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6年半振りに香港株価が急落
6年半振りに香港株価が急落
2022年3月16日日経新聞に『香港株、6年半ぶり下落率~中国株・人民元も急落』が報道されている。
『中国株が強い売り圧力にさらされている。15日の香港株式市場でハンセン指数は前日比5.7%下落し、チャイナ・ショック直後の2015年7月以来、6年8カ月ぶりの下げ率を記録した。中国本土の上海総合指数も約2年ぶりの下落率となった。米中当局による中国ハイテク企業の締め付けと中国によるロシアの軍事支援問題の余波、新型コロナウイルスの感染再拡大という3つの逆風が吹いている。
外国為替市場では15日の東京市場で人民元は一時1ドル=6.4人民元台と21年10月以来のドル高・元安水準をつけるなど、投資家の「中国離れ」が目立つ。背景には3つの懸念がある。まず、米中当局のハイテク企業への締め付けだ。14日、米紙などは中国当局がテンセントのスマートフォン決済「ウィーチャットペイ」について、マネーロンダリング(資金洗浄)の防止規則違反を発見したと報じた。少なくとも数億元の罰金が科される可能性が指摘されている。配車アプリ最大手の滴滴出行(ディディ)も当局からセキュリティーやデータ漏洩の問題を指摘され、香港上場に向けた準備を停止したと11日に伝わったことも悪材料になった。米国では証券取引委員会(SEC)が先週、20年に成立した「外国企業説明責任法」に基づき、米市場から上場廃止の可能性がある中国企業を公表。名指しされた半導体開発の盛美半導体(ACMリサーチ)などが売られている。
第2がロシアのウクライナ侵攻に伴う中国への経済制裁への警戒だ。米欧メディアは13日までに、ロシアが中国に武器供与などの軍事支援を要請していたと報道。中国側の出方は不透明だが、米政府は「ロシアが被った損失を(中国が)埋め合わせすることは許さない」などと強調する。第一生命経済研究所の西浜徹・主席エコノミストは「中国とロシアの接近が強まれば、米欧の経済制裁の矛先が中国に向かう可能性がある」と指摘。中国のハイテク産業に必要な部材調達が制限される恐れがある。
第3に、コロナの感染再拡大だ。中国では先週末にコロナの新規感染者数が過去最多を更新したとされ、自動車工場が立地する吉林省長春市や、半導体の製造拠点が集まる広東省深圳市などが実質的なロックダウン(都市封鎖)に踏み切った。市場では中国の経済成長率の下振れも予想されている。「ロックダウンは経済よりコロナ封じ込めを優先するという中国政府の明確なメッセージだ。サプライチェーン(供給網)の納期が延びたり、消費が弱含みで推移する可能性がある」(モルガン・スタンレー)など警戒が強まる。中国株への下押し圧力は続きそうだ。』
冒頭の記事にあるように『米中当局による中国ハイテク企業の締め付けと中国によるロシアの軍事支援問題の余波、新型コロナウイルスの感染再拡大という3つの逆風が吹いている』と指摘しているが、中国株への逆風は昨年から既に始まっていた。
T-Modelコラムを振り返ってみると、2021/07/12『中国が海外上場の規制強化』のT-Modelコラムにおいて、
『チャイナインターネットETFという上場投信には、日本でも有名なテンセントHD(10.27%)、アリババグループ(9.09%)、バイドゥ(3.92%)が上位に組み入れられている。株価は21年2月17日103.56でピークを打ち、直近7月8日安値60.01まで-42%の暴落となっている。中国政府による海外上場の規制強化よりも先にと急落していることになるが、ちょうどビットコインの急落時期と一致していることから、「チャイナマネー」がこの頃から流出したのではないだろうか。中国株全体へはまだ波及はしていないが、チャイナショックの2015年以降、同ETFと中国株全体との連動性は高まっていることから今後、注意が必要だろう。
実は、最近の日本株は米国株よりも中国株との連動性が高まっている。一部の市場関係者には「日本株はワクチン接種の遅れで出遅れている」との指摘もみられるが、日本株が出遅れているのではなく、中国株との連動性が高まっているに過ぎないのである。』と指摘した。
中国株は段階的に暴落しており、先行して暴落していたのはハイテク株の「チャイナインターネットETF」で、直近ボトムの22年3月7日週24まで、ピークの21年2月17日103.56からは-76%の大暴落となっている。次に暴落したのが冒頭の記事で指摘する「香港ハンセン指数」で21年2月15日週30644から直近ボトムの22年3月7日週20553まで-32%の下落となっている。今後、注目はすべきは中国株全体へこの流れが波及するかである。中国株全体を代表する「上海ETF」は21年2月8日週49350円をピークに、21年8月16日週39250円まで-20%下落でとどまっている。直近は22年3月7日週40740円まで下落しているが、昨年の安値は終値ベースでは割り込んでいない。ただ、この昨年の安値を割り込むと、「チャイナインターネットETF」や「香港ハンセン指数」のように暴落へと発展するだろう。中国当局も何とかこの水準を割り込ませないようにしているのではないだろうか。
このような中国株暴落のなかで最もダメージを受けているのが「チャイナインターネットETF」との連動性が高いソフトバンク株。21年3月8日週10635円から22年3月7日週4483円まで-57%の大暴落となっている。「チャイナインターネットETF」の株価反発がなければソフトバンク株の反発も難しいかもしれない。それよりも今後、注意しておかなければならのは、前述の「上海ETF」が、21年8月16日週39250円の安値を割り込むかどうかである。何故なら、それを割り込むと一気に急落していく可能性があるからである。その鍵を握ってのはやはり「恒大問題」なのかも知れないが、最近はロシア・ウクライナ情勢一色で、「恒大問題」が報道されないのはとても不気味である。静かなときほど何か大きなことが水面下で起きていることはよくあることだからである。ニュースがなくても「上海ETF」の株価をチェックして、リスクに備えることである。