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「米求人2年4カ月ぶり低水準」だが 、市場は不自然なほどに楽観的見方
「米求人2年4カ月ぶり低水準」だが 、市場は不自然なほどに楽観的見方
2023年8月30日日経夕刊に『米求人2年4カ月ぶり低水準~7月882万件市場予測下回る』が報道されている。
『米労働省が29日発表した7月の雇用動態調査(JOLTS)によると、非農業部門の求人件数(季節調整済み、速報値)は882万7000件だった。前月(916万5000件)から減少し、市場予測(950万件)を下回った。3カ月連続で1000万件を切り、2021年3月以来の低水準となった。労働需給の逼迫が緩和に向かうとの見方が強まっている。
求人件数は22年3月(1202万7000件)にピークを迎え、減少基調にある。一方、7月の失業者数は584万1000人だった。失業者1人に対しおよそ1.51件の求人がある計算だ。同比率は3か月連続で下がった。
7月はビジネス・専門サービスの求人が19万8000件減った。医療・福祉サービスの求人も13万件減った。一方、情報サービスの求人数は10万1000件増えた。7月の解雇件数(政府部門は除く)は前月から3000件増え、146万7000件となった。建設業では4万9000件、宿泊・飲食サービスでは3万5000件それぞれ解雇件数が増えた(途中略)。』
7月の求人件数は市場予想の950万件(ブルームバーグ集計。以下、 同じ。)を大幅に下回ったが、6月分も916万5千 件と、速報値の958万2千件から-41.7万件下方改定され、これまで雇用統計が嵩上げされてきたデータを発表してきた実態が明らかになり始めている。
特に注目すべきは求人数の「前年比」で、7月は-22.4%と、コロナ・ショック時に記録した20年5月-25.4%以来の落ち込み。過去、この「前年比」が-20%超の落ち込みを記録したのは、02年、09年、20年と今回の23年だが、いずれも「〇〇ショック」に発展している。
また、9月1日発表された8月雇用統計では、非農業部門の雇用者数の増加幅が市場予想を上回った一方、6月分10万5000人(速報値20万9000人)、7月分15万7000人(同18万7000人)に引き下げた。3か月移動平均では15万人増と、新型コロナの影響が経済を直撃し始めた2020年3月以降では最低となった。また、労働参加率は前月比0.2ポイント高い62.8%と、20年2月以来の高水準に上昇、失業率は3.8%と、0.3ポイント上昇、雇用関連の統計はコロナショック時に近づきつつある。
これまで改ざんしにくい信頼できる経済指標としてご紹介してきた「倒産件数」は7月前年比+96%の64件と、すでにコロナショック時並みに悪化していることは以前からお伝えしてきたが、今回、嵩上げされてきた雇用関連指標が下方修正されたことで先行して悪化してきた「倒産件数」を追いかけ始めたことを示している。
先週は 雇用関連統計が予想を下回ったことで米長期金利が低下、それを好感するかたちで株式が上昇したと多くの市場関係者は良いとこ取りをしているが、それは雇用の大幅な悪化を防ぎながら米経済をソフトランディングできると信じているためだろう。だが、前述のとおり、求人数の「前年比」-20%超は「〇〇ショック」のシグナルとなっている上、23年は「リーマンショック」前年の07年、「コロナショック」前年の19年と「大統領選挙の前の年」という共通していることからより「〇〇ショック」には注意すべきなのではないだろうか。バイデン大統領が秋からワクチン義務化しようとしているのも不気味な動きではないだろうか。