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「ガリバー企業」のGAFAMの崩壊は何のシグナル?
「ガリバー企業」のGAFAMの崩壊は何のシグナル?
2022年10月29日日経夕刊に『巨大IT、コスト管理に明暗』が掲載されている。
『今週は米巨大ハイテク企業のGAFAM(アルファベット、アップル、メタプラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト)の決算発表が集中した。ドル高と世界景気の減速が逆風となり、売上高が伸び悩んだのは各社に共通する。明暗が分かれたのがコスト管理力だ。優等生はアップルとマイクロソフトで、残り3社は明らかな問題を抱えている。優等生の2社が逆風下でも営業増益を確保した一方、残り3社は軒並み大幅減益となった。特にメタとアマゾンの営業利益はほぼ半減した。5社の収益構造を比べてみよう。売上高はメタが前年同期に比べ4%減ったほかは、各社とも6~15%の増収を確保した。製品やサービスの仕入れコストである売上原価の管理にも目立った優劣はない。減収のメタも売上原価は1%減になんとか抑えた。明確な差が開いたのが営業費用だ。研究開発、販売・マーケティング、本社機能などの費用で構成する。優等生2社の営業費用の増加が15%台だったのに対し、残り3社は26~27%増えた。これが営業利益の増減を大きく左右した。
経営の荒っぽさがうかがえるのが従業員数の増加だ。アルファベットは18.6万人と1年前に比べ3.6万人(24%)増やした。直前の4~6月期と比べても1.3万人近く増え、アナリストからは「決算で最も驚いた数字」(モルガン・スタンレーのブライアン・ノワク氏)との声が出た。メタも8.7万人と前年同期に比べ28%増やした。売上高が急速に伸び悩む中で従業員を2割以上も増やす会社が一体どれだけあるだろう。
(途中略)
米国株市場はリーマン・ショック後の安値を付けた2009年3月以降、グロース株優位の相場が長く続いた。急速なデジタル化、低インフレ、低金利が追い風となった。だが、デジタル化が行き渡る中でこうした好条件は弱まった。売上高の成長が鈍り、コスト高を吸収しきれなくなりつつある。今回の決算は後で振り返って、米国株相場の転換点となる可能性もある。』
2000年のITバブル崩壊時も当時、米国株式市場に数社しかなかった時価総額5000億ドル突破の「ガリバー企業」だった米マイクロソフト、米シスコシステムズ、米インテル、米ゼネラルエレクトラック(GE)などの株価が6割~8割の暴落が起きるなかでITバブル崩壊が起きた。今回のコロナバブルの「ガリバー企業」は冒頭の記事の米巨大ハイテク企業のGAFAM(アルファベット、アップル、メタプラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト)であり、その一部の企業が崩れ始めたことは将来を暗示しており、「デジャブ」のようである。
記事では『米国株市場はリーマン・ショック後の安値を付けた2009年3月以降、グロース株優位の相場が長く続いた。急速なデジタル化、低インフレ、低金利が追い風となった。だが、デジタル化が行き渡る中でこうした好条件は弱まった。売上高の成長が鈍り、コスト高を吸収しきれなくなりつつある。今回の決算は後で振り返って、米国株相場の転換点となる可能性もある。』と結論付けるが、デジタル化だけではなく、低インフレと低金利の好条件も40年振りの大転換で、全ての好条件は崩れている。
実は、それ以上に注目すべきはドルインデックスの急騰なのである。2000年のITバブル崩壊当時は2001年6月119.47まで急上昇していたが、今回も22年9月112.16まで急騰するかたちでグローバル企業の売上高の成長を鈍化させいる現状は当時と共通する。
もう一つ2000年のITバブル崩壊当時と共通しているのがT-Model独自分析「ND倍率(ナスダック指数/NYダウ)」が急落していることである。同指標は、先週10月24日週は0.338倍と、直近のボトムだった6月27日週0.358を下抜けしてからは下落が加速している。2021年11月15日週に同指数が0.45倍と、今回のコロナバブルの最高を記録した同じ週に、ナスダック総合指数が16057と過去最高値を記録していることからも分かるように、同指数はナスダック総合指数を占う上で極めて重要な指標なのである。2000年のITバブル崩壊当時ね同指標と比べると、+1σを超える現在の水準はバブル崩壊はまだまだ始まったばかりにしか映らないが、5月や8月の生活防衛の教室リアルセミナーでも指摘したように、当面のターゲットは18年7月2日週の0.314倍。だが、それを達成しても+1σを越えていることから、そこから今回の暴落の本番を迎えることになるが、どれだけの市場関係者がそれだけの暴落を考えているだろうか。多分、皆無だろうが、それだけ厳しい歴史的転換点を迎えていることを覚悟しなければならない。先ずは、18年7月2日週の0.314倍をナスダック指数/NYダウがどんなバランスで、いつ実現するかに注目である。