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「壬寅(みずのえとら)」の2022年


「壬寅(みずのえとら)」の2022年

皆様、改めまして今年も一年よろしくお願いいたします。
皆様、お正月はいかがお過ごしでしたでしょうか。
毎年恒例の「干支」で今年気を付けることをお伝えできればと思います。

『2022年の「干支(えと)」は?』と問われると、現代では多くの人々が『寅年(とら年)』と答えます。しかし、毎年お伝えしていますように、これでは正しくはありません。正しい「干支(えと)」は、「十干((甲乙丙丁戊己庚辛壬癸)」9番目の「壬((みずのえ・じん)」と「十二支(子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥)」3番目の寅(とら・いん)の組み合わせである「六十干支」39番目の「辛丑(みずのえ・とら)」。「十干」とは太陽の運行を基準にして日の出から日の入りまでを10等分し、そこに生命の生から死までを投影して表現する一方、「十二支」とは月の満ち欠けを基準にして同じ様に生命の循環を投影したもの。この太陽と月という2つの異なる成長サイクルを組み合わせて、万物の生命の理を表現しようとしたのが「干支(えと)」ということになります。

まず「十二支」の「寅(とら)」という文字ですが、弓矢を両手で引き絞る形を表した象形文字で、「引っ張る」「伸ばす」の意味があります。「寅」+ 「氵」(さんずい)で物事が滞りなく進むという意味を持つ「演」という漢字ができ、演と同じ読みの「延(えん)」から「延ばす・成長する」という意味も持ったと伝えられています。また「寅」の字は「螾(ミミズ)」に通じ、暖かくなると虫が活動を始めて草木が芽吹き伸び始める状態を表しているとされています。「寅年の世相としては政治的な波乱が多い」のが共通点で、74年金脈問題の発覚で田中内閣が退陣、米国でもウォーターゲート事件でニクソン大統領辞任、98年は前年からの金融不況への審判から夏の参院選で自民党が惨敗、橋本内閣は総辞職をしています。加えて投票率が上がることから「寅年の選挙は荒れる」というジンクスもあり、日本の参議院選挙とアメリカ中間選挙を控えている今年は注意が必要かもしれません。また、経済では74年第1次石油危機、98年日本長期信用銀行国有化とバブル崩壊後の株価大底(当時)など「日本経済の節目」となる出来事が重なり、寅年は株式市場では「寅千里を走る」と言われながらも騰落率は+2.1%と十二支中ワーストの記録を持ち(戦後唯一プラスになったのは86年のみ)、10月に株価がボトムを付けることが多いことも特徴です。このほか、62年キューバ危機、98年ロシア危機(ルーブルの実質切り下げ)、2010年ギリシャ危機など海外での危機が発生し、その影響からか為替も変動する特徴も見られます。86年に1ドル= 200円から158円へ21%の円高、98年は130円から113円へ13%の円高、2010年も一時1ドル=85 円割れと円が史上最高値(79円75銭)を付けた95年以来の円高となっています。専門家の予想では、日米金利差を理由に更なる円安予想が多いですが、想定外の危機が起きてリスク回避の円高にも注意が必要な年かと思われます。

ただ、「十二支」の「支」は「枝」に通ずることから、あくまでも外見的な「現象」を意味し、逆に、「十干(じっかん)」の「干」は「幹」で内面的な「本質」を表していることから、西暦下一桁と一致して10年サイクルを司る「十干」は特に重要と言えます。今年のように西暦下1ケタに「2」の付く年は「壬(みずのえ)」となり、「十干」では9番目。「壬」の文字の意味は「妊」に通じ、厳冬を耐えて内に蓄えた次代の礎となる、もしくは生き物が子孫を残すための繁殖期。また、「壬」の文字は「任」にも通じ、責任とか任務を他人に任せる「任命・委任」というような義が生じてきたとも言われています。2021年は西暦下1ケタに「1」の付く「辛(かのと)」で過去、「世界中で甚大な被害となる出来事」に見舞われていますとお伝えし、新型コロナが猛威を振るいましたが、「2」の付く「壬(みずのえ)」の2022年は100年前(1918年~1920年)に大流行した「スペイン風邪」が収束した「新型コロナ3年目」を迎えます。新型コロナの収束への期待と同時に、新たな成長を「妊(はら)む」年となってほしいところです。また、1972年は7月7日に日本列島改造論を発表した田中角栄首相が誕生、9月25日に中国を訪問、同月29日に国交を回復(日中国交正常化)、1982年はその1カ月前の1981年12月に中印国境交渉が19年ぶりに再開、1992年は中韓国交樹立、2002年は1カ月前の2001年12月に中国がWTOに加盟、2012年に共産党大会が開催され3カ月後の2013年3月14日に習近平氏が中国の国家主席に就任、など中国の動きが目立つのも「壬」の年の特徴かもしれません。今年も2月4日~2月20日「北京冬季オリンピック」だけでなく、3月5日「全国人民代表大会」、9月29日「日中国交正常化50周年」、秋に「22年中国共産党大会」(5年に1回開催の共産党大会で党総書記のまま3期目5年続投か)が予定され、中国からは目が離せない一年となりそうです。

このように「未来を妊(はら)む」の「壬(みずのえ)」と「新しい戸(と)が開(ら)く」の「寅(とら)」の特徴を併せもつ「壬寅(みずのえとら)」の2022年を一言で表すと「新しく物事が始まる(直前)」年といえそうです。60年前の前回の「壬寅(みずのえとら)」にあたる1962年(昭和37年)は、東京の人口が1000万人突破(世界初の1000万都市に)、首都高速1号線開通、日本のテレビ受信契約者が1000万突破、など日本経済発展を占うような大きな出来事が起き、また海外でもアメリカ初の有人地球周回飛行、英「ザ・ビートルズ」レコードデビューといった出来事も起きています。そのなかでも特に、大きな出来事は10月に起きたキューバ危機(旧ソ連がキューバに核ミサイル基地を建設していることが発覚し、米国がカリブ海で海上封鎖を実施)であり、あわや米ソ核戦争となるのではと米ソ冷戦下の軍事的緊張が極まった年でした。60年の時を経て、覇権を競う超大国は当時の「米・ソ」から現在は「米・中」へと変わりましたが、ウクライナをめぐるロシアと欧米の緊張、台湾や人権をめぐる米中の対立など「地政学リスク」が高まる年となりそうなのが気になるところ。中国に注目が集まる「壬」の年であることも影響しているかもしれません。

前述の通り、戦後の日経平均株価の年間騰落率を振り返ると、「寅」年は+2.1%と十二支中ワーストの一方、西暦末尾「2」の付く「壬」年は+27.4%で十干中トップと両極を合わせ持つのが「壬寅(みずのえとら)」の2022年。つまり、良くも悪くも相場変動の激しい年となりそうで、「虎の子(≒お金)」の資産運用は「虎視眈々」のスタンスで臨みたいものです。私はここ数年変わらぬテーマですが、毎日、「リズム・タイミング・バランス」で「バイタリティ」を持って物事に取り組み、毎年のテーマである「何事もゆっくり丁寧に!」で時代の変化を楽しみたいと思っております。

今年もいろいろとお世話になるかと思いますがご指導のほどよろしくお願い申し上げます。

塚澤

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