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年内最後のFOMCで「タカ派」色の強い内容なのに何故、株価が上昇する?


年内最後のFOMCで「タカ派」色の強い内容なのに何故、株価が上昇する?

2021年12月16日日経夕刊に『市場、利上げと共存に自信』が掲載されている。

『15日の米株式市場は年内最後の米連邦公開市場委員会(FOMC)を「波乱なし」で乗り切った。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の記者会見が始まると、ダウ工業株30種平均はじわじわと上げ幅を広げ、前日比383ドル高で取引を終えた。2022年の利上げ見通しが3回に増えるなど、今回の発表は「タカ派」色の強い内容だったが、相場はむしろ好感するような動きをみせた。

FRBは15日のFOMCでテーパリングの加速を決めた。正副議長や理事、地区連銀総裁ら参加者18人による中期の経済・政策見通し(SEP)では、22年にゼロ金利を解除し、計3回利上げするとの予想が中央値となった。前回9月の予想(0.5回)から利上げ開始時期を前倒しする方向に傾いている。この日の発表だけをみれば「タカ派」一辺倒の内容だ。それでも相場は崩れず、むしろ「好感」してみせた。投資家はタカ派的な声明を覚悟し、事前に持ち高を減らしていた。FOMCの決定発表前に、22年に2~3回、23年に3回程度の利上げは織り込み済み。「23年に4回」など事前予想を上回るタカ派姿勢が示されれば、「株価は激しいマイナスになる」(ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルのクロスアセット・マクロ・ストラテジスト、チャーリー・マケリゴット氏)との指摘があった。

FRBが金融引き締めに動くなか、株式市場は「利上げ」との共存に自信を持ち始めている。米10年物国債利回りは1.44%台で、インフレ率をはるかに下回る。日本や欧州の投資家など、利回り難の海外勢が米国債を購入し、金利上昇が抑えられているからだ。低金利が続けばハイテク株に資金が向かいやすくなり、相場全体を押し上げる。「3月まで利上げなし」が明確になったから「買い」――。そんな声すら聞こえてきそうな一日だった。』
年内最後のビッグイベントとなった米連邦公開市場委員会(FOMC)で「タカ派」色の強い内容だったが、株式相場はむしろ好感するような動きをみせ、米10年債の利回りが15日に1.4%台前半まで低下したことで、何故だ?と市場ではいつもの「後追い解説」の原因を探している。

市場の想定通りだったことで『FRBのタカ派化を見込んでいた投資家による売り持ち高の巻き戻し』が起きたとの見方が多いが、本当にそうなのだろうか?実は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の陰で重要な法案が可決していた。

米議会上院は14日、15日下院で連邦政府債務の法定上限を2.5兆ドル(約280兆円)引き上げる法案を可決した。債務上限は現行の28.9兆ドルから31.4兆ドルに増え、23年まで新たな国債を発行して資金をやりくりできる見通し。「FRBのタカ派化は市場の想定通り」だったという市場の見方には無理があり、米政府の資金が枯渇し、国債がデフォルト(債務不履行)に陥る事態が回避されたことで「売り持ち高の巻き戻し」が起きたと考える方が自然なのではないだろうか。また先週末17日に米国でメジャーSQを控えていたことから売り方・買い方の攻防によってボラティリティーを増幅させた可能性も高い。

もう一つ、今回のFOMCで重要なポイントは、39年振りの高い伸びとなった11月消費者物価+6.8%に対し、長期金利が1.4%台と低すぎないかと、インフレと長期金利の乖離についてパウエル議長が「日本やドイツの国債利回りを見てほしい。米国債の利回りははるかに高く、多くの需要がある」と答えたことだろう。一方、債券市場では「インフレは来年後半から和らぎ、FRBが予想する利上げはできない」とFRBとは別の理由で債券を購入している。

FRBと市場には「溝」があると指摘しているのは、日経新聞夕刊『FRBと市場 認識の「溝」』。同記事では、『17日、FRBのウィラー理事から「最初の利上げ後すぐに資産圧縮を始められる。バランスシートの調整を遅らせる理由はない」との発言が飛び出した。来年はFRBと市場の認識の「溝」を埋め合わせる年になる。米市場には「FRBには逆らうな」という有名な格言がある。今回も最後にFRBに軍配が上がるのではないか。』と、「インフレは来年後半から和らぎ、FRBが予想する利上げはできない」とはならない可能性を指摘する。つまり、市場が予想する以上に「金利が上がる」と言うことなのだろう。バンク・オブ・アメリカが指摘する「インフレショック」の2021年から「金利ショック」の2022年が始まろうとしている。

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