塚澤.com最新ニュース
Home »
第319回:海外勢主導 超長期債 振り回される市場

第319回:海外勢主導 超長期債 振り回される市場
『「モノ言う国債市場」の復活』
2025年7月26日日経新聞に『「モノ言う国債市場」の復活~金利上昇、どう向き合う』が報じられている。
『静かだった日本の債券市場が長期金利の上昇を通じ、様々なメッセージを発し始めた。財政の持続性を問い、安定的な買い手を求める。さながら「モノ言う国債市場」だ。海外勢が主導する相場展開はノイズと裏腹だが、政府と日銀はどう向き合うかが問われる。23日は国債の売り材料が異例なほど相次いだ。まず日米関税交渉の合意が伝わり、日銀の早期利上げ観測に火がついた。市場のムードもリスク投資に傾斜した。さらに参院選での自民・公明両党の大敗に絡み、石破茂首相の退陣を巡る報道が広がった。野党との連携しか道がない自公が減税論に傾き、財政悪化が加速する。そんな見方に直結した。
利上げの思惑は2~5年債の利回り上昇につながりやすい。長い目でみた財政懸念は償還までの長い20~40年を中心とした超長期債ほど売り圧力が強くなる。2つの「挟み撃ち」に遭い、長期金利の指標とされる10年債利回りも一時1.6%と約17年ぶりの高水準をつけた。(途中略)日銀が国債購入の減額を始めた影響はやはり大きい。異次元緩和で発行残高の半分まで買い占めたが、昨夏から残高の圧縮に乗り出した。超長期債はあまり買っていないものの、償還までの期間が長いほど国債価格は金利変動に敏感に反応する。価格変動リスクが官から民に移る影響は超長期ゾーンにも及ぶ。
さらに超長期債の場合、主な保有主体の生命保険会社で規制対象による買いが一巡し、民間の買い手不足が特に強まっていた。財務省は発行減額に動いたが、間隙を縫って海外勢が市場を支配するようになった。海外勢は短期売買を繰り返すファンドも多く、金利はふらつきやすい。(途中略)』
日経新聞によると、『海外勢は6月に超長期債を1兆5012億円買い越した。過去最大だった25年4月、2番目だった同3月に次ぐ規模だった。1~6月の累計買越額は約8.8兆円。(途中略)日本国債は米国やドイツと比べ、イールドカーブが急こう配化している。例えば10年債利回りと30年債利回りのスプレッド(利回り差)は足元で1.6%程度。0.5%台の米国やドイツと比べてもスプレッドは大きい。』と指摘。何故、海外勢は25年に入り、超長期債を過去最大規模で購入するのか?これこそ冒頭の記事が指摘する「モノ言う国債市場」の復活だろう。
2025/06/30『米株高の裏で止まらぬドル安の根底に「利下げ近し」の観測?』のT-Modelコラムにおいて、
『特に、日本の債券市場では超長期債の売買高全体(債券ディーラーを除く)に占める海外勢の割合が足元で約5割と、約2割だった20年ごろから比率は右肩上がりに上昇し、主な買い手が海外勢に移ったことで、国内外で金利が連動しやすくなり、米国発のイベントにも日本の債券市場が振り回される。そのため、日本の30年債利回りも5月21日3.196%まで上昇し、史上最高値だった2000年9月2.667%を5年振りに更新している。 』
海外勢が日本の債券を購入する場合、利回り目的というよりは、債券価格の上昇を狙った投資の可能性が高い。利回り目的なら米国債の方が利回りが高く、為替リスクもないからである。さらに深読みすると、比較的価格コントロールしやすい、マーケット規模の小さい超長期債市場を狙うことで、ある日、購入した超長期債を一度に大量に売却することで、あえて「超長期債の利回り」を急上昇させて日本を「○○ショック」の震源地にしようとしている、といった穿った見方も否定はできないだろう。
もう一つ、この記事を取り上げた理由は、10年債利回りが7月25日に1.61%と、リーマン・ショック直前の2008年7月以来、約17年ぶりの高水準で高止まりしたためである。ブルームバーグが日米関税協議の合意を受けて、『日銀が年内利上げの環境整う』との見方を報道したことが要因。実は、1988年以降、日本10年債利回りの3年前差が1.45%を超えると「90年内需バブル崩壊」「リーマンショック」などのバブル崩壊が起きている。3年前の日本10年債利回りは22年7月高値0.25%で、今回との差は1.35%まで上昇しており、7月末までに1.45%を達成するかが注目される。
また、日本の10年債利回りの上昇で「日米10年債利回り差」は7月21日週2.79%と、直近で最小となった3月24日週2.72%に迫っている。短期的な動きは別だが、「日米10年債利回り差」とドル円の関係からは近い将来、円高に傾くことを示唆しており、その修正がいつから始まるのかが注目される。





