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「最高6.5%への米利上げ必要」
「最高6.5%への米利上げ必要」
23/2/25ブルームバーグニュースは『最高6.5%への米利上げ必要、学会・金融界エコノミストが論文で指摘』を報じている。
『米政策金利は6.5%に引き上げる必要があるかもしれないと、ブランダイス大学のスティーブン・チェケッティ教授やJPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏ら5人のエコノミストが指摘。連邦公開市場委員会(FOMC)が物価上昇への対応で当初出遅れたことを厳しく批判した。
シカゴ大学ブース経営大学院がニューヨークで開いた年次政策フォーラムで24日発表された論文は、米金融政策当局の見通しが依然として楽観的過ぎるとし、物価を制御するにはある程度の経済的痛みを与える必要があると論じている。「軽度のリセッション(景気後退)を起こさずに経済をソフトランディング(軟着陸)に導き、その過程でインフレを2025年末までに2%目標に戻す能力が、FOMCにあるのか疑わしいというのがわれわれの分析だ」としている。55ページにおよぶ学術的研究では可能性の高い政策金利シナリオを複数シミュレートしており、コンピューターモデルは2023年下期に5.6%、6%、あるいは6.5%で金利がピークを付けるとしている。(後省略)』
同論文では、物価上昇を抑えるために米政策金利は5.6%~6.5%でピークを付けると予測している。だが、T-Model理論では、「政策金利引き上げでは物価は抑制できない」、「マネーの量を減らすことが物価上昇を抑制する手段」といつも指摘している。では、T-Model理論では、米政策金利の「ターミナルレート」は何で決まると考えているのか?
2022/09/26『やはり「インフレショックから金利ショック」へ』のT-Modelコラムにおいて、
『インフレ沈静化にあまり効果のない政策金利はどこまで引き上げる可能性が高いのだろうか。T-Modelのオリジナル分析では、「10年債-2年債」の逆イールドがボトムアウト、つまり、順イールドになるまで「2年債利回り-政策金利」は追いかける可能性が高いと考えてる。
直近の「10年債-2年債」は-0.45%と、2000年4月-0.49%に迫っているが、この時期の「2年債利回り-政策金利」は-1.37%までマイナス幅は拡大している。直近の「2年債利回り-政策金利」は-0.05%で、まだまだ不十分ということになる。2000年当時と同じマイナス幅には1%以上の差があり、2年債利回りが低下しないのであれば政策金利は3.0~3.25%の水準から1%超上乗せされる可能性が高いことを示唆する。これは政策金利引き上げでインフレを沈静化できると考える市場の「金融政策のミス」なのだが、過去の歴史が示す通り、その「金融政策のミス」は今回も現実化してしまうのだろう。今の興味はそれがいつ現実化するだけなのである。』と指摘した。
現在の「米10年債-米2年債」は米10年債3.93%-米2年債4.83%=-0.9%と、昨年11月に付けたピークの-0.72%を上回っている。T-Modelのオリジナル分析では、この「米10年債-米2年債」を前提にすると23年1月-0.54%の「米2年債利回り-米国政策金利」が-1.5~2.0%に達することを意味する。現在の米2年債4.83%を前提にすると、米国政策金利の「ターミナルレート」は6.3%~6.8%に上昇することを示唆している。アプローチが全く異なるが、結論が同じという不思議な結果となったが、大きく異なるのは予測を導くシンプルさではないだろうか。そして、3%台だった半年前に6%台の「ターミナルレート」をすでに予測していたT-Modelオリジナル理論と学者や5人のエコノミストが集まり、コンピュータモデルを駆使して今頃になって6%台を導き出す55ページにおよぶ学術的研究の違いである。それは未だインフレ沈静化に政策金利が有効だと、間違った「古い教科書」を信じていることだろう。T-Modelオリジナル理論は「金利は金利が決め、物価はマネーが決める」のである。