドル建ての負債は実質的に膨張すると見込まれる。米国のインフレ退治が長引けば、新興国への影響は増幅し、世界経済や金融市場の混乱を招きかねない。』

まず冒頭の記事で指摘しておかなければならないことは、世界の外貨準備を前期比(四半期ベース)で、日本の外貨準備を前月比(月ベース)で比較していることから分かりにくく、「前年比」で統一して比較すべきではないだろうか。

世界の外貨準備は22年1~3月期前年比-0.4%→4~6月期-6.5%、一方、日本の外貨準備は22年3月末前年比-0.9%→6月末-4.7%→9月末-12.2%と推移している。直近9月末まで発表されている日本の外貨準備を見る限り、7~9月期の世界の外貨準備は2ケタの減少率となりそうである。

冒頭の記事では、世界の外貨準備が急減している理由を『外貨準備高の5割超を占めるドル建て資産が米国の利上げで目減りし、自国通貨安を防ぐためドル売り介入に踏み切る国も目立つ。利上げが続けば外貨準備がさらに減り世界経済の波乱要因になりかねない。』と指摘している。もし、この 「自国通貨安を防ぐためドル売り介入」が理由ならば、2000年頃のドル高局面でも外貨準備が急減していてもおかしくないはずだが、「減少率はリーマン・ショック後の2009年1~3月や、中国が人民元を切り下げて資本流出が問題となった15~16年」と指摘する。すでに、お気づきかもしれないが、外貨準備が減少するときは、自国通貨安のための「ドル売り介入」というよりは「金融危機」が起きている時期なのである。リーマンショックだった09年1~3月期は最大-6.9%がボトムだったが、今回はそれを上回る2ケタ減となりそうで、それは「リーマンショック」を上回る金融危機がすでに始まっていると考えるべきだろう。またT-Model理論の「GoldSilverレシオ」は危機を示唆する80を超え、直近ピークの8月は96と、リーマンショックの08年9月89を既に上回っている。 つまり、現在の異常な「ドル高」のなか、T-Model理論の「恐怖の3点セット」である「株安・商品安・ドル高」、「株安・債券安・ドル高」が起きているということは、金融危機で「ドル需要」が強まっているためと考える方が自然ではないだろうか。

記事では『政府・日銀が9月22日に実施した円買い・ドル売りの為替介入は米国債を売却する形だった可能性がある』と指摘し、「米国の理解を取り付ける働きかけは1年前に始めた」と米国側の「理解」を得ていると日経新聞は報道した。だが、9月22日に実施した日銀・政府の為替介入は「円安を止める」目的というよりは不足するドルの供給が目的であり、それは日本の単独介入というよりは「米国に要請」されて実施した可能性が高いのではないだろうか。そうでなければ「米国債を売却」して為替介入することなど日本政府ができるはずもない。従って、米国から要請があれば再度、為替介入を実施して不足するドルを供給する可能性が高いだろう。『介入、米の「理解」いつまで?』と日経新聞は報道するが的外れではないだろうか。

実際、世界の外貨準の前年比伸び率とドルインデックスは逆相関の関係にあり、ドルインデックスが上昇すると外貨準備が減少、つまりドルを売却して不足するドルを供給している実態が浮かび上がる。つまり、現在のドル独歩高を止めるには、金融危機による「ドル需要」を上回る「ドル供給」を実施する必要があり、金融危機が続けば、更なる外貨準備の減少が続くことを意味する。

日米の金利差だけで現在の「ドル高」を考えるのではなく、このような金融危機による「ドル需要」急増も「ドル高」の未来を予測するうえで極めて重要なポイントになりつつあるのである。

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