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米国3月失業率は60年代後半以来、初めて26カ月連続で4%を下回る極めて好調?
米国3月失業率は60年代後半以来、初めて26カ月連続で4%を下回る極めて好調?
2024年4月6日ロイターは『米雇用、3月30.3万人増 失業率3.8%に低下 利下げ後ずれも』を報じている。
『米労働省が5日発表した3月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比30万3000人増加し、市場予想の20万人増を大幅に上回った。賃金の上昇も続き、米経済が第1・四半期も堅調だったことが示されたことで、連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始が後ずれする可能性がある。予想レンジは15万ー25万人増だった。2月は前回発表の27万5000人増から27万人増に小幅下方修正された。第1・四半期の雇用増は月平均27万6000人と、昨年第4・四半期の21万2000人から増加した。
時間当たり平均賃金は前月比0.3%上昇。2月は0.2%上昇だった。天候に関連した統計の歪みが後退した。前年比では4.1%上昇、2月は4.3%上昇だった。週平均労働時間は34.4時間。2月は34.4時間だった。失業率は3.8%で、前月の3.9%から低下した。(途中略)
リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は「失業率は60年代後半以来初めて26カ月連続で4%を下回った」とし、「労働市場は極めて好調だ」と指摘。米国家経済会議(NEC)のブレイナード委員長も、米経済が拡大し続ける可能性が示唆され、極めて勇気づけられる結果だったと述べた。(途中略)
ヘルスケアが7万2000人増加し、全体をけん引。外来診療を含む病院サービスのほか、介護施設、居住型介護施設など広範に雇用が増加した。政府は7万1000人増。地方政府と連邦政府が共に増加した。建設は3万9000人増。過去12カ月間の月平均増加数(1万9000人)の約倍のペースで増加した。レジャー・接客は4万9000人増。新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)前の水準を回復した。(途中略)』
リッチモンド地区連銀のバーキン総裁の「労働市場は極めて好調だ」と思われた方も多いかもしれない。だが、2024/03/11『実態は悪化を示唆する「2月米国雇用統計」』のT-Modelコラムで指摘したように、
1.速報値→改定値→確報値で下方修正~2月速報値27.5万人→改定値27万人と小幅下方修正だが、1月は速報値35.3万人→改定値22.9万人(-12.4万人)→確定値25.6万人(速報値比9.7万人)と約10万人確報値で下方修正、
2. その民間部門の下方修正分を景気動向に左右されない「政府部門」で吸収~22年年間+23.7万人→23年1~12月+67.2万人(前年比2.8倍)→24年1月2313.6万人(前年比+3.1%増の6.0万人)→2月2319.9万人(同+3.1%増6.3万人)→3月2327.0万人(同+3.1%増7.1万人)、
3. 最も重要な「正社員数」は前年比ベースで23年12月+77.4万人(+0.6%)→24年1月+43.3万人(+0.3%)→2月-28.4万人(-0.2%)→3月-134.7万人(-1.0%)でコロナショック以来、2ヵ月連続で減少、
4. 修正が少ないカルフォルニア州の失業率は実態を表す~23年12月5.1%→24年1月5.2%→2月5.3%と、22年1月以来の水準に悪化している。「カリフォルニア州失業率-全米失業率」の差は23年8月+0.8%P→9月+0.9%P→10月+1.0%P→11月+1.2%P→12月+1.4%P→24年1月+1.5%P→2月+1.4%Pと、カリフォルニア経済がより深刻な不況に陥っているのか、全米の失業率が低く抑えられているからなのか、その差は加速。 また、以前からご紹介している「サームールール(SRI)」はカリフォルニア州では、直近3か月の失業率(移動平均)5.2%と、過去12ヶ月の最低値の2023年1月4.2%の0.5%上昇した「4.7%」を超ているが、実は、23年10月から「サームルール」発動で景気後退は始まっている。「サームルール」が発動している州はすでに20州に拡大しているとも云われている。
今回は新たな視点から米国雇用統計を分析すると、市場が毎月気にしている「時間当たり平均賃金」は冒頭の記事にあるように前年比では+4.1%上昇(2月は4.3%上昇)と順調だが、「週平均労働時間」は前年比-15.3%の34.4時間に大幅に減少。「時間当たり平均賃金」×「週平均労働時間」=「週平均収入」は前年比-11.8%の1193ドルに大幅に落ち込んでいる。統計の基準の変更なら良いのだが、これが実態だとすると、株価との乖離が大きく、いかに当局が改ざんしているかを露呈していることになるだろう。